「水魚の交わり」の意味とは?使い方から対義語や類義語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「水魚の交わり(すいぎょのまじわり)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「水魚の交わり」をざっくり言うと……

読み方水魚の交わり(すいぎょのまじわり)
意味親密な間柄のこと
由来魚と水の関係と、劉備と諸葛亮の関係を結び付けたことによる
類義語管鮑の交わり、刎頸の交わり、金襴の契など
対義語犬猿の仲、水と油、不俱戴天など
英語訳intimate friendship(親密な関係)、A Damon and Pythias firiendship(ダモンとピティアスの仲)

「水魚の交わり」の意味をスッキリ理解!

水魚の交わり(すいぎょのまじわり):親密な間柄のこと。

「水魚の交わり」の意味を詳しく

「水魚の交わり」は、「魚は水がないと生きていけない」ということから「離れることができない、親密な間柄や交際」「水と魚のように、切っても切れない親しい関係」のことを言います。君主・臣下の間柄や夫婦の仲、友人の仲について言うことが多いです。

日本では、徳川家康と本多正信(ほんだ まさのぶ)の関係が「水魚の交わり」だったとして有名です。「水魚の交(すいぎょのこう)」とも言います。

「水魚の交わり」の使い方

  1. 水魚の交わりを結ぶ。
  2. 立場は違うが、あの2人は水魚の交わりと言える仲だ。
  3. 彼とは水魚の交わりをしてきた仲だ。

あまり日常会話では使わない表現ですが、小説や古い小説などでは使われることがあります。これを機に使い方を頭に入れておきましょう。

「水魚の交わり」の由来

「水魚の交わり」の出典は『三国志』です。

蜀の劉備(りゅうび)が、部下の諸葛亮(しょかつりょう)と自身の関係について、「孤之有孔明 猶魚之有水也(魚に水がないといけないように、自分には諸葛亮が必要だ)」と語ったという故事が由来となっています。

中国では、水を得た魚のように「十分に活躍できる環境や境遇を得る」という意味で使われます。

「水魚の交わり」の類義語

「水魚の交わり」には以下のような類義語があります。

「管鮑の交わり」の「管」と「鮑」は、それぞれ人名です。春秋時代の管仲(かんちゅう)と鮑叔牙(ほうしゅくが)という人物の仲の良さが由来です。「刎頸の交わり」の「刎頸」は首を斬ることで、「首を斬られても悔いがないほど、固い友情で結ばれた仲」という意味です。

「金蘭之契」の「契」は、約束や結びつきを意味します。「金を切断するほどに固く、蘭のように香り高い結びつき」という意味です。「莫逆の友」の「逆」は逆らうこと、「莫」は否定を意味します。「逆らわない=争わない」ことであるため、「莫逆の友」は親密な関係を指します。

「雷陳膠漆」の「雷陳」は、古代中国の後漢において、仲が良いことで有名だった「雷義」「陳重」という2人の頭文字です。「膠漆」は膠(にかわ)と漆のことで、これらは接着剤として使われていたため、仲が良いことの比喩で用いられています。

「水魚の交わり」の対義語

「水魚の交わり」には以下のような対義語があります。

  • 犬猿(けんえん)の仲:非常に仲が悪いこと
  • 不和(ふわ):仲が悪いこと
  • ハブとマングース:仲が悪いことのたとえ

「ハブとマングース」は、ハブとマングースを戦わせる沖縄の見世物が由来となった言葉です。ハブとマングースが戦う様子から、両者は仲が悪いというイメージが生まれ、「ハブとマングース」という言葉は不仲であることを示すようになりました。

「水魚の交わり」の英語訳

「水魚の交わり」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • intimate friendship
    (親密な関係)
  • A Damon and Pythias firiendship
    (ダモンとピティアスの仲)
  • good relationship
    (仲が良い)

ダモンとピティアスは、ギリシアの伝説に登場する仲の良い2人のことです。

まとめ

以上、この記事では「水魚の交わり」について解説しました。

読み方水魚の交わり(すいぎょのまじわり)
意味親密な間柄のこと
由来魚と水の関係と、劉備と諸葛亮の関係を結び付けたことによる
類義語管鮑の交わり、刎頸の交わり、金襴の契など
対義語犬猿の仲、水と油、不俱戴天など
英語訳intimate friendship(親密な関係)、A Damon and Pythias firiendship(ダモンとピティアスの仲)

「水魚の交わり」は故事成語であるため、類義語にもたくさんの故事成語がありました。この際にまとめて頭に入れると良いでしょう。

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mikan
愛読書は広辞苑。 日本語の持つゆかしさや含み、趣深さが大好きです。大学では音声学・日本語学を専攻しました。 慣用句や四字熟語が得意分野です。