「敷居が高い」の意味とは?使い方から英語や類義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「敷居が高い(しきいがたかい)」です。

この記事では、「敷居が高い」の意味や使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

このことわざは、誤った意味で使用されている割合が非常に高いことで知られています。しかし、かつては誤用と言われていた使い方も、あまりの誤用の多さから最近、正式な使い方として認められました。それについても、本文内で触れていきます。

☆「敷居が高い」をざっくり言うと……

読み方敷居が高い(しきいがたかい)
意味相手に不義理や面目が無いことがあって、その人の家に行きづらいこと
由来家や部屋の中と外を区切るための横木である「敷居」。
類義語合わせる顔が無い、肩身が狭い、高嶺の花など
英語訳Feel hesitant to visit ~.(~に訪れるのをためらう。)

「敷居が高い」の意味をスッキリ理解!

敷居が高い:相手に不義理(ふぎり)や面目(めんぼく)が無いことがあり、その人の家に行きづらいこと

「敷居が高い」の意味を詳しく


「敷居が高い」とは、相手に対して過去、不義理や面目が無いことがあり、それが理由でその人の家に行きづらいことを意味します。また、家に行きづらいという意味から転じて、その人自身に会いづらいという意味もあります。

不義理とは、義理を欠くことを意味します。つまり、人に対して身勝手で、気分を悪くさせるような行動をするということです。

面目の無いこととは、恥ずかしくて相手に合わせる顔が無いということです。

 

不義理があったり、面目が無いことがあったりすると、相手とは気まずい関係が生まれるのは想像しやすいと思います。

例えば、相手に数年前に借りたお金を返していない場合や、お世話になった人に対してあいさつをせずに年月が経ってしまっている場合です。どちらの場合も、相手に対して義理を欠いてしまっていると言えます。

また、皆さんがこの状況に立たされたら、相手の家に行くのは非常に気が引けると思います。このような状況を「敷居が高い」といいます。

 

しかし、「敷居が高い」ということわざは大変誤用が多いと言われてきました。

その使い方とは、「自分には身分不相応(みぶんふそうおう、身分に合っていないということ)だ」「手が届かない」といった意味合いでの使い方です。

例えば、高級料理店に対して、自分には身分不相応だということで、「高級料理店は敷居が高い」と使うのは本来の意味では誤りなのです。

 

この意味で「敷居が高い」を覚えていた方も多いのではないでしょうか。本来の正式な使い方ができている人の方が少数だと言われています。

しかし、「敷居が高い」の意味、使い方にも変化が見られてます。かつては誤用だと言われていた使い方が、正式に認められた使い方になったのです。

理由としては、あまりにも「敷居が高い」を、「身分不相応」「手が届かない」といった意味で使う人が多かったからです。

 

言葉は時代とともに変化するものです。かつては認められなかった言葉、無かったような言葉も、使う人が多ければ正式な言葉として認められることがあるということです。

「敷居が高い」も誤った使い方をされすぎて、その使い方が正式に認められた言葉の一つです。実際に、最新版の広辞苑で「敷居が高い」を引くと、本来の意味とかつて誤用とされた意味の両方が載っています。

もちろん、「不義理が理由で、相手の家に行きにくい」という意味での使い方が、本来のものです。「身分不相応だ」という意味での使い方が正式に認められたと言っても、本来の意味、使い方もしっかりと覚えておくべきです。

「敷居が高い」の使い方

  1. 大学時代の友達に借りた本を、大学卒業後の今でも返していない。彼の家は敷居が高い
  2. 大変お世話になった上司に数年電話すら全くせず、敷居が高くなってしまった。
  3. あそこのレストランは高級すぎて、庶民(しょみん)の私には敷居が高い

➀は、借りたものを返していないという不義理から、彼の家に行きづらくなってしまったという場面です。

➁は、お世話になったにも関わらず、一度も連絡せずに、合わせる顔が無くなってしまったという場面です。

➂は、高級レストランが自分の身分に合っていないということで、「敷居が高い」が使われています。

 

➀、➁は、本来の意味である「相手に不義理があり、家に行きづらい」という意味での使い方で、➂は、かつては誤用と言われていた使い方です。

「敷居が高い」の由来

「敷居」とは、家の門や部屋の出入り口に敷かれた横木のことです。現在でも、障子(しょうじ)や戸の開け閉めに必要な、レールとして機能しているものです。

「敷居」は家の外と中、部屋の外と中をはっきりと仕切るためにも重要な役割を果たしていました。

家や部屋に入るためには、その「敷居」をまたぐ必要があります。不義理なことがあった際には、大変気が引ける感情になります。想像できるとは思いますが、「敷居」は本来低いものです。

しかし、不義理による気が引ける感情が結果として、「敷居」が高く感じさせてしまうことから、このような意味になりました。

「敷居が高い」の類義語

「敷居が高い」には以下のような類義語があります。

  • 合わせる顔が無い:面目が無いこと。
  • 肩身が狭い(かたみがせまい):面目が無く、いづらいこと。
  • 足が遠のく:以前はよく行っていた特定の場所に行かなくなること。
  • 高嶺の花(たかねのはな):憧れるだけで、自分には程遠い存在のこと。
  • 雲の上の存在:レベルが高すぎて、自分の手の届かない存在のこと。

「合わせる顔が無い」や「肩身が狭い」には、家に行きづらいといったニュアンスが含まれてません。また、「足が遠のく」には、面目が無いといったニュアンスが含まれていません。その意味で、これらは、「敷居が高い」の同義語とは言えません。

「高嶺の花」や「雲の上の存在」は、以前は誤用と言われていた「身分不相応だ」という意味での「敷居が高い」の類義語です。

「敷居が高い」の英語訳

「敷居が高い」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Feel hesitant to visit ~.
    (~に訪れるのをためらう。)
  • Feel awkward in visiting ~.
    (~に訪れるのは気まずい。)

まとめ

以上、この記事では「敷居が高い」について解説しました。

読み方敷居が高い(しきいがたかい)
意味相手に不義理や面目が無いことがあって、その人の家に行きづらいこと
由来家や部屋の中と外を区切るための横木である「敷居」。
類義語合わせる顔が無い、肩身が狭い、高嶺の花など
英語訳Feel hesitant to visit ~.(~に訪れるのをためらう。)

「敷居が高い」という本来の意味を皆さんは知っていましたか。本来の意味とは異なる使い方をしていた方も多くいるとは思います。

かつては誤用と言われていた使い方も、時代の流れとともに変化し、正式な使い方となりました。このように、誤用が重なり正式な使い方として認められるケースは少なからずあります。

しかし、もちろん本来の意味でも「敷居が高い」は多く使われます。そのため、本来の意味、使い方もしっかりと押さえておくべきですね。