今回ご紹介する言葉は、熟語の「造詣(ぞうけい)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「造詣」をざっくり言うと……
読み方 | 造詣(ぞうけい) |
---|---|
意味 | ある分野への深い知識や優れた技術 |
語源 | 「深いところまで達している」という意味を持つ「造」と「詣」の組み合わせ |
類義語 | 精通、蘊蓄、学識など |
対義語 | 浅学、素人など |
英語訳 | profound knowledge(深い知識)など |
このページの目次
「造詣」の意味をスッキリ理解!
「造詣」の意味を詳しく
「造詣」とは「ある特定の分野についての広くて深い知識と技量」を意味しています。
「造詣」は、「深い知識」や「優れた技術」そのもののことです。「深い知識や優れた技術を持っていること」ではないので注意しましょう。
なお、「造詣」は難解で専門的な分野について深い知識やスキルを持っている時に用います。
たとえば、文学、歴史、音楽、美術など、大学などで研究されるような分野に対する知識のことを表します。
「造詣」のよくある間違い
「造詣」には以下のようなよくある間違いがあります。
- 一般的な知識や技術には用いない
- 「造詣がない」は誤った使い方
- 自分に使うのは誤り
- 「造形」「造型」とはまったく意味が異なる
- 「ぞうし」と読むのは誤り
それぞれの間違いについて詳しく見ていきましょう。
間違い①:一般的な知識や技術には用いない
「造詣」は一般的な知識や技術には用いないので注意しましょう。
たとえば、「彼女はお菓子作りに造詣が深い」「彼はアニメに造詣が深い」などとは言いません。
お菓子作りやアニメを学問として研究している場合は別ですが、あくまで趣味の範囲なら、「造詣」を用いることはできません。
「造詣」を用いることのできるのは難解、そして専門的な分野のみです。
間違い②:「造詣がない」は誤った使い方
「造詣がない」は誤った使い方なので注意が必要です。
「造詣」は特定の分野についての知識が浅い・もしくはない時には用いることができません。
そのような様子を表したい時には、代わりに「知識がない」「スキルがない」などの表現を用いると良いでしょう。
また、「造詣が浅い」も同じく誤った使い方です。
間違い③:自分に使うのは誤り
「造詣」は自分に使うのは誤りなので注意が必要です。
「私は経済学への造詣が深い」などと言うことはできません。
「造詣」はほかの人が「特定の分野について深い知識や技量を持っている様子」のみを表す言葉です。
間違い④:「造形」「造型」とはまったく意味が異なる
「造詣」は同じ読み方をする「造形」「造型」とはまったく意味が異なるので注意が必要です。
「造形」や「造型」はどちらも「形を作り上げること」という意味の言葉です。
「特定の分野に関する深い知識や技量」という意味の「造詣」とはまったく意味が異なります。
混同して用いないようにしましょう。
間違い⑤:「ぞうし」と読むのは誤り
「造詣」を「ぞうし」と読むのは誤りなので注意しましょう。
「造詣」は「ぞうけい」と読みます。
「造詣」の使い方
- あの学者は、平安時代の歴史に造詣が深いので、文化財保護のプロジェクトには適任だ。
- 絵画の歴史に造詣のある人の解説があると、美術館をより楽しむことができる。
- 教授はギリシア哲学に造詣が深くていらっしゃる。
「造詣」は上記の例文のように、「造詣が深い」という形で「ある人の知識の深さをほめる」時に使われるのが一般的です。
❷の例文のように、「造詣のある」というように使うこともできます。
目上の人に用いる場合は、❸の例文のように「造詣が深くていらっしゃる」と表現すると丁寧です。
「造詣」の語源
「造詣」は以下のような漢字を組み合わせてできた熟語です。
- 造:ある所に届く
- 詣:高いところに行き着く
どちらの漢字にも「あることに関して深いところまで達している」という意味が共通していますね。
「造詣」は似た意味を持った漢字を重ねることで成り立っている熟語なのです。
ここから、「造詣」は「高い水準にまで達している学術や芸術への知識と技量」を表すようになったのです。
「造詣」の類義語
造詣には以下のような類義語があります。
- 精通(せいつう):あることに関してとても詳しいこと
- 蘊蓄(うんちく):蓄えられた深い知識
- 学識(がくしき):学問における知識と見識
- 通暁(つうぎょう):隅々まで非常に詳しく知っていること
- 熟知(じゅくち):詳細に充分に知ること
- 博識(はくしき):広く物事を知っていること
- 有識(ゆうしき):知識が広いこと
- 知悉(ちしつ):細かいところまで知り尽くすこと
- 碩学(せきがく):広く深く学問をおさめること
- よく知っている
- 知り尽くしている
- 理解が深い
「造詣」と「精通」の違い
「精通」は「あることに関してとても詳しい」という意味です。
「造詣」と「精通」には以下のような違いがあります。
- 造詣:芸術・学問のみに使う
- 精通:どんな物事にも使える
「精通」は「造詣」よりも広い範囲について「とても詳しい」と言えるのです。
たとえば、「彼女はお菓子作りに造詣が深い」とは言いませんが、「彼女はお菓子作りに精通している」と表現できます。
「造詣」と「蘊蓄」の違い
「蘊蓄(うんちく)」は「蓄えた深い知識」という意味です。
「造詣」と「蘊蓄」には以下のような違いがあります。
- 造詣:芸術・学問のみに使う
- 蘊蓄:雑学的な知識に使うことが多い
「蘊蓄」は「造詣」よりも「簡単な分野の深い知識を持っている」というニュアンスが強いです。
「造詣」の対義語
「造詣」には以下のような対義語があります。
- 浅学(せんがく):学問や知識が未熟なこと
- 素人(しろうと):知識が未熟な人
「造詣」の英語訳
造詣を英語に訳すと、次のような表現になります。
- profound knowledge
(深い知識) - have a deep knowledge of
(深い知識を持っている) - be very familiar with
(とても詳しい)
まとめ
以上、この記事では「造詣」について解説しました。
読み方 | 造詣(ぞうけい) |
---|---|
意味 | ある分野への深い知識や優れた技術 |
語源 | 「深いところまで達している」という意味を持つ「造」と「詣」の組み合わせ |
類義語 | 精通、蘊蓄、学識など |
対義語 | 浅学、素人など |
英語訳 | profound knowledge(深い知識)など |
いざ使う場面が来た時のために、この記事でしっかりと「造詣」の意味や使い方などを理解しておきましょう。