サプライチェーンとは「商品が作られてから消費者に届くまでの工程を、一連の流れとして捉える考え」という意味です。
サプライチェーンはビジネスで使われる言葉なので、その詳しい意味を知る機会はなかなかないですよね。
この記事では、サプライチェーンの意味やメリット、デメリットなどを詳しく解説します。
☆「サプライチェーン」をざっくり言うと……
英語表記 | サプライチェーン(supply chain) |
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意味 | 商品が作られてから消費者に届くまでの工程を、一連の流れとして捉える考え |
語源 | 「供給連鎖」という意味の英単語“supply chain” |
類義語 | ロジスティクス 供給連鎖 |
このページの目次
「サプライチェーン」の意味
商品が作られてから消費者に届くまでの工程を、一連の流れとして捉える考え
例:サプライチェーンの考えを持っている。
サプライチェーンとは、商品が作られてから消費者に届くまでの工程を、一連の流れとして捉える考えのことです。
または、この考えをもとにして作られた「商品が作られてから消費者に届くまでの工程を、一続きとするシステム」のことです。
商品が消費者のもとに届けられるまでには、以下のような多くの工程が必要です。
- 商品の企画・考案
- 原材料の調達
- 商品の製造
- 在庫管理
- 流通
- 販売
- 配送
上記のような工程を、それぞれが完全に独立したものとして扱うのではなく、連動しあい、連続しているものと考えるのです。
サプライチェーンを簡単に言えば、「製品が消費者に届くまでの全過程」のことなのです。
それぞれの工程を別の企業が行っていたとしても、サプライチェーンでは一続きのものであると考えます。
「サプライチェーンマネジメント」の意味
サプライチェーンマネジメントとは、サプライチェーンを実際の経営に取り入れて、工程を一連の流れとして管理し、連携することです。
サプライチェーンマネジメントは、その頭文字をとって「SCM」と表記されることが多いです。
「サプライチェーン」のメリット
サプライチェーンには、以下のようなメリットがあります。
- 顧客の意見を反映しやすい
- 需要変動に対応しやすい
- コストを削減できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
メリット➀:顧客の意見を反映しやすい
サプライチェーンでは、顧客の意見を反映しやすくなります。
たとえば、消費者からの意見をもらいやすいのは販売の工程です。
しかし、販売と製造の連携ができていない場合には、消費者からの意見はなかなか製造の段階に反映されません。
このような際に、サプライチェーンであれば、販売の工程から製造、さらには商品企画の段階までもが連携しているので、意見をスピーディーに反映できるのです。
メリット➁:需要変動に対応しやすい
サプライチェーンでは、世の中の需要変動に対応しやすいというメリットがあります。
製造・生産管理・販売・配送などがそれぞれバラバラに機能している場合は、需要や消費動向に合わせた臨機応変な対応がとりにくくなります。
これらを連携することで、世の中の動向に素早く対応できるのです。
また、販売や製造などの全ての工程でのデータをまとめて管理することができるため、需要の大幅な増加や減少などの環境変化が起こった際にも、対応が可能です。
メリット➂:コストを削減できる
サプライチェーンでは、コストの削減が期待できます。
サプライチェーンの考えを取り入れることで、仕入れから配送までの業務プロセスが最適化できます。
サプライチェーン全体の情報を見ることで、仕入れの適正数量や、小売店舗へのベストな配送タイミングなど、多種多様な情報を知り、適切な判断が下せるということです。
それにより、無駄なコストを発生させずに、特に物流プロセスのコストを大きく減らすことができます。
「サプライチェーン」のデメリット
サプライチェーンには、以下のようなデメリットがあります。
- 組織の内外で発生する事象の影響を受けやすい
- 情報共有が難しい
デメリット➀:組織の内外で発生する事象の影響を受けやすい
サプライチェーンでは、広い範囲の行程をひとくくりにするため、リスクを受ける可能性も大きくなってしまいます。
他の企業や工程、エリアで発生した問題が、それ以外の部分に影響しやすくなってしまうのです。
デメリット➁:情報共有が難しい
現代では、ひとつの製品をひとつの企業が企画、製造、販売、配送するという例はほとんど見られません。
ほとんどの場合、工程や部品によって担当の企業が異なっているのです。
つまり、サプライチェーンやサプライチェーンマネジメントを採用する場合には、複数の企業との連携が必要不可欠になるということです。
その際に、地域や業界が異なると、コミュニケーションをとるのが難しい場合があります。
「サプライチェーン」の使い方
サプライチェーンは、「製品が消費者に届くまでの全工程をひとつながりとして捉える考え」を表す場合と、「製品が消費者に届くまでの全工程をひと続きとするシステム」を表す場合があります。
また、サプライチェーンマネジメントのことを、単にサプライチェーンと表現している場合もあるので注意が必要です。
実際の例文を見ていきましょう。
- サプライチェーンによって、情報管理を行う。
- 我が社のサプライチェーンマネジメントは、よい効果を発揮している。
- サプライチェーンを採用してから、社員の意識が変わった。
➀のサプライチェーンは、「製品が消費者に届くまでの全工程をひと続きとするシステム」という意味で使われています。
➂のサプライチェーンは、「製品が消費者に届くまでの全工程をひとつながりとして捉える考え」という意味で使われています。
サプライチェーンマネジメントは、あくまで「経営手法」や「経営方針」を表す言葉です。
そのため、あるひとつの製品に対して「サプライチェーンマネジメントを行う」という表現はしないように注意しましょう。
「サプライチェーン」の語源
サプライチェーンの語源は、英語の “supply chain” です。
- supply
供給 - chain
連鎖
製品を「供給」するまでの工程を「連動」「連鎖」させるという考えから、このような表現になりました。
英語の “supply chain” は、カタカナ語のサプライチェーンと同じ意味を持ちます。
「サプライチェーン」の類義語
サプライチェーンには以下のような類義語があります。
- ロジスティクス
原材料調達から生産・販売に至るまでの物流、またはそれを管理する過程 - 供給連鎖
商品が作られてから消費者に届くまでの工程を、一連の流れとして捉える考え
「サプライチェーン」と間違いやすい言葉
サプライチェーンには以下のような似た言葉があります。
- バリューチェーン
事業の工程ごとに製品やサービスに価値が付加されていくという考え - ブロックチェーン
ビットコインの中核の取引データを分散型台帳として実現する技術 - エンジニアリングチェーン
商品情報とその技術のつながりのこと
語感が似ているうえに、使われる分野も似ているので、意味を混同してしまう人が多いです。
サプライチェーンとの意味の違いをしっかりと理解しておきましょう。
分散型台帳とは、「地理的には別々のエリアにあるが、ネットワーク間で共有されるデータベース上で作られた台帳」です。
つまり、中央の機関やシステムが独自で台帳を作るのではなく、別のエリアからも台帳を編集したり、確認したりすることができるシステムを表すのです。
「サプライチェーン」と「バリューチェーン」の違い
バリューチェーンとは、製品の製造や販売などの流れを価値の連鎖として捉える考え方のことです。
商品やサービスの付加価値が、事業活動の中のどの段階で生み出されているかを分析するのに使われることが多いです。
サプライチェーンが物がどのように供給されているかという流れを追うのに対して、バリューチェーンはそこに価値という観点を加えた考えです。
「サプライチェーン」がつく言葉
サプライチェーンがつく言葉には、以下のようなものがあります。
- グローバルサプライチェーン
サプライチェーンの仕組みを国内だけでなく海外にある拠点をも選択肢に含めて実施すること - サプライチェーンリスク
組織内外で発生する事象が原因で、計画通りに需要を満たせる供給ができなくなるリスク
「サプライチェーン」のまとめ
以上、この記事ではサプライチェーンについて解説しました。
英語表記 | サプライチェーン(supply chain) |
---|---|
意味 | 商品が作られてから消費者に届くまでの工程を、一連の流れとして捉える考え |
語源 | 「供給連鎖」という意味の英単語“supply chain” |
類義語 | ロジスティクス 供給連鎖 |
サプライチェーンは、ビジネスにおいて重要な言葉なので、この機会にしっかりと理解しておきましょう。