今回ご紹介する言葉は、熟語の「徒労(とろう)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「徒労」をざっくり言うと……
読み方 | 徒労(とろう) |
---|---|
意味 | 無駄な努力。無益な労力 |
類義語 | 無駄骨、無駄足、骨折り損など |
英語訳 | fruitless effort(無駄な努力) |
「徒労」の意味をスッキリ理解!
「徒労」の意味を詳しく
「徒労」とは、「無駄なことに力を貸すこと」を表します。また、無駄な労力を使うことから、「努力が報われないさま」という意味もあります。
「徒」には、「実を結ばないさま。甲斐がないさま。」という意味があります。この「徒」に、「力を尽くして働く」という意味の「労」を加えた言葉が「徒労」です。つまり、「徒労」には、「力を尽くして働いたけれど、努力が実を結ばないさま」という状態を表す意味が込められています。
「努力が水の泡になる」という言葉がありますが、「徒労」はこれとまったく同じ意味です。どちらも、それまでの努力が台無しになることを指しています。
「徒労」は、どんなに苦労をしても、結果的に何も価値が生まれないという、ネガティブな意味で用いられる言葉なのです。
「徒労」の使い方
- 大会に向けて必死に練習してきたが、怪我をして出場できず徒労に終わった。
- 何も解決に繋がらなかった警察の捜査は、まさに徒労であった。
- せっかく完成させた作品を誰かに壊されてしまい、徒労感に襲われる。
- 一生懸命育ててきた作物が、台風被害に遭い徒労に帰すこととなった。
「徒労」は、書籍や新聞など文章の中で使われることが多い言葉です。ちなみに、小説の中では、「徒労」と書いて「むだ」と読ませる表現もあります。
また、「徒労」の特殊な使い方は、大きく分けて 3つあります。
- 徒労に終わる:一生懸命努めたが、無駄に終わるさま
- 徒労感に襲われる:苦労しても結果が得られず、気力がなくなるさま
- 徒労に帰す:どれだけ努力をしても、振り出しに戻されるさま
「徒労に終わる」は、上記 3つにおいて最も使われる表現です。努力の結果が報われなかった状態や物事を表す、ネガティブな言葉です。
「徒労感に襲われる」という表現も、比較的よく用いられます。また、「徒労感」という言いまわし自体がよく使われます。報われなかった精神的なダメージを表し、やりきれない感情や落胆した気持ちなどを指します。
「徒労に帰す」は、「とろうにきす」と読みます。「かえす」とは読まないので、注意しましょう。
「帰す」には「物事を元の状態に戻す」という意味があります。つまり、「状態が元に戻る」ということを表します。「徒労に帰す」は、積み上げた努力がすべてなくなる様子を示す時に用いられます。
「徒労」の類義語
徒労には以下のような類義語があります。
- 無駄骨(むだぼね):力を尽くしたが、結果が何も残らなかったさま。
- 無駄足(むだあし):せっかくその場に行ったのに、目的を果てせなかったこと。
- 骨折り損のくたびれ儲け:苦労して努めたのに、努力が無駄になること。
「骨」という言葉がよく含まれますが、ここでは苦労することを指しています。
自らの骨を折るような苦しい思いをしながら働いたのに、何の役にも立てなかったさま、努力が実らなかったさまを表します。
徒労と疲労の違い
「徒労」と同じ「労」を用いている「疲労」という言葉があります。しかし、「疲労」は「徒労」の類義語には含まれません。
「疲労」とは、「労力を使って精神や身体が疲れること。またはその状態。」という意味を持ちます。「労力を費やす」という点では「徒労」と同じ意味ですが、労力が有益だったか、無益だったのかという点に違いがあります。
「疲労」にはさまざまな種類があります。自分が嫌なことを無理矢理強いられたときの「疲労」の他に、スポーツなどやりがいのあることを成し遂げた後の心地よい「疲労」もあります。
たとえ労力が有益であろうと、無益であろうと、疲れていれば「疲労」に当てはまります。
しかし、「徒労」は労力が無益だったときのみ用いられる表現です。「疲労」がネガティブな意味もポジティブな意味も兼ね合わせるのに対し、「徒労」はネガティブな意味のみを持ちます。
したがって、「疲労」は「徒労」の類義語とは言えません。
「徒労」の英語訳
徒労を英語に訳すと、次のような表現になります。
- fruitless effort
(無駄な努力) - get nowhere
(成功しない、効果が無い) - come to nothing
(無駄になる) - be in vain
(甲斐がない) - prove fruitless
(徒労に帰する) - wasted effort
(無駄になった努力)
fruitless effort と prove fruitless に含まれる fruitless は、「果物」を意味する fruit と、「かなり少ない」という意味を持つ less を合わせて作られた単語です。直訳すると「かなり少ない果物」となり、転じて「実を結ばない」という意味を表します。
そのため、fruitless は「無駄」という意味で用いられています。
まとめ
以上、この記事では「徒労」について解説しました。
読み方 | 徒労(とろう) |
---|---|
意味 | 無駄な努力。無益な労力 |
類義語 | 無駄骨、無駄足、骨折り損など |
英語訳 | fruitless effort(無駄な努力) |
「徒労」と「疲労」は、似ている部分もあれば全く異なる意味を持つ、ややこしい言葉です。きちんと使い分けて用いるためにも、異なる点をしっかり理解しましょう。
力を尽くして積み重ねてきた努力も、時にはどうしても無駄になってしまうことがあります。とても悲しいことですが、努力をしていた時間を無題にするかは自分次第です。無駄になった努力の経験を今後へと活かすことが大切です。
たとえ無駄になったとしても、「徒労感」に浸り続けることなく、次へと繋げていきましょう。