「よりすぐり」とは「良いもののなかから、特に良いものを選ぶこと」という意味です。
「漢字ではどのように書くの?」「英語ではどのように表すの?」など、様々な疑問をもつ人が多いのではないでしょうか。
この記事では、「よりすぐり」の意味や漢字表記、使い方、英語訳などについて詳しく解説します。
☆「よりすぐり」をざっくり言うと……
漢字表記 | 選りすぐり |
---|---|
意味 | 良いもののなかから、特に良いものを選ぶ |
成り立ち | 動詞「よりすぐる」が変化したかたち |
類義語 | 選り抜き、選抜、厳選など |
対義語 | 寄せ集めなど |
英語訳 | specially selected(よりすぐりの)など |
「よりすぐり」の意味
良いもののなかから、特に良いものを選ぶこと
「よりすぐり」は、「良いもののなかから、特に良いものを選ぶこと」を表します。
「優れた人々のなかから、特に優れた人を選ぶ」という場合にも使うことができます。
「よりすぐり」の漢字表記
「よりすぐり」は、漢字で「選りすぐり」と書かれることもあります。
ただし、「選りすぐり」という表記は、常用漢字で定められていないため、「よりすぐり」とひらがなで書くことのほうが多いです。
なお、「選りすぐり」と漢字で書く場合、「えりすぐり」と読むこともできます。
「えりすぐり」と読んでも、「よりすぐり」と読んでも問題ありません。
「よりすぐり」の使い方
「よりすぐり」は、「よりすぐりの〇〇」というかたちで使います。
〇〇部分には、物や人が入ります。
具体的な例文を見てみましょう。
- よりすぐりの食材を調理する。
- あの骨董店では、よりすぐりの品々が販売されている。
- 彼の家には、よりすぐりの楽器がたくさんある。
- よりすぐりの美酒を、心ゆくまで味わってください。
- このプロジェクトチームには、よりすぐりの人材が揃っている。
- あのチームには、よりすぐりの選手が所属している。
- 私立A高校には、全国から集まったよりすぐりの秀才が通っている。
- オーディションの結果、よりすぐりの逸材(いつざい)がヒロインに決まった。
- よりすぐりの精鋭(※)が頭脳戦を繰り広げる。
精鋭とは、「選びぬかれた、優秀な人々」という意味です。
つまり、精鋭という言葉に、すでに「選ばれた」という意味が含まれているのです。
そのため、「よりすぐりの精鋭」という表現は、厳密には二重表現です。
しかし慣例として、「よりすぐりの精鋭」という言い回しはよく使われています。
「よりすぐった〇〇」
「よりすぐった〇〇」は、「よりすぐりの〇〇」と同じ意味を表すことができます。
名詞の「よりすぐり」を動詞にすると、「よりすぐる」になります。
「よりすぐった〇〇」は、「よりすぐる」をもとにした表現なのです。
参考までに、例文を見てみましょう。
- このチームのメンバーは、よりすぐったの人材ばかりだ。
- デパートの地下では、よりすぐったスイーツが販売されている。
「よりすぐり」の成り立ち
「よりすぐり」は、動詞の「よりすぐる」が、名詞のように変化したかたちです。
「よりすぐる」の成り立ち
「よりすぐる」は、以下の二語から成り立つ言葉です。
- 選る(よる/える)
複数のものから良いものを選ぶこと - 選る(すぐる)
複数の良いものから、特に良いものを選ぶこと
つまり、「よりすぐる」は、「良いものを選ぶ」意味の二語が組み合わさった言葉なのです。
「よりすぐり」の類義語
「よりすぐり」には、たくさんの類義語があります。
「よりすぐり」の類義語は、以下の2つのパターンに分けられます。
- 選ぶという意味が含まれるもの
- 選ぶという意味はないもの
以下、それぞれのパターンに分けて説明します。
類義語①選ぶという意味が含まれるもの
選ぶという意味が含まれている類義語には、以下のようなものがあります。
- 選り抜き(えりぬき / よりぬき)
良いものを選ぶこと - 選抜(せんばつ)
良いものを選ぶこと - 厳選(げんせん)
厳しい基準で選ぶこと - 精選(せいせん)
注意して、特に良いものを選ぶこと - 特選(とくせん)
特別に良いものを選ぶこと - 選り取り(よりどり)
たくさんのものから好きなものを選ぶこと - 精鋭(せいえつ)
選び抜かれた優れた人 - 粒選り(つぶより)
たくさんのものから、良いものを選ぶこと - 取捨選択(しゅしゃせんたく)
悪いものを捨て、良いものだけを選ぶこと
「よりすぐり」と「選り抜き」「選抜」の違い
「よりすぐり」と「選り抜き」「選抜」には、次のような違いがあります。
- よりすぐり
優れたもののなかから、さらに優れたものを選ぶ - 選り抜き・選抜
優れたものと劣ったものが混ざったものから、優れたものを選ぶ
「よりすぐり」と「厳選」の違い
「よりすぐり」と「厳選」は、どちらも「良いもののなかから、特に良いものを選ぶ」という意味をもちます。
ただし、細かいニュアンスには、次のような違いがあります。
- よりすぐり
「厳しい目で選ぶ」という意味は含まない - 厳選
「厳しい目で選ぶ」という意味を含む
「よりすぐり」は、単に選ぶという意味だけを表すのに対して、「厳選」には厳しい目で選ぶという意味も含まれるのです。
類義語②選ぶという意味はないもの
選ぶという意味がない類義語には、以下のようなものがあります。
- 粒ぞろい
集まった人たちの能力が高いこと - オールスター
特定の分野での、素晴らしい人たちが集まること - ドリームチーム
優秀な選手から構成されるチーム - お歴々
身分や格式が高い人たち - 錚々(そうそう)たる
とても優れた人たち - 卓抜(たくばつ)
他のものよりも優れていること
上記の類義語は、「良いもの・人」「優れている」という意味に重点をおいた類義語です。
「よりすぐり」とは異なり、選ぶという意味がありませんから、注意しましょう。
「よりすぐり」の対義語
「よりすぐり」には以下のような対義語があります。
- 寄せ集め
多くの人や動物を一箇所に集めること - 玉石混交(ぎょくせきこんこう)
優れたものと劣ったものが入り混じっていること - 烏合の衆(うごうのしゅう)
統一性がなく、単に寄せ集められた集団
「よりすぐり」は、「良いものから、特に良いものを選ぶ」という意味をもっています。
したがって、「優劣などに関わらず、たくさんのものが存在している」という意味の言葉が、「よりすぐり」の対義語となるのです。
「よりすぐり」の英語訳
「よりすぐり」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- specially selected
(よりすぐりの〜) - special selection
(特別に選び抜かれたもの) - choose the very best
(2つのものから、より良いものを選ぶ) - select the very best
(複数のものから、最も良いものを選ぶ)
“choose the very best” と “select the very best” の違い
“choose the very best” と “select the very best” は似ている表現です。
このうち、“select the very best” のほうが、「よりすぐり」の英語訳としてより適切といえます。
なぜなら、“choose” は2つのものから選ぶことを指すのに対して、“select” は複数のものから選ぶことを指すからです。
「よりすぐり」のまとめ
以上、この記事では「よりすぐり」について解説しました。
漢字表記 | 選りすぐり |
---|---|
意味 | 良いもののなかから、特に良いものを選ぶ |
成り立ち | 動詞「よりすぐる」が変化したかたち |
類義語 | 選り抜き、選抜、厳選など |
対義語 | 寄せ集めなど |
英語訳 | specially selected(よりすぐりの)など |
「よりすぐり」には、「良いものが集まっているなかから、特に素晴らしいものを選ぶ」というポジティブな意味合いがあります。
とっておきのものを選んだ場面で、「よりすぐり」という言葉を使ってみましょう。