サンクコストとは?恋愛における意味や具体例も徹底解説!

言葉

サンクコストとは「すでに費やしており、回収できない費用」という意味です。

サンクコストは心理学用語であるため、意味を知らない人も多いでしょう。

しかし、ビジネスにおいて非常に重要になる言葉であるため、この記事で使いこなせるようにしましょう。

☆「サンクコスト」をざっくり言うと……

読み方サンクコスト
意味すでに費やしており、回収できない費用
関連語サンクコスト効果
サンクコストの呪縛など
英語訳sunk cost(サンクコスト)

「サンクコスト」の意味

サンクコスト

すでに費やしており、回収できない費用

例:サンクコストを考えると、今さら手を引けない。

サンクコストは、投資や消費などのために支払った費用のうちで、それらの経済活動を取りやめても回収できないコストのことを表します。

サンクコストは、事業を続けるかどうかなどの意思決定に関係なくかかる費用です。

しかし、過去に投資したサンクコストが大きいほど「サンクコストをかけてしまったから」という心理が働き、経済活動をやめにくくなるのです。

また、都市開発などの大規模なビジネスの場面における、莫大な投資のことを表すことが多い言葉です。

「サンクコスト」の具体例

サンクコストは、すでに費やしており、回収できない費用です。

例えば、レストランを開業するために費やした以下のような開業資金がサンクコストに当たります。

  • 店内の改装のための費用
  • 調理器具やオーブンなどの費用

また、より身近な例と共にサンクコストと、サンクコストに関わる心理を理解しましょう。

  • つまらない映画
  • 恋愛関係

それぞれの具体例を詳しく解説します。

つまらない映画に見られる「サンクコスト」

つまらない映画を見た時にも、サンクコストの存在を意識させられます。

途中でつまらないと気づいて映画の視聴をやめたとしても、映画のチケット代が戻ってくるわけではありません。

そのため、この例では映画のチケット代がサンクコストに当たります。

チケット代というサンクコストを惜しむあまり、面白いとも思わない映画を見続けてしまうという人間の心理があるのです。

恋愛関係における「サンクコスト」

恋愛関係においてもサンクコストが見られます。

たとえば、3年交際している恋人と一緒にいても楽しくなく、喧嘩やもめごとなどの苦しい出来事ばかりになってしまったとします。

しかし、3年間のうちに恋人のために使った時間やお金、労力といったサンクコストを惜しんでなかなか別れを切り出すことができません。

恋人と交際を続けても別れを切り出しても、費やした時間やお金は変化しませんが、もったいないと感じてしまうのです。

「サンクコスト」の語源


サンクコストの語源は「埋没費用」という意味の英単語 “sunk cost” です。

“sunk cost” には、以下のような意味があります。

  • sunk
    埋まる・埋もれる
  • cost
    費用

直訳で「埋もれた費用」という意味の言葉になります。

意味はカタカナ語のサンクコストと同じです。

サンクコストの日本語訳

サンクコストは、元になった英単語をカタカナ読みしたものです。

日本語訳すると「埋没費用」「埋没原価」などと呼ばれることがあります。

「サンクコスト」の関連語


  • サンクコスト効果
    サンクコストを惜しむ気持ちから非合理的な意思決定をしてしまうこと
  • サンクコストの呪縛(じゅばく)
    サンクコストを惜しむ気持ちから非合理的な意思決定をしてしまうこと
  • コンコルド効果
    サンクコストを惜しむ気持ちから非合理的な意思決定をしてしまうこと
  • コンコルドの誤謬(ごびゅう)
    サンクコストを惜しむ気持ちから非合理的な意思決定をしてしまうこと

関連語の意味

上記の関連語は、すべて同じ意味を持ちます。

サンクコスト効果とは、サンクコストを惜しむ気持ちから非合理的な意思決定をしてしまうことです。

サンクコストとは、回収できない費用のことなので、未来の意思決定には本来影響を与えません。

しかし、人間の心理として「これだけ費やしたのだから、今やめるのはもったいない」という感情が働いてしまうのです。

「サンクコスト効果」と類義語の違い

サンクコスト効果とコンコルド効果などの類義語には違いはありません。

細かい違いを挙げるとするならば、以下のような言葉が使われる分野の違いがあります。

  • サンクコスト効果
    行動経済学
  • コンコルド効果
    社会心理学・恋愛心理学

「サンクコスト効果」の応用例


サンクコスト効果は、以下のような場面でマーケティングに応用されています。

  1. 模型雑誌
  2. 会員のランク付け
  3. 郊外のショッピングモール

それぞれの例について詳しく解説します。

例➀:模型付き雑誌

サンクコストを応用したマーケティングの事例には、プラモデルや模型が付録でついている月刊誌が挙げられます。

1年など長期間継続して購入することで、プラモデルや模型のパーツが集まり完成させることができます。

途中で楽しくなくなっても、これまでに購入した雑誌のことを考えて辞めにくくなります。

はじめから高額な価格でパーツのセットを販売しても手を出してくれない層が、分割してひとつ当たりの価格を下げることで購入しやすくしているのです。

例➁:会員のランク付け

会員を、購入金額や継続期間に応じてランク付けすることがサンクコストを利用したマーケティングのひとつです。

その店舗やブランドで購入するメリットが少なくなったとしても、会員ランクが高いほど執着してしまいます。

「せっかくプラチナ会員にまでなったのだから」「これだけポイントがたまっているのだから」などの心理が働くことで、特定のお店を利用するように促すのです。

例➂:郊外のショッピングモール

大型ショッピングモールは「郊外にまでわざわざ来たことで費やした交通費や時間」というサンクコストを回収したいと思わせるために、都市部から離れた場所に作られます。

ショッピングモールで買い物を全くしなかったとしても、ショッピングモールに来るまでの交通費などは回収できません。

そのため、この例では「ショッピングモールに行くまでにかかった費用」がサンクコストになります。

 

もちろん「都市部より郊外の方が土地代が安い」ということも、郊外にショッピングモールが作られる理由のひとつです。

しかし、これに加えてサンクコストを利用した立地選定でもあるのです。

欲しいと思うものがなかったとしても、「わざわざこんなに遠くまで来たんだから」という心理が働くことで、不必要なものを購入してしまう消費者心理を誘っています。

 

サンクコストという定義自体は「費やした費用」を表す言葉なので、厳密に言えば郊外まで行く労力や時間はサンクコストには当たりません。

しかし、人間の心理としては、時間や労力も「費やしたもの」として認識されます。

また、「仕事をしていればお金を稼ぐことができるはずだった時間を失った」と考えれば、費用としてカウントすることもできます。

「サンクコスト」に捉われない方法


サンクコストに捉われずに行動するために以下のような方法があります。

  1. ゼロベースで考える
  2. 機会費用を考える
  3. 第三者の声を取り入れる

方法➀:ゼロベースで考える

サンクコストに捉われないために、ゼロベースで考えるという方法があります。

ゼロベースで考えるとは、過去のことを忘れて白紙の状態で考えることです。

たとえば、「自分が購入した映画のチケットが0円だったとしたら、このままつまらない映画を見続けるのか?」と自分に問いかけることでサンクコストに捉われない決断ができます。

方法➁:機会費用を考える

意思決定をするときに、サンクコストではなく機会費用に目を向けるという方法があります。

機会費用とは、過去にした選択のために、逃してしまった機会を表します。

たとえば、2日間泊まりがけで遊びに行ったときには、宿泊費や交通費、食費などのお金がかかります。

しかし、それ以外にもその2日間でお金を稼ぐために入るはずだったアルバイトの機会、時間も失っているのです。

方法➂:第三者の声を取り入れる

サンクコストに捉われないために、利害関係のない第三者の視点に立って考えるという方法があります。

人間はたとえサンクコスト効果を理解していたとしても、自分のこととなると感情的になって合理的な判断が難しくなるものです。

そこで、信頼できる第三者に状況を見てもらってアドバイスをもらったり、自分が第三者になったつもりで状況を俯瞰(ふかん)するという方法があります。

「サンクコスト」の英語訳


サンクコストを英語に訳すと、次のような表現になります。

  • sunk cost
    (サンクコスト)

“sunk” は「沈む」「見えなくなる」という意味の英単語です。

「すでに沈んでしまって取り返すことができないコスト」という意味でこの英単語が使われています。

「サンクコスト」のまとめ

以上、この記事ではサンクコストについて解説しました。

読み方サンクコスト
意味すでに費やしており、回収できない費用
関連語サンクコスト効果
サンクコストの呪縛など
英語訳sunk cost(サンクコスト)

サンクコストという言葉が、日常生活にも深く関わることがわかりましたね。