取捨選択とは「悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選び取ること」という意味です。
ただ「選ぶ」ことと何が違うのだろうと思いますよね。
また、取捨選択ができないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、取捨選択の意味や使い方に加えて、取捨選択のコツまで詳しく解説します。
☆「取捨選択」をざっくり言うと……
読み方 | 取捨選択(しゅしゃせんたく) |
---|---|
意味 | 悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選び取ること |
類義語 | 取捨分別 二者択一 選定 など |
対義語 | 選択の余地はない 選択の幅がない 為す術がない など |
英語訳 | will or choice(採用するか拒否するか) select(選択する) selection(選択) など |
「取捨選択」の意味
悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選び取ること
取捨選択は、以下の2語から成り立っています。
- 取捨
必要なものを取り、不要なものを捨てること - 選択
多くのものの中から良いものを選ぶこと
つまり、「多くのものの中から、悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選ぶこと」を表します。
ここからは、取捨と選択の意味をそれぞれ見ていきましょう。
「取捨」の意味
必要なものを取り、不要なものを捨てること
それぞれの漢字には、以下のような意味があります。
- 取
手に取ること - 捨
捨てること
つまり、取捨は、必要なものは手に取り、不要なものは捨てることを表します。
取捨は、取舎(しゅしゃ)と表記することもあります。
「選択」の意味
- 多くのものの中から良いものを選ぶこと
- 学生が、興味などに応じて自発的に学ぶ科目
- (コンピュータ用語で)表の中から、ある特定の条件に合う行を取り出す操作
取捨選択では、①の意味で使われています。
それぞれの漢字には、以下のような意味があります。
- 選
多くのものの中から選ぶこと - 択
よく調べて選ぶこと
つまり、選択は、多くのものの中からよく調べて選ぶことを表します。
「取捨選択」の表記
取捨選択は、取舎選択と表記することもあります。
以下のような表記は誤用ですので、注意しましょう。
- 拾捨(しゅうしゃ)選択
「拾う」と「捨てる」が対義語で、取捨選択と発音が似ているため間違えやすい - 取捨択一(しゅしゃたくいつ)
取捨選択と二者択一が混ざったもの
「取捨選択」の使い方
取捨選択は以下のような言い回しで使います。
- 取捨選択する
- 取捨選択を行う
- 取捨選択を迫られる
- 取捨選択して句集を編む
※編むとは、文章を組み合わせて書物を作ること - ◯◯の取捨選択
例文を見てみましょう。
- 情報が多い現代において、取捨選択する力を養うことは重要だ。
- 節約のために、携帯電話のオプションサービスの取捨選択を行った。
- 長い人生の中では、取捨選択を迫られる場面が多々ある。
- 彼が書いた詩を取捨選択して句集を編む。
- 人間関係の取捨選択はなるべくしたくない。
- 試験日が目前に迫っているため、試験範囲から取捨選択して勉強しなければならない。
- 洋服を取捨選択するのに時間がかかったため、大掃除が長引いた。
- 膨大な量の新聞の中から、該当する事件に関する記事のみ取捨選択し、ノートにまとめた。
- その独立した作品を取捨選択し、配列を決めて句集にまとめれば、そこに新たな意味が生ずる。
[出典:青空文庫]
取捨選択を、「最も良いものを選ぶ」という意味で使うことは誤りです。
例えば、「ある小説家の優秀な作品を取捨選択し、一冊の本にまとめた」という文は誤りです。
同じ内容を言いたい場合は、「ある小説家の作品を厳選し、一冊の本にまとめた」などと表現しましょう。
取捨選択は、「本にまとめられなかった作品は、悪いものや不要なもの」というニュアンスになるため、説家に対して失礼になります。
「取捨選択」のコツ
日常生活やビジネスシーンなどには、取捨選択しなければならない時があります。
取捨選択のコツには以下のようなものがあります。
- 何を優先すべきか考える
- 「捨てる勇気」をもつ
それぞれ見ていきましょう。
方法①何を優先すべきか考える
取捨選択するためには、常に「今、何を優先するべきか」を考えることが大切です。
なぜなら、自分が優先するべきことがわかっていないと、今やらなくても良いことをやってしまったり、反対に、今やるべきことを放ったりしてしまうからです。
方法②「捨てる勇気」をもつ
取捨選択するためには、「捨てる勇気」をもつことも大切です。
なぜなら、「捨てる勇気」がないと、あれもこれもと手をつけて全て中途半端になってしまうからです。
何かを得るためには、何かを捨てなければならないのです。
「取捨選択」の類義語
取捨選択には以下のような類義語があります。
- 取捨分別(しゅしゃふんべつ)
良いものを取り、悪いものを捨てて、ものの区別をつけること - 二者択一(にしゃたくいつ)
2つのうち、どちらか1つだけを選ぶこと - 選定(せんてい)
多くのものの中から選ぶこと - 採択(さいたく)
多くのものの中から選ぶこと - 選り抜き(よりぬき/えりぬき)
多くのものの中から優れたものを選ぶこと - 粒選(つぶより)
多くのものの中から優れたものを選ぶこと - 選抜(せんばつ)
多くのものの中から優れたものを選ぶこと - 精選(せいせん)
多くのものの中から、注意して優れたものを選ぶこと - 選考(せんこう)
よく調べて優れたものを選ぶこと - 選別(せんべつ)
多くのものの中から目的にあったものを選ぶこと - 選出(せんしゅつ)
多くのものの中から代表者などを選ぶこと - 厳選(げんせん)
きびしい基準で選ぶこと - 吟味(ぎんみ)
①物事をよく調べること。また、よく調べた上で選ぶこと
②事実を確認して、罪を調べただすこと
③詩歌を作って鑑賞すること - セレクション
選ぶこと - 簡抜(かんばつ)
選んで抜き出すこと - 篩に掛ける(ふるいにかける)
条件や基準に合わないものを除外すること - 優勝劣敗(ゆうしょうれっぱい)
強い者が生き残って栄え、弱い者が滅びること
「取捨選択」と「二者択一」の違い
取捨選択と二者択一は以下のような違いがあります。
取捨選択 | 二者択一 | |
---|---|---|
意味 | 悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選び取ること | 2つのうち、どちらか1つだけを選ぶこと |
選択対象 | 複数 | 2つ |
行動 | 取るまたは捨てる | 1つを選ぶ |
取捨選択と二者択一は、選択する対象と、何を行うかが異なります。
取捨選択は、多くのものの中から、悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選ぶことを表します。
一方、二者択一は、2つのものの中から、どちらか1つだけを選ぶことを表します。
「取捨選択」と「選定」の違い
取捨選択と選定は以下のような違いがあります。
取捨選択 | 選定 | |
---|---|---|
意味 | 悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選び取ること | 多くのものの中から選ぶこと |
注目しているもの | 「取るもの」と「捨てるもの」 | 「選ぶもの」のみ |
取捨選択と選定は、何に注目しているかが異なります。
取捨選択は、「取るもの」と「捨てるもの」のどちらにも注目しています。
一方、選定は、選び取るものだけに注目しています。
「取捨選択」と「選別」の違い
取捨選択と選別は以下のような違いがあります。
取捨選択 | 選別 | |
---|---|---|
意味 | 悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選び取ること | 多くのものの中から目的にあったものを選ぶこと |
注目しているもの | 「取るもの」と「捨てるもの」 | 「選ぶもの」のみ |
取捨選択と選別は、何に注目しているかが異なります。
取捨選択は、「取るもの」と「捨てるもの」のどちらにも注目しています。
一方、選別は、選び取るものだけに注目しています。
「取捨選択」と「吟味」の違い
取捨選択と吟味は以下のような違いがあります。
取捨選択 | 吟味 | |
---|---|---|
意味 | 悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選び取ること | ①物事をよく調べること。また、よく調べた上で選ぶこと ②事実を確認して、罪を調べただすこと ③詩歌を作って鑑賞すること |
行動 | 取るまたは捨てる | 調べて選ぶ |
取捨選択と吟味は、意味と何を行うかが異なります。
取捨選択は、多くのものの中から、悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選ぶことを表します。
一方、吟味は、多くのものの中から、よく調べて選ぶことを表します。
「取捨選択」と「優勝劣敗」の違い
取捨選択と優勝劣敗は以下のような違いがあります。
取捨選択 | 優勝劣敗 | |
---|---|---|
意味 | 悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選び取ること | 強い者が生き残って栄え、弱い者が滅びること |
取捨選択と優勝劣敗は、意味が異なります。
取捨選択で表現する「捨てられたもの」が弱い者で、「選び取るもの」が強い者だとすれば、優勝劣敗は、取捨選択した後の現象を表しているといえます。
「取捨選択」の対義語
取捨選択には以下のような対義語があります。
- 選択の余地はない
目的のためにはそうするしかないさま - 選択の幅がない
目的のためにはそうするしかないさま - 為(な)す術(すべ)がない
行えることがない - 術(すべ)がない
行えることがない
「取捨選択」の英語訳
取捨選択を英語に訳すと、次のような表現になります。
- will or choice
(採用するか拒否するか) - select
(選択する) - selection
(選択) - choice
(選択) - choose
(選択) - make a choice
(選択する) - option
(選択) - adoption
(採択) - sort out
(整理する) - decision to adopt or reject
(採用するか拒否するかの決定) - sift through
(ふるいにかける) - eclectic
(いくつかの異なった考えの良いところを組み合わせて、ひとつにまとめる)
「取捨選択」のまとめ
以上、この記事では取捨選択について解説しました。
読み方 | 取捨選択(しゅしゃせんたく) |
---|---|
意味 | 悪いものや不要なものを捨て、良いものや必要なものを選び取ること |
類義語 | 取捨分別 二者択一 選定 など |
対義語 | 選択の余地はない 選択の幅がない 為す術がない など |
英語訳 | will or choice(採用するか拒否するか) select(選択する) selection(選択) など |
現代はインターネットの発達などにより、得られる情報が数十年前とよりも格段に多くなりました。
そのような時代だからこそ、上手に情報を取捨選択して生きられると良いですね。