「少なからず」の意味を簡単に表すと?羅生門などの古典にも頻出!

言葉

「少なからず」とは「少なくない」という意味です。

「少ないという意味なのか、少なくないという意味なのか、いつも混乱してしまう」という方が多いはずです。

そこで、この記事では、「少なからず」の意味や使い方、語源、類義語、対義語などについて詳しく解説します。

「少なからず」の意味

すくなからず

少なくない

例:彼の発言に嫌悪感を抱く人が少なからずいた。

「少なからず」とは、「少なくない」という意味です。

ネガティブな意味合いでも、ポジティブな意味合いでも使うことができます。

「多い」ではなく、あえて「少なからず」と表すことで、以下のような効果があります。

  • 実際は量が多い(または、程度が激しい)のだが、「少なからず」と遠回しに言うことで明言を避けることができる
  • 「少なくはなくが、決して多くもない」という微妙なニュアンスを表すことができる
「少ない」「少なくとも」という意味ではない

「少なからず」は「少ない」という意味ではないため、気をつけましょう。

「少なからず」はむしろ、「少ない」を否定する言葉であるため、正反対の意味なのです。

また、「少なからず」は「少なくとも」とも異なります。

「少なからず」は「少なくない」ということを表すのに対して、「少なくとも」は「最低限の程度」を表すからです。

「少なからず」の使い方

「少なからず」は、以下のような場面に使います。

「少なからず」を使う場面
  1. 量や数が少なくないとき
  2. 程度が低くないとき

それぞれの場面に分けて、使い方を見てみましょう。

使い方①量や数が少なくないとき

量や数が少なくないとき、「少なからず」は以下のように使うことができます。

  1. 彼の発言に嫌悪感を抱く人が少なからずいた。
  2. 期間限定品を販売すれば少なからず注目が集まるはずだから、売上は上がるだろう。
  3. 先日のコンサートはファンから酷評されていたが、「良かった」という声も少なからずあった。
  4. ゴミ捨てのルールを守らない住民の方が、少なからずいらっしゃいました。
  5. 彼の噂については少なからず耳に入ってきた。

使い方②程度が小さくないとき

程度が小さくないとき、「少なからず」は以下のように使うことができます。

  1. 彼女は、その詐欺事件に少なからず関係していたそうだ。
  2. その上、今日の空模様も少からず、この平安朝の下人の Sentimentalisme に影響した。
    [出典:芥川龍之介『羅生門』]
  3. 祖父の表情は、少なからず喜んでいたように見えた。
  4. 新しい目標が見つかったことは、私の転職理由に少なからず関係していた。
  5. ライバル企業の倒産に、私たちは少なからず衝撃を受けた。

このように、「少なからず」は、数や量だけでなく、抽象的な程度に対しても使うことができるのです。

「少なからず」の語源


「少なからず」は、古語の「少なし」と「ず」の二語が組み合わさってできた言葉です。

「少なし」と「ず」には、それぞれ以下のような意味があります。

  • 少なし
    少ない

  • 打ち消しの助動詞

このように、「少なからず」は古くから使われていたのです。

平安時代に書かれた『竹取物語』でも、すでに「少なからず」という表現が登場しています。

五穀たちて、千余日に力を尽くしたること少なからず
(五穀の食事もせずに千日あまり頑張ったのは非常に大変だった)
[出典:『竹取物語』]

漢文では「不少」となる

「少なからず」は、漢文では「不少」と表記されます。

:非合理のことにて文学的には面白きこと不少(すくなからず)候。
(文学には、非合理的なものでも、面白いものが少なからずある。)
[出典:正岡子規『五たび歌よみに与ふる書』]

「少なからず」の類義語

「少なからず」には以下のような類義語があります。

  • 少なからぬ
    少なくない
  • かなり
    程度が高いこと
  • 相当(そうとう)
    かなりの程度・量
  • 著しく(いちじるしく)
    物事が顕著である
  • 大分(だいぶ)
    相当の程度
  • 大いに(おおいに)
    程度がはなはだしい
  • 非常に
    程度がはなはだしい
  • すこぶる
    程度がはなはだしい
  • ずいぶん
    程度がはなはだしい
  • 大層(たいそう)
    程度がはなはだしい
  • 随分(ずいぶん)
    程度がはなはだしい
  • 余程(よほど)
    かなりの程度である
  • たんまり
    たくさんある様子

上記の類義語のなかで、「少なからず」と意味が最も近いのは「少なからぬ」です。

ただし、「少なからず」と「少なからぬ」には、使い方において次のような違いがあります、

  • 少なからず
    後ろに動詞や読点を入れる
    例:会場には、参加者が少なからずいた。
  • 少なからぬ
    後ろに名詞を入れる
    例:会場には、少なからぬ参加者がいた。

「少なからず」の対義語

「少なからず」には以下のような対義語があります。

  • 多からず
    多くない
  • 多少なりとも
    少しだけ
  • わずかに
    少しだけ
  • いくらか
    少し
  • いくばくか
    少し
  • 若干(じゃっかん)
    少し
  • ほのかに
    かすかに

「少なからず」は、「少なくない」ということを表します。

そのため、「多くない」「少ない」といった意味をもつ言葉が対義語になります。

「少なからず、多からず」とは

「少なからず、多からず」とは、「少なくもなく、多くもない」という意味です。

つまり、「ちょうど良い」ということを指しています。

「少なからず」の英語訳

「少なからず」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • not a few
    (少なくない)
    ※数えられる名詞に対して使う
    例:Not a few people saw him that night.
    (あの夜大勢の人が彼を目撃していた。)
  • not a little
    (少なくない)
    ※数えられない名詞に対して使う
    例:There is not a little information.
    (かなり多い情報が提示されていた。)
  • considerably
    (かなり)
    例:We had a considerably hard time.
    (私たちはかなり辛い日々を送った。)

「少なからず」のまとめ

以上、この記事では「少なからず」について解説しました。

読み方少なからず(すくなからず)
意味少なくない
語源少なし+ず
類義語少なからぬ
かなり
相当 など
対義語多からず
多少なりとも
わずかに など
英語訳not a few
(少なくない)
not a little
(少なくない)
considerably
(かなり)

似ている言葉と混同しないように気をつけながら、「少なくない」を正しく使いこなしましょう。

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Chinatsu
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新卒2年目でWebライター3年目。 学生時代からWebライターの仕事を始め、多くの記事を執筆・編集してきました。 丁寧な解説に定評があります。