「羊頭狗肉」の意味とは?使い方から類語や英語や対義語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「羊頭狗肉(ようとうくにく)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「羊頭狗肉」をざっくり言うと……

読み方羊頭狗肉(ようとうくにく)
意味実質や内容が見かけと一致しないこと
由来羊の頭だと言って、犬の肉を売ってごまかすことから
類義語牛首を掲げて馬肉を売る、名存実亡、有名無実など
対義語言行一致、看板に偽りなし、有言実行など
英語訳“He cries wine and sells vinegar.” “nothing but symbolic”

「羊頭狗肉」の意味をスッキリ理解!

羊頭狗肉(ようとうくにく):実質や内容が見かけと一致しないこと

「羊頭狗肉」の意味を詳しく


「羊頭狗肉」とは、実質や内容が見かけと一致しないことです。

つまり、見掛け倒しのことです。ごまかすことのたとえとして日常会話で幅広く使われています。

また、良品に見せかけたり、宣伝は立派でも実際には粗悪な品を売ったりするたとえとしても使われます。

そのため、ネガティブな意味を持つ言葉だと言えます。

「羊頭苦肉」は間違い

「羊頭狗肉」の「狗肉」を「苦肉」とするのは間違いなので注意が必要です。

ちなみに、「苦肉」は「敵をあざむくために自分を苦しめる」という意味です。

「羊頭狗肉」の使い方

  1. 羊頭狗肉の商売をしていたライバル企業がついに摘発された。
  2. メニューの写真と実物とが全然違ったので、羊頭狗肉だと思った。
  3. 「政府は一丸となっている」とは羊頭狗肉もいいところだ。
  4. 実際はフリーターなのに商社マンだと言いはる彼の羊頭狗肉ぶりはすごいね。

上記の例文のように、「羊頭狗肉」は以下のような形で用いられることが多いです。

「羊頭狗肉」の言い回し
  • 羊頭狗肉もいいところだ
  • 羊頭狗肉の〇〇
  • 羊頭狗肉も甚だしい
  • 羊頭狗肉ぶり
  • まさに羊頭狗肉

①、②の例文のように、「羊頭狗肉」はビジネスや商売において「中身や内容が見かけと異なる」という意味で使われることが多いです。

③の例文では、政府が「一丸となっている」という主張に「中身がともなっていない」と批判しています。

「羊頭狗肉」を使った「羊頭狗肉も甚だしい」「羊頭狗肉ぶり」「まさに羊頭狗肉」などがあります。

「羊頭狗肉」の由来

「羊頭狗肉」は中国の宋の時代に書かれた『無関門(むかんもん)』という禅書が出典です。

禅書とは、仏教の一派である禅宗について書かれた本のことです。

「羊頭狗肉」は『無関門』に出てくる「羊頭を懸(か)けて狗肉を売る」という言葉を略したものです。

店頭の看板には「羊の頭」を売っていると掲げ、実際には「狗肉(犬の肉)」を売っていたエピソードからできた言葉なのです。

「羊頭を懸けて狗肉を売る」の意味とは?使い方から対義語まで例文付きで

「羊頭狗肉」の類義語

「羊頭狗肉」には以下のような類義語があります。

  • 牛首を掲げて馬肉を売る:見かけと中身が一致しないこと
  • 牛首馬肉(ぎゅうしゅばにく):見かけと実質が一致しないこと
  • 羊質虎皮(ようしつこひ):外見は立派だがそれにともなう中身がないこと
  • 言行齟齬(げんこうそご):言葉で表した内容とその人の行動が食い違うこと
  • 羊頭馬脯(ようとうばほ):見掛け倒しのこと
  • 名存実亡(めいそんじつぼう):名前だけが残り、実質がなくなること
  • 有名無実(ゆうめいむじつ):名前が知られているほどには価値がないこと
  • 竜頭蛇尾(りゅうとうだび):はじめは盛んで勢いがいいが、終わりは衰えて振るわなくなること
  • 見掛け倒し:外見は優れているが中身がともなっていないこと
  • 看板倒れ:看板だけが立派で実際はそうでないこと
  • ハリボテ:見かけは立派だが、中身はともなっていないことやもの
  • 玉を衒(てら)いて石を売る:見かけが立派でも内実は粗末であること

「羊頭狗肉」と「竜頭蛇尾」の違い

「竜頭蛇尾(りゅうとうだび)」は「はじめは勢いがいいが、終わりになると衰えること」という意味です。

「頭は竜で勢いがいいのに、尾は蛇のように細く、前後でバランスが取れていない」というたとえに由来しています。

「羊頭狗肉」と「竜頭蛇尾」には以下のような違いがあります。

  • 羊頭狗肉:見かけが立派で実質がともなわないこと、見掛け倒し
  • 竜頭蛇尾:はじめは盛んで勢いがいいが、終わりは衰えて振るわなくなること

「羊頭狗肉」と「竜頭蛇尾」では意味が大きく異なるのです。

たとえば「最初は勢いがあっても途中で飽きてしまう」ことに対して「竜頭蛇尾」は使えますが、「羊頭狗肉」とは言いません。

「羊」と「犬(狗)」、「竜」と「蛇」と二つの違う生き物をたとえているのでまぎらわしいですが、それぞれ言葉の由来を考えると意味を覚えやすいでしょう。

「竜頭蛇尾」の意味とは?使い方から類語や対義語や英語まで例文付きで

「羊頭狗肉」の対義語

「羊頭狗肉」には以下のような対義語があります。

  • 言行一致:発言と実際の行動に矛盾がないこと
  • 看板に偽りなし:外見と実質が一致していること
  • 看板かくれなし:外見と実質が一致していること
  • 有言実行:口にしたことを実行すること
  • 体現:理想や観念などを身を持って実現すること

「羊頭狗肉」の英語訳

「羊頭狗肉」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • He cries wine and sells vinegar.
    (ワインだと叫んで酢を売る)
  • nothing but symbolic
    (象徴的でしかない、羊頭狗肉だ)

まとめ

以上、この記事では「羊頭狗肉」について解説しました。

読み方羊頭狗肉(ようとうくにく)
意味実質や内容が見かけと一致しないこと
由来羊の頭だと言って、犬の肉を売ってごまかすことから
類義語牛首を掲げて馬肉を売る、名存実亡、有名無実など
対義語言行一致、看板に偽りなし、有言実行など
英語訳“He cries wine and sells vinegar.” “nothing but symbolic”

「羊頭狗肉」がポジティブな意味で使われることはありません。

使いどころには気を付けていきたいものです。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。