「多事争論」の意味とは?英語や類義語までわかりやすく解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「多事争論(たじそうろん)」です。

以下では、「多事争論」の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「多事争論」をざっくり言うと……

読み方多事争論(たじそうろん)
意味多くの人が様々な議論をすること。
由来福沢諭吉『文明論之概略』(明治8年)
類義語議論百出、毀誉褒貶、談論風発、意見交換など
英語訳various discussion, a lot of arguments

「多事争論(たじそうろん)」の意味をスッキリ理解!

多事争論(たじそうろん):多くの人がさまざまな角度から議論すること。

「多事争論(たじそうろん)」の意味を詳しく

「多事争論」とは、違う意見を持つ多くの人が、さまざまな事柄に関して議論することです。

多事争論は、「多事」と「争論」の二語から成ります。

「多事」は、「するべき事柄が多い」、また「事件や災難が多い」という2つの意味を持ちます。今回は、前者の意味で使われています。

「争論」は、言い争うという意味を持ちます。

「多事争論(たじそうろん)」の使い方

  1. コメンテーターの多事争論がテレビ番組で放送される。
  2. クラスでの多事争論の末、体育祭のスローガンが決まった。
  3. 多事争論が繰り広げられるのは良いが、ひとつの結論にまとめることが大切だ。

①では、異なる意見を持ったコメンテーターが、さまざまな事柄について議論を繰り広げている様子が描かれています。

②では、クラスのメンバー間でさまざまな意見交換がなされ、結果として1つのスローガンが決まった様子が描かれています。

③では、多くの人が自分の意見をぶつけるだけでは解決せず、ひとつの方向性を見出すことを目的にすべきであると述べられています。「多事争論」は、問題解決のためにすべきであるということです。

「多事争論(たじそうろん)」の由来

「多事争論」という言葉は、明治8年に福沢諭吉によって書かれた『文明論之概略(ぶんめいろんのがいりゃく)』に出てきます。

「自由の気風は唯(ただ)多事争論の間に在(あ)りて存するものと知る可(よ)し」という一節が、「多事論争」の由来です。

「異なる意見を持つ者同士が議論することが、何よりも重要である」ということを意味する言葉として使われています。集団の中で、ひとつの意見が強い力を持つと、自由で活発な気質が失われてしまいます。多くの人が自分の意見を交換し合うことこそが重要であると福沢諭吉は説いたのです。

以上に記したことが、「多事争論」という四字熟語が使われるようになった由来です。

「多事争論(たじそうろん)」の類義語

「多事争論(たじそうろん)」には以下のような類義語があります。

  • 議論百出(ぎろんひゃくしゅつ):様々な意見が多く出されて、活発に議論をすること。
  • 毀誉褒貶(きよほうへん):賞賛したり非難すること。
  • 談論風発(だんろんふうはつ):活発に議論が行われること。
  • 意見交換(いけんこうかん):互いに意見を出し合うこと。

それぞれ多事争論の類義語ではありますが、少しずつ意味に違いがあります。

意味の違いを知り、正しく使えるようにしたいですね。

「多事争論(たじそうろん)」の英語訳

「多事争論(たじそうろん)」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  •  various discussion (さまざまな議論)
  • a lot of arguments(さまざまな議論)

上記の英語訳の使用例は以下の通りです。

  • various discussions were made by some experts about global warming.”
    (有識者間で、地球温暖化についてさまざま議論が行われた。)
  • “There were a lot of arguments about the appropriate behavior of a leader.”
    (指導者の適切な振る舞いについて、さまざまな議論がなされた。)

まとめ

以上、この記事では「多事争論(たじそうろん)」について解説しました。

読み方多事争論(たじそうろん)
意味多くの人が様々な議論をすること。
由来福沢諭吉『文明論之概略』(明治8年)
類義語議論百出、毀誉褒貶、談論風発、意見交換など
英語訳various discussion, a lot of arguments

「多事争論」という四字熟語は普段あまり聞くことのない言葉かもしれませんが、正しく使えるようにしましょう。