今回ご紹介する言葉は、熟語の「修羅場(しゅらば)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「修羅場」をざっくり言うと……
読み方 | 修羅場(しゅらば) |
---|---|
意味 | 演劇や講談における激しい戦闘の場面、転じて痴情のもつれた男女の場面 |
語源 | 仏教のおしえである「修羅道」の一幕から |
類義語 | 正念場など |
英語訳 | pandemonium、scene of carnageなど |
「修羅場」の意味をスッキリ理解!
「修羅場」の意味を詳しく
「修羅場」の原義は「激しい戦闘が行われている場所」という意味です。そもそもこの言葉は、演劇や講談の中で用いられる言葉でした。能や歌舞伎、浄瑠璃など、伝統芸能の世界においても、1つの演目として成立しているものも多いです。
そこから転じて、最近よく用いられるようになったのが、「男女関係のもつれた、ドロドロとした場面」という意味です。不倫や浮気、三角関係や略奪など、恋愛が絡んだ人間関係のもつれから起こる、思わず目を逸らしたくなるような場面に対して使うのが、現在の主な用法です。
「修羅場」の使い方
- 祖父曰く、戦時中の状況はまさに修羅場と呼べるものだったという。
- せっかくの誕生日会が、二股がバレたせいで修羅場と化した。
上記の2文は、それぞれ異なる意味で「修羅場」を使用した文章です。
①の例文における意味は、「凄まじい戦闘が行われている様子」という意味で、こちらの使い方が原義です。戦争による戦闘の激しさと、荒れ果てた当時の状況が、「修羅場」と言う単語でよく表されていると言えますね。
②の例文における意味は、「恋愛関係の乱れによる、混沌とした場面」という意味です。例文内では、せっかくの楽しげな雰囲気が、二股の発覚という恋愛上の問題によってめちゃくちゃになってしまった、という内容が「修羅場」の一言で表現されています。
近頃では、そもそも伝統芸能や演劇といったものが、若い世代中心に当たり前でなくなったためか、②の意味ばかり用いられるようになっています。
しかし、「修羅場をくぐり抜ける」などの使われ方をした際には、①の意味が該当します。このようにふとした時に①の意味で用いられることがありますので、「修羅場」は上記の2つの意味を持つ言葉として認識しておくことが重要です。
「修羅場」の語源
「修羅場」は、仏教の世界に由来を持つ言葉です。
そもそもこの言葉は、仏教における教えの「六道」の1つ、「修羅道」からきています。「修羅道」は現世で悪事を働いた者が向かう場所で、その場で仏教上の神である阿修羅と帝釈天が戦うシーンを「修羅場(しゅらじょう)」といったことが直接の由来になります。
また、そうした場面や教えを伝統芸能の世界で表現するようになり、長らく演劇の世界で用いられてきました。能における二番目の「修羅物」、浄瑠璃の二段目に多い「修羅場」などがその代表例です。
「修羅場」の類義語
修羅場には以下のような類義語があります。
- 正念場(しょうねんば):真価を発揮すべき、重要な場面・歌舞伎や浄瑠璃において、演目の中で最も盛り上がる場面
- 天王山(てんのうざん):勝負の分かれ目となる重大な局面
この「正念場」という単語は意味合いだけでなく、「修羅場」と同じように、演劇や芸能の世界で用いられてきた、という面でも非常に似通った言葉です。しかし厳密に同義というわけではなく、恋愛関係の乱れを形容した意味も持たないので、区別が必要と言えるでしょう。
「修羅場」の英語訳
修羅場を英語に訳すと、次のような表現になります。
- scene of carnage
(修羅道・修羅の巷) - pandemonium
(大混乱・地獄)
まとめ
以上、この記事では「修羅場」について解説しました。
読み方 | 修羅場(しゅらば) |
---|---|
意味 | 演劇や講談における激しい戦闘の場面、転じて痴情のもつれた男女の場面 |
語源 | 仏教のおしえである「修羅道」の一幕から |
類義語 | 正念場など |
英語訳 | pandemonium、scene of carnageなど |
「修羅場」は原義で用いられることが少なくなってきた分、文章などに不意に出てきた際に、どのような意味で用いられているのか困惑してしまうことが少なくありません。両方の意味を区別し、使い分けられるようにしておくことが大切です。