「つるべ落とし」とは?意味と使い方を例文付きでわかりやすく解説

言葉

「つるべ落とし」には、「秋は日が暮れるのが早いということ」「物の相場(そうば)が急落すること」「人を食べる妖怪」という3つの意味があります。

「つるべ落とし」は、字面から意味が予想しづらいため、「どのようなときに使うのだろう」と気になる人が多いのではないでしょうか。

この記事では、「つるべ落とし」の3つの意味や例文、由来などについて詳しく解説します。

「つるべ落とし」の意味

つるべとし

  1. 秋は日が暮れるのが早いということ
  2. 物の相場が急落すること
  3. 人を食べる妖怪

「つるべ落とし」には、上記3つの意味があります。

なお、「つるべ落とし」は「釣瓶落とし」と書くことも多いです。

「釣瓶」を「鶴瓶」と書き間違えないようにしましょう。

ここからは、「つるべ落とし」のそれぞれの意味を詳しく解説します。

意味①秋は日が暮れるのが早いということ

「つるべ落とし」の1つ目の意味は、「秋は日が暮れるのが早いということ」です。

四季のなかで、最も早く日が暮れる季節は秋です。

そのため、「秋は、日没までの時間が非常に短い」ということをたとえる言葉が、「つるべ落とし」なのです。

秋の日没時刻を詳しく
日が沈むスピードは、季節の変わり目ごとに、以下のように異なります。

  • 春〜夏:遅い
  • 夏〜秋:早い

このように、夏から秋にかけて、日没の速度は早くなります。

特に11月は、16時30分には太陽が沈みます。

6月の日没が19時ごろであることをふまえると、秋はとても早く日が沈むことがわかります。

意味②物の相場が急落すること

「つるべ落とし」の2つ目の意味は、「相場が急落すること」です。

特に、「株価がどこまでも落ちていく様子」を指すときに使います。

ただし、現実的には、物の相場がずっと下がり続けるという現象は、まずありえません。

なぜなら、相場は常に上がったり下がったりするものだからです。

意味③人を食べる妖怪

「つるべ落とし」の3つ目の意味は、「人を食べる妖怪」というものです。

その習性については、様々な説があります。

「つるべ落とし」の習性
  • 生首の姿で、木の上から突然落ち来て、人間を食べる
  • 縄の先に容器をつけて落とし、人間を釣り上げて食べる

「つるべ落とし」は、近畿地方・東海地方において、人々から恐れられてきました。

具体的には、以下のような地域で伝わる妖怪です。

妖怪「つるべ落とし」が伝わる地域
  • 京都府
  • 滋賀県
  • 岐阜県
  • 愛知県
  • 和歌山県

水木しげる原作の漫画『ゲゲゲの鬼太郎』で、「つるべ落とし」というキャラクターが登場したことをきっかけに、全国的に知られるようになりました。

「つるべ落とし」の使い方


「つるべ落とし」のそれぞれの意味に分けて、具体的な使い方を見てみましょう。

  1. 秋は日が暮れるのが早いということ
  2. 相場などが急落すること
  3. 人を食べる妖怪

使い方①秋は日が暮れるのが早いということ

「秋は日が暮れるのが早いということ」という意味で「つるべ落とし」を使うときは、「秋の日はつるべ落とし」という形で用いることがほとんどです。

例文
  1. 秋の日はつるべ落としだね。外はもう真っ暗だ。
  2. 秋の日はつるべ落としなので、帰り道には気をつけてください。
  3. 秋の日はつるべ落としだから、日が沈むのをいつも見逃してしまう。

「秋の日はつるべ落とし」という言い回しは、一種のことわざや慣用句として定着しています。

「秋の日はつるべ落とし」の誤用

「秋の日はつるべ落とし」は、「日にちがあっとういまに経つ」という意味ではありません。

ここでの「日」は「日の入り」を指しており、「日にち、日数」を表しているわけではないからです。

× 秋の日はつるべ落としで、あっという間に冬になろうとしている。
× 秋の日はつるべ落としで、12月に突入した。

季語として使う場合

「秋は日が暮れるのが早い」という意味での「つるべ落とし」は、俳句の季語として使うことも多いです。

俳句の例
  • 時計塔 鳴り出で 釣瓶落しかな
    和田 敏子(わだ としこ)
  • ビニールハウス つるべ落しの 日をはじく
    阿波野 青畝(あわの せいほ)
  • つるべ落し 反動のごと 月上がり
    宮津 昭彦(みやつ あきひこ)
  • 書庫梯子(しょこはしご) 降りずに釣瓶落しかな
    能村 研三(のむら けんぞう)

なお、別の意味合いで「つるべ落とし」が使われる例もあります。

たとえば、次の俳句では、70歳になったとたん、あっと言う間に離婚することになったことを表しています。

俳句の例
七十や つるべ落しの 離婚沙汰
文挟 夫佐恵(ふばさみ ふさえ)

「つるべ落とし」は6文字です。そのため、「つるべ落とし」という言葉を単独で使うと、5・7・5のかたちに当てはまりませんが、秋を表す季語として人気の言葉です。

また、「つるべ落としの」などと言葉を加えると、7文字になるため、より俳句に使いやすくなります。

使い方②相場などが急落すること

「相場などが急落すること」という意味での「つるべ落とし」は、以下のように使うことができます。

例文
  1. 今日の株価の動きは、つるべ落としだ。
  2. いま、世界の石油価格がつるべ落としになっている。
  3. 当時、その商品の価格はつるべ落としだった。

使い方③人を食べる妖怪

「人を食べる妖怪」という意味での「つるべ落とし」は、以下のように使うことができます。

例文
  1. この井戸には、つるべ落としがいるらしい。
  2. その古文書は、つるべ落としの伝説について書かれている。
  3. 悪いことをしていたら、つるべ落としがやってくるよ。いい子にしなさい。

「つるべ落とし」の由来


「つるべ落とし」の意味は、釣瓶(つるべ)が井戸のなかに速く落ちる様子に由来します。

釣瓶とは、井戸から水を汲み上げるために使う桶(おけ)のことです。

↑釣瓶

釣瓶で水を汲む際は、以下のような作業が行われます。

釣瓶で水を汲む作業
  1. 釣瓶に縄をつける
  2. その縄を滑車にかける
  3. 滑車を使って、釣瓶を井戸のなかに落とす
  4. 滑車にかけた縄をたぐって、水が入った釣瓶を上げていく

井戸の水を汲みあげるとき、釣瓶は、井戸の底に真っ逆さまに落ちます。

この「速く落ちていく様子」が、「つるべ落とし」の1つ目の意味「秋は日が暮れるのが早いということ」につながっているのです。

「秋は日が暮れるのが早い」という意味が、さらに2つ目の「物の相場が急落する」という意味に派生しました。

妖怪「つるべ落とし」の名前は、人間を釣り上げて食べるという習性が、釣瓶を引き上げる作業に似ていることと関係しています。

「つるべ落とし」の類義語

「つるべ落とし」には以下のような類義語があります。

  • 秋の日の鉈(なた)落とし
    秋は日が暮れるのが早いということ
  • 急降下(きゅうこうか)
    数値や値段がなどが急激に下がること

「秋の日の鉈落とし」は、「秋は日没が早い」という意味での「つるべ落とし」の類義語です。

また、「急降下」は、「物の相場が急落する」という意味での「つるべ落とし」の類義語です。

「つるべ落とし」の対義語

「つるべ落とし」には以下のような対義語があります。

  • 鰻上り(うなぎのぼり)
    物の相場などが、何かをきっかけに急に上がること
    ※「鰻登り」とも書く
  • 青天井(あおてんじょう)
    物の相場がどこまでも上がること
    ※青空を指すこともある
  • 急上昇(きゅうじょうしょう)
    数値や値段がなどが急激に上がること

これらの言葉は、「物の相場が急落する」という意味での「つるべ落とし」の類義語です。

「つるべ落とし」の英語訳


「つるべ落とし」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Autumn dusk comes without warning.
    (秋の日はつるべ落とし)
  • The sun sets very fast in autumn.
    (秋の日はつるべ落とし)
  • a sharp fall in prices
    (価格の急落)

補足:つるべ落としの滝


日本には、「つるべ落としの滝」という滝があります。

静岡県の駿東郡(すんとうぐん)長泉町(ながいずみちょう)にある、高さ20mほどの滝です。

↑つるべ落としの滝

[出典:伊豆半島ジオパーク]

「つるべ落としの滝」には「幻の滝」という別名があります。

水が流れない時期もあり、滝を見ることができる時期が限られているからです。

「つるべ落としの滝」は、地元のハイキングコースに組み込まれてて、観光地としても有名です。

滝に至るまでの道では、古い火山の溶岩を見ることができます。

「つるべ落とし」のまとめ

以上、この記事では「つるべ落とし」について解説しました。

読み方つるべ落とし(おとし)
意味秋は日が暮れるのが早いということ
物の相場(そうば)が急落すること
人を食べる妖怪
由来井戸のなかに釣瓶が速く落ちていく様子から
類義語秋の日の鉈落とし
対義語鰻上り
青天井
英語訳Autumn dusk comes without warning.
(秋の日はつるべ落とし)
a sharp fall in prices
(価格の急落) など

気候に関する会話をする機会は、日常生活のなかで多いのではないでしょうか。

「秋は日が短いですね」と言いたいとき、「秋の日はつるべ落とし」という表現を使ってみると、いつもと違う印象を残すことができます。

「相場が急落する」「人を食べる妖怪」という意味も、これを機にしっかり覚えましょう。

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Chinatsu
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新卒1年目でWebライター3年目。 学生時代からWebライターの仕事を始め、多くの記事を執筆・編集してきました。 丁寧な解説に定評があります。