「辛酸」の意味とは?読み方は?使い方から類義語や英語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「辛酸(しんさん)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「辛酸」をざっくり言うと……

読み方辛酸(しんさん)
意味つらく苦しい思い
類義語苦辛、困苦、青息吐息
対義語甘美
英語訳hardship(苦難)

「辛酸」の意味をスッキリ理解!

辛酸(しんさん):つらく苦しい思い

「辛酸」の意味を詳しく

「辛酸」とは、つらく苦しい思いのことです。

「辛」という字には、「つらい」という意味があります。

また、「酸」という字にも、「すっぱい」という意味の他に「つらい」という意味があります。

「辛酸」には「つらい」という意味が重なっており、「つらく苦しい気持ち」という意味になるのです。

「辛酸」の使い方

  1. 失敗を繰り返し辛酸を嘗めたことが、彼を成功に導いた。
  2. これまで辛酸を嘗めてきた分、彼女には幸せになってほしい。

上記の例文のように、「辛酸」は「辛酸を嘗める(なめる)」という慣用表現で使われます。

①の例文では、失敗を繰り返すことで苦しんできた経験が、最終的に成功に繋がったことを表現しています。

②の例文では、「彼女」が苦労してきた経験を「辛酸を嘗めてきた」と表現しています。

「辛酸を嘗める」は、このように、長期的に苦しみ、耐え忍んできたような印象を与える言葉です。また、ただ「苦しんだ」というよりも「苦労してきた」というニュアンスが強く表れます。

「辛酸を嘗める」は「辛酸を舐める」と表記することもあります。

「嘗」という字にも「舐」という字にも、「舌でなめる」という意味があります。

「嘗」という字はもともと、過去の経験を表す助字です。そのため、「舐」という字に比べて「経験する」というニュアンスが強くなります。

「からいものやすっぱいものをなめる」という比喩表現で、「つらい思いをする」という意味として使うのは間違いではありません。ただし、「嘗める」と「舐める」で微妙なニュアンスの差があるので気をつけましょう。

「辛酸」の類義語

辛酸には以下のような類義語があります。

  • 苦辛(くしん):ひどく苦しむこと
  • 困苦(こんく):困ってくるしむこと
  • 青息吐息(あおいきといき):ため息をつきたくなるほど悩むこと

「苦辛」は、「辛酸」と似た、味覚で苦しみを表現している言葉です。

「苦辛」は「苦辛する」という形で使われ、「非常に苦しむ」という意味になります。

「辛酸」とほとんど意味は変わりませんが、「辛酸」は「経験」というニュアンスが強い一方で、「苦辛」は「その場限りの短期的な苦労」というイメージでも使えます。

 

「困苦」は「困苦する」「困苦に耐える」「困苦を嘗める」という表現ができます。

「辛酸」に対して「困る」というニュアンスが加わります。

 

「青息吐息」は、苦しいことや困ったことがあるときにつくため息のことです。また、ため息をつきたくなるような苦しみのことも表します。

「青息」とは苦しいときの呼吸のこと、「吐息」とはため息のことです。

使いどころは限られますが、ため息をつきたくなるという、独特の場面のニュアンスが伝わる表現です。

それぞれのニュアンスの違いを意識して使い分けましょう。

「辛酸」の対義語

辛酸には以下のような対義語があります。

  • 甘美(かんび):心地のよい感覚を与えるもの、あまいこと

「甘美」とは、単にあまくおいしいことや、うっとりとするような心地にさせるものを表す熟語です。

「甘美な夢」「甘美な響き」などの形で使われます。

「辛酸」がからくすっぱいという比喩であるのに対し、「甘美」はあまいという味覚で心地よさを表現しています。

「辛酸」の英語訳

辛酸を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • hardship
    (苦難)

hardshipは、「苦難」「苦辛」といった意味のある英単語です。

出来事が複数ある場合や、「辛酸を嘗めてきた」と長い経験を表すときには、hardshipsと複数形にしましょう。

まとめ

以上、この記事では「辛酸」について解説しました。

読み方辛酸(しんさん)
意味つらく苦しい思い
類義語苦辛、困苦、青息吐息
対義語甘美
英語訳hardship(苦難)

「辛酸を嘗める」は、慣用表現としてよく使われます。正しく覚えておきましょう。