今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「七転八倒(しちてんばっとう)」です。字面が似ている「七転八起(しちてんはっき)」とはまったく意味が異なるので注意しましょう。
以下では、「七転八倒」の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「七転八倒」をざっくり言うと……
読み方 | 七転八倒(しちてんばっとう) |
---|---|
意味 | 激しい痛みや、精神的な動揺によって、ひどく苦しむこと |
由来 | 古代中国より、「世の中が混乱すること」の意味で使われてきたことから |
類義語 | 七難八苦、四苦八苦、艱難辛苦 |
英語訳 | writhe in agony |
「七転八倒」の意味をスッキリ理解!
「七転八倒」の意味を詳しく
「七転八倒」には、身体的な痛みや精神的な動揺により、激しく苦しむことを指します。「しってんばっとう」や「しちてんはっとう」などとも読みます。
「七転八倒」は、身体的な意味と、精神的な意味の2つに分けられます。
- 身体に激しい痛みが走り、転げ回ること
- 精神的に動揺し、混乱すること
上記のように、「七転八倒」は、苦しむことを指すネガティブな表現です。ここでの「七」と「八」は、数そのものに意味はなく、多い数であることを意味します。
間違いとして多いのは、一字違いの「七転八起」と同じ意味だと思ってしまうことです。以下で違いを見ていきましょう。
「七転八倒」と「七転八起」の違い
「七転八倒」と、ほとんど字面が同じである「七転八起」は、まったく意味が異なります。
「七転八起」は、何度失敗しても、そのたびに立ち上がることを指します。「七転び八起き(ななころびやおき)」とも表現できます。
「起」という字が重要です。最後には立ち上がるというポジティブなニュアンスを含むのが「七転八起」であるため、苦しむことに意味の中心がある「七転八倒」とはまったく意味が異なります。使い分けに注意しましょう。
「七転八倒」の使い方
- 突然の腹痛で七転八倒した。
- 今期は初めてリーダーを務めたが、七転八倒の連続だった。
①では、腹痛による苦しみで、のたうち回っている様子が描かれています。
②では、初めて務めるリーダーというポジションで、戸惑いを数多く覚えたことを述べています。
「七転八倒」の由来
「七転八倒」は、古代中国より、世の中が混乱することをさす表現として使われてきました。
『朱子語類(しゅしごるい)』という、儒学者の朱子と弟子との問答をまとめた書物には、以下の記述があります。
商の季(すえ)に當(あた)り、七転八倒して上下崩頽(ほうたい)す。
殷(いん)という時代が、世の混乱に伴って崩壊を迎えた様子が描かれています。
ちなみに、「七転八倒」は、「七顚八倒」や「七顛八倒」とも表記されますが、「顚/顛」が常用漢字でないため、「転」を使うことが多いです。
「七転八倒」の類義語
「七転八倒」には以下のような類義語があります。
- 七難八苦(しちなんはっく):苦難が度重なること
- 四苦八苦(しくはっく):苦難が度重なること
- 艱難辛苦(かんなんしんく):ひどく辛い困難に遭い、苦しむこと
数多くの困難に遭うという点では、「七難八苦」や「四苦八苦」が類義語です。
苦しみの度合いが強い場合は「艱難辛苦」という表現が使えます。
「七転八倒」の英語訳
「七転八倒」を英語に訳すと、次のような表現になります。
writhe in agony
(もがき苦しむ)
writh は「もがくこと」、agony は「苦難」を指します。例文は以下の通りです。
- I was writhing in agony because of a stomachache.
(腹痛で身もだえした。)
まとめ
以上、この記事では「七転八倒」について解説しました。
読み方 | 七転八倒(しちてんばっとう) |
---|---|
意味 | 激しい痛みや、精神的な動揺によって、ひどく苦しむこと |
由来 | 古代中国より、「世の中が混乱すること」の意味で使われてきたことから |
類義語 | 七難八苦、四苦八苦、艱難辛苦 |
英語訳 | writhe in agony |
「七転八倒」は、字面が似ている「七転八起」や「七転び八起き」との混同が多い表現です。苦しむことが意味の中心であることをきちんと押さえましょう。