今回のスムーズとは「滑らかなようす・物事が問題なく進むようす」という意味です。
スムーズは日常会話でもよく使う言葉ですが、「滑らか」という意味から派生して生まれた意味などは知らない人も多いと思います。
この記事では、スムーズの詳しい意味や関連する言葉を解説していきます。
☆「スムーズ」をざっくり言うと……
英語表記 | スムーズ(smooth) |
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意味 | 滑らかなようす・物事が問題なく進むようす |
語源 | 「滑らかな」という意味の英単語 “smooth” |
類義語 | 円滑 順調など |
対義語 | 段取りが悪い モタモタなど |
「スムーズ」の意味
滑らかなようす・物事が問題なく進むようす
例:会議はスムーズに進んだ。
スムーズには、「手触りや動きが滑らかなようす」という意味があります。
また、ここから物事が滞りなく順調に進むさまや乱れなく進行することを表すようにもなりました。
テニスにおける「スムーズ」の意味
また、スムースは、テニスの分野で「ラケットの表側」を意味する言葉として使われます。
ラケットのグリップエンドという持ち手の部分に書かれているメーカーのマークが正規の方向に向いている時の上側がスムースです。
テニスのラケットに表面と裏面の違いは特にないので、どちら側を使ってもプレーとして問題は起こりません。
しかし、試合の最初に先攻後攻を決める際に、スムースが重要になります。
テニスでは、ラケットの頭の部分を地面につけて回転させ、表と裏のどちらの側に倒れるかで先攻後攻を決めるのです。
スムーズは語源の英単語をカタカナ語表記した言葉です。
そのため「スムース」と表記されることもあります。
「スムーズ」の使い方
テニスラケットの表面を意味するときには「スムース」という表記が使われます。
また、「物事が滞りなく順調に進むさま」を意味するスムーズは、「スムーズに」という副詞の形で使うことが非常に多いです。
- スムーズにプロジェクトが進行して安心しました。
- この車は、スムーズな動きが特徴です。
- 自分のラケットだと判別しやすいように、スムースに印をつけている。
➀のスムーズは、「物事が滞りなく順調に進むさま」という意味で使われています。
➁のスムーズは、「滑らかなようす」という意味で使われています。
➂のスムースは、「テニスラケットの表面」という意味で使われています。
「スムーズ」の語源
スムーズの語源は英語の “smooth” です。
英語の “smooth” には、以下のような意味があります。
- なめらかな
- 口当たりがよい
- 耳触りがよい
- スムーズな
- 穏やかな
- 人当たりがよい
- お世辞のうまい
- なめらかにする
- (化粧水などを)塗る
また、 “smooth” から派生して、以下のような単語も生まれました。
- smoothness(名)
なめらかさ、流暢さ、(飲食物の)口当たりのよさ - smoothly(副)
なめらかに、流暢に、円滑に - smoothie(名)
スムージー(飲み物の名前)
また、 “smooth” を使った表現には、以下のようなものがあります。
- smooth-spoken
口先のうまい・舌先三寸 - smooth-tongued
口先のうまい・舌先三寸 - smooth talk
口先のうまい・舌先三寸 - smooth shading
滑らかな外観を与えるための陰影付け処理(3DCG用語) - smooth scroll
滑らかな動きでアンカー部分へ遷移すること(IT用語)
「口先のうまい」という表現はすべてネガティブな意味合いで使われます。
「ペラペラとなめらかにしゃべる様子」が由来です。
カタカナ語のスムーズには、英単語の “smooth” ほど多くの意味はありません。
また、スムーズは動詞として使うことはないので注意しましょう。
「スムーズ」の発音
“smooth” はカタカナ語で「スムーズ」と表記される場合と「スムース」と表記される場合があります。
このような表記の違いが生まれたのは “th” の発音の難しさが原因です。
“smooth” の発音記号は「smuːð」です。
“th” の音である「ð」は、舌を上の前歯の先端と付け根の間に当てながら、空気を振動させて発音する音です。
“th” は以下のように、日本語における「ズ」に近い音で発音する場合と、「ス」に近い音で発音する場合があります。
- this
- that
- they
- thank
- think
- through
その中でも “smooth” の発音は、どちらかと言うと「ズ」に近い発音です。
したがって、「smooth」を「スムース」と発音するのは、厳密には間違いです。
しかし、 “th” を「ス」と発音する用例があることから、一部の日本人が誤って「スムース」と発音し、それが一般化してしまったのです。
“smooth” の表記は「スムーズ」の方がより正確であると先ほど述べました。
しかし、文化庁の国語施策・日本語教育の審議では「外来語の語尾の濁音は誤用としていない」ため、スムースという表記が完全に誤りとは言えません。
ラケットの表面をスムースと言う理由
かつて、硬式テニスのラケットには、ラケットの裏表を判断するために、以下のような飾り糸を付けていました。
[出典:テニスの学校]
この飾り糸の片側は、糸が滑らかに巻きつけられていたのでスムースと呼ぶようになりました。
一方で反対側は、糸が滑らかではなくデコボコしていたのでラフ(rough)と呼ぶようになったのです。
「スムーズ」の類義語
スムーズには以下のような類義語があります。
- 円滑
物事が滞らず、すらすら運ぶこと - 順調
物事があるべきさまで、滞りなく進行している状態 - 快調
すばらしく物事の調子がよいこと - 好調
物事の調子・具合などがよいこと
- 滑らか
ひっかかりのない、すべりやすい様子 - すべすべ
表面に凹凸がなく滑らかなさま - つるつる
表面に凹凸がなく滑らかなさま
「スムーズ」の対義語
スムーズには以下のような対義語があります。
- 段取りが悪い
ものごとの進め方が下手であること - モタモタ
人の動作や物事の進行がのろくてはかどらないさま - グズグズ
人の動作や物事の進行がのろくてはかどらないさま - 手際が悪い
物事の処理のしかたがよくないこと
- ざらざらした
物の表面が滑らかでないさま。手触りが粗くひっかかるさま - ごつごつした
表面がなめらかでなく、でこぼこしているさま - 粗い
粒が大きくざらざらしている - デコボコ
物の表面が出っ張ったり、へっこんだりしていること
- ラフ
テニスラケットの裏面
「スムーズ」の関連語
スムーズには以下のような関連語があります。
- スムースレザー
柔らかく、肌当たりがよい革 - スムース生地
肌当たりがよい生地 - スムースチワワ
短毛で光沢のある毛質を持つチワワ - スムースシャンプー
髪をサラサラにするシャンプー - スムージー
果物や野菜などを使ったシャーベット状の飲み物
それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。
「スムースレザー」の意味
スムースレザーはファッション業界で使われる言葉で、柔らかく、肌当たりがよい革を言います。
起毛や型押しなどの加工などを施さずに、表面を滑らかな状態にしただけの革のこと全般を表す言葉です。
スムースレザーは、無骨でない上品な印象があるため、財布や名刺入れなどのさまざまな製品に利用されています。
スムースレザーの定義に、「どの動物の革であるか」は関係がありません。
そのため、牛も豚も馬なども、表面が滑らかであれば、スムースレザーという名称が使われます。
「スムース生地」の意味
スムース生地とは、ゴム編みを重ね合わせるように編んだよこ編みの生地のことです。
表も裏もどちらも肌触りがよく、子供服などに使われることが多いです。
「スムースチワワ」の意味
スムースチワワとは、チワワの犬種のひとつです。
スムースチワワは以下のような特徴を持っています。
- 短毛
- まっすぐな毛
- やや光沢のある毛質
これに対して、長毛でウェーブがかかった毛質のチワワのことは、ロングコートチワワと言います。
ロングコートチワワの毛を短くカットしても、短毛種のスムースチワワと同じ犬種にはなりません。
「スムースシャンプー」の意味
美容業界ではスムースシャンプーというシャンプーが存在します。
スムースシャンプーとは、使用することで洗い終わった髪の質感を指通りの良いサラサラとした仕上がりにするシャンプーです。
上記の関連語のスムースとは、スムーズと同じ意味の言葉です。
しかし、「スムースレザー」や「スムースチワワ」など言葉で使われる場合、スムーズと表記されることはほとんどありません。
「スムージー」の意味
スムージーは、凍った状態の果物や野菜などをシャーベット状にした飲み物のことです。
スムージーの語源は、スムーズと同じで、英単語で “smoothie” と書きます。
なめらかで果物や野菜を噛まずに飲み込めるという意味から「スムージー」と名付けられました。
「スムーズ」のまとめ
以上、この記事ではスムーズについて解説しました。
英語表記 | スムーズ(smooth) |
---|---|
意味 | 滑らかなようす・物事が問題なく進むようす |
語源 | 「滑らかな」という意味の英単語 “smooth” |
類義語 | 円滑 順調など |
対義語 | 段取りが悪い モタモタなど |
スムーズは、さまざまな場面で使われる言葉だということがわかりましたね。