今回ご紹介する言葉は、故事成語の「夜郎自大」です。
この言葉は小説などで出てくることがあります。
出てきた時に意味がわからないと、スムーズに小説を読んでいくことができないですよね。
そこで、「夜郎自大」の意味、由来、例文、類義語、英訳についてわかりやすく解説します。
☆「夜郎自大」をざっくり言うと……
読み方 | 夜郎自大(やろうじだい) |
---|---|
意味 | 自分の力量を知らずにいばっている人のこと |
由来 | 夜郎国の王が「わが国と漢ではどちらが大きいか」と質問したことから |
類義語 | 唯我独尊、遼東の豕、井蛙の見、など |
英語訳 | act with arrogance and recklessness |
「夜郎自大」の意味をスッキリ理解!
「夜郎自大」の意味を詳しく
「夜郎自大」とは、自分の力量を知らずにいばっている人のことです。
ちなみに、「夜郎」とは、中国の漢の時代、漢の西南の土地にあった未開部族の国の名前です。
現在の貴州省もしくは雲南省あたりにあったと言われています。
また、「自大」とは、自らいばり、尊大な態度をとることです。
つまり、「夜郎自大」とは、夜郎という国が自らいばり、尊大な態度を取っていたことから生まれた故事成語なのです。
そして、知識や力量もないのに、尊大にふるまうことのたとえとして用いられます。
ちなみに、「野郎自大」という表記は間違いなので注意が必要です。
「夜郎自大」の由来
「夜郎自大」の由来は、『史記』の西南夷伝(せいなんいでん)という章です。
漢帝国の大きさや偉大さを知らない夜郎国の王様は、漢から使者がやってきた時に、自分の国だけが大国だと思い込んで、「わが国と漢ではどちらが大きいのか」と質問したのです。
ちなみに、実際には漢帝国の大きさは夜郎国の数倍ありました。
ここから、夜郎国のように自らの立場を知らずにうぬぼれることを「夜郎自大」と言うようになりました。
『史記』とは、中国の前漢の時代に歴史家の司馬遷(しばせん)によって記された中国の歴史書です。
そして、中国の歴史書としては一番有名と言っていいでしょう。
ちなみに、『史記』は歴史的価値が高い上、文学的にも優れた作品です。
そして、「夜郎自大」以外にも、『史記』から生まれた故事成語はたくさんあります。
例えば、「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」「四面楚歌(しめんそか)」「酒池肉林(しゅちにくりん)」「傍若無人(ぼうじゃくぶじん)」などです。
「夜郎自大」の例文
- 彼は夜郎自大な男なので、やがて痛い目を見ることになるだろう。
- 夜郎自大なA社は大手と価格競争を繰り広げ、ついには倒産してしまった。
- 夜郎自大にはなりたくないものだ。
「夜郎自大」の類義語
「夜郎自大」には以下のような類義語があります。
- 蜀犬吠日(しょくけんぼうじつ):当たり前のことでも、無知だと疑ってしまうということ
- 井蛙の見(せいあのけん):見識が狭いことのたとえ
- 唯我独尊(ゆいがどくそん):この世で自分より偉い人はいないとうぬぼれること
- 用管窮天(ようかんきゅうてん):視野が狭くて見識が足りないこと
- 遼東の豕(りょうとうのいのこ):つまらないことを誇りに思ってうぬぼれること
- 尺沢の鯢(せきたくのげい):経験が少なく知識が狭いこと
「夜郎自大」の英語訳
「夜郎自大」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- act with arrogance and recklessness
(おごって無謀にふるまう)
まとめ
以上、この記事では「夜郎自大」について解説しました。
読み方 | 夜郎自大(やろうじだい) |
---|---|
意味 | 自分の力量を知らずにいばっている人のこと |
由来 | 夜郎国の王が「わが国と漢ではどちらが大きいか」と質問したことから |
類義語 | 唯我独尊、遼東の豕、井蛙の見、など |
英語訳 | act with arrogance and recklessness |
「夜郎自大」はネガティブな意味の言葉でしたね。
周りの人から「夜郎自大」だとは思われたくないものです。