今回ご紹介する言葉は、熟語の「陽動(ようどう)」です。
以下では、「陽動」の意味・使い方・語源・類義語・英語訳・事例についてわかりやすく解説します。
☆「陽動」をざっくり言うと……
読み方 | 陽動(ようどう) |
---|---|
意味 | わざと目立つように行動をすること |
語源 | 「陽」が「うわべを偽る」という意味を持っている |
類義語 | 撹乱、フェイント |
英語訳 | diversion 、feint |
事例 | タンネンベルクの戦い(1410年) |
「陽動」の意味をスッキリ理解!
「陽動」の意味を詳しく
「陽動」とは、わざと目立つように行動することです。
しかし、「陽動」と単体で使われることはあまりありません。この単語はほとんどの場合、「陽動作戦」という形で使われます。
陽動作戦とは、相手に自分の意図を悟られないよう、わざと本来の目的とは違う行動を目立つように行うことを指します。
もともとは戦争で使われる手法の1つですが、日常生活の中でも比喩として使うことができます。
「陽動」の使い方
- おとりを使った陽動作戦が功を奏し、わが軍は勝利を収めることができた。
- あれは陽動作戦だ。彼の本当の目的はきっと別にあるから、気をつけなさい。
①では、陽動作戦を行ったおかげで、敵に勝利できたことが述べられています。陽動作戦では、おとりを使って敵の注意を逸らすことが多いです。
②では、陽動作戦に対して注意を促しています。陽動作戦で行っている行動は、本来の作戦とは関係のないことです。そのため、本来の目的は別にあることが普通です。
「陽動」の語源
「陽」という漢字は、「太陽」や「陽気」という単語に表されるように、一般的には明るく積極的なイメージを抱かれています。
しかし、現在ではあまり使われていませんが、本来は「うわべを偽る」という意味も持っています。
「陽」をこのような意味で使っている単語としては、他に「陽言」が挙げられます。「偽って言うこと、またその言葉」を指しています。
「陽動」の類義語
陽動には以下のような類義語があります。
- 撹乱(かくらん):混乱させること
- フェイント:(主にスポーツで)相手を混乱させるために、見せかけの動作をすること
いずれにしても、「相手を惑わせる」という意味を持っています。例文は以下のとおりです。
- 彼の身勝手な行動は、会社全体を撹乱させた。
- その選手はたくみなフェイントをかけて、相手選手を出し抜いた。
「陽動」の英語訳
陽動を英語に訳すと、次のような表現になります。
- diversion
(注意をそらすこと) - feint
(陽動作戦、ふりをする)
「陽動作戦」の事例
陽動作戦の具体的な事例として有名なのは、タンネンベルクの戦いです。
タンネンベルクの戦いは、1410年にポーランド王国・リトアニア大公国連合軍とドイツ騎士団の間で起こった戦争です。
戦いが始まると、まずリトアニア騎兵が沼地の方へと撤退していきました。ドイツ騎士団はそれを追従し、ポーランド国王の陣営に迫ります。
しかし、そこでリトアニア兵は体勢を立て直し、反撃し始めました。
これは、リトアニア騎兵をおとりとして利用した陽動作戦でした。攻撃に失敗して敗走したと見せかけ、ドイツ騎士団のおびき寄せて、陣形を崩させるのが目的です。
リトアニア騎兵を追ったドイツ騎士団の陣形が崩れたところに、ポーランド・リトアニア連合軍が攻め込みました。
この陽動作戦をきっかけに、ポーランド・リトアニア連合軍は勝利を収めました。
まとめ
以上、この記事では「陽動」について解説しました。
読み方 | 陽動(ようどう) |
---|---|
意味 | わざと目立つように行動をすること |
語源 | 「陽」が「うわべを偽る」という意味を持っている |
類義語 | 撹乱、フェイント |
英語訳 | diversion 、feint |
事例 | タンネンベルクの戦い(1410年) |
相手を惑わせるために、わざと目立つように行動することは「陽動」と表現できます。
あまり耳にする機会の少ない単語ですが、正しく意味を理解して使うようにしましょう。