今回ご紹介する言葉は、熟語の「残滓(ざんし)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「残滓」をざっくり言うと……
読み方 | 残滓(ざんし) |
---|---|
意味 | 残りかす、残ったもの |
類義語 | 残渣、残余、カスなど |
英語訳 | remnant(残滓、残り、残余、残物)など |
「残滓」の意味をスッキリ理解!
「残滓」の意味を詳しく
「残滓」は、残りかす、残ったものという意味です。
「残滓」は、物質的な残りかすを指す場合と、比喩表現として使われる場合とがあります。
それぞれの場合の意味について、「残滓」の漢字の意味、「残滓」の読み方と一緒に詳しく見ていきましょう。
意味①:物質的な残りかす
「残滓」は「物質的な残りかす」のことを表す表現です。
必要な部分や主要なものが取り除かれた後、物質的に何かが残っていることを言います。
たとえば、皿の上に残ったトマトのへたや、コップの底に溜まった沈殿のように、取るに足りない残ったものを「残滓」と言います。
意味②:(比喩的に)残ったものやこと
「残滓」は比喩的に「残ったものやこと」のことを表すこともあります。
この意味の場合は、「何かがかすかに残っていること」というニュアンスを表します。
たとえば、定年退職後もついつい現役時代と同じ時間に起床してしまうことを「働いていた頃の残滓だ」などと表現することができます。
このように、過去の物事の名残や、今でも覚えている記憶を「残滓」と言うことができます。
「残滓」の漢字
「残滓」を構成する漢字には、それぞれ以下のような意味があります。
- 残:のこり、あまり
- 滓:かす、水中の沈殿物
熟語では、「垢滓(こうし)」「岩滓(がんさい)」などと使われています。
「残滓」の読み方
「残滓」は「ざんし」と呼びます。
また、「残滓」は慣用的に「ざんさい」と読む場合があります。
「ざんさい」という読み方は本来誤りなのですが、誤読が広まり、定着してしまったので、現在では明確に誤りとは言えなくなっています。
「残滓」の使い方
「残滓」は、意味別に以下のように使うことができます。
「物質的な残りかす」の意味を表す時の使い方
- お米をスプーンで食べると、必ず残滓がついてしまう。
- 排水溝の中にある残滓を取り除く。
❶の例文では、米の残りかすのことを「残滓」と表現しています。
❷の例文では排水溝の中にある食べ物のかけらや髪の毛などを「残滓」と表現しています。
「(比喩的に)残ったものやこと」の意味を表す時の使い方
- 過去の恋人が忘れられないのは、記憶の残滓にしがみついているだけだ。
- 新制度を定着させるために、旧制度の残滓を清算する。
❶の例文では、いまだに覚えている恋人関係だった頃の記憶を「残滓」と表現しています。
❷の例文では、新制度が施行された後も残っている、旧制度の名残を一掃するという意味です。
このように、「残りを一掃する」ことを「残滓を清算する」と言うことができます。
この場合、過去の始末をつけるというニュアンスを表すことができます。
「残渣が残る」は意味が重複しており、誤った表現です。
「残渣」は「残ったもの」という意味である、「残る」というニュアンスが含まれているからです。
「残滓」の類義語
「残滓」には以下のような類義語があります。
- 残渣(ざんさ):ろ過した後などに残る不要物
- 残余(ざんよ):のこり、あまり
- カス:必要な部分を取り去った後の残り
- 名残(なごり):ある事柄が過ぎ去った後になお気配が残っていること
- 残分(ざんぶん):残った分
- 余分(よぶん):余った分
- 残留物(ざんりゅうぶつ):他の部分が取り去られた後の残り
「残滓」と「残渣」の違い
「残渣」はろ過した後などに残る不要物のことです。
「残滓」と「残渣」には以下のような違いがあります。
- 残滓:比喩的な意味で用いる
- 残渣:比喩的な意味は持たない
「残滓」は何かがかすかに残っていることを比喩的に表しますが、「残渣」は比喩的な意味を持ちません。
物質的に残ったもののみを表します。
「残滓」と「残余」の違い
「残余」は何かが取り除かれた後の残り物のことを表します。
「残滓」と「残余」には以下のような違いがあります。
- 残滓:残ったものに価値がない場合に用いる
- 残余:残ったものに価値がある場合に用いる
「残滓」の場合は「残りかす」という意味であり、残ったものに価値はありませんが、「残余」はあくまで残ったもののことを表します。
そのため、残ったものにも価値があるのです。
「残滓」の英語訳
「残滓」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- remnant
(残滓、残り、残余、残物)
“The way of thinking is a remnant of modern times.”
(その考え方は、近世の残滓だ。)
- residue
(かす)
“We reuse the residue left after making tofu.”
(私たちは豆腐を作る際に出るかすを再利用している。)
- vestige
(痕跡)
“Hiroshima has vestige of the atomic bomb.”
(広島は原爆の痕跡を残している。)
まとめ
以上、この記事では「残滓」について解説しました。
読み方 | 残滓(ざんし) |
---|---|
意味 | 残りかす、残ったもの |
類義語 | 残渣、残余、カスなど |
英語訳 | remnant(残滓、残り、残余、残物)など |
残滓は、小説などでよく使われている表現です。文学表現を覚えると、語彙力を飛躍的に向上させることができます。
「残滓」の意味をきちんとおさえ、正しく使いこなせるようにしましょう。