「折衝(せっしょう)」とは?意味や使い方を例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「折衝(せっしょう)」です。

言葉の意味・つく言葉・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

「折衝」の意味をスッキリ理解!

折衝(せっしょう):利害関係が一致しない相手との問題を解決するために、駆け引きをすること

「折衝」の意味を詳しく


「折衝」とは、利害関係が一致しない相手との問題を有利に解決するために、駆け引きをすることです。

また、その駆け引きそのものを指すこともあります。

最近では主に、利害関係が一致しない相手とお互いの要求を共有し合い、妥協して折り合いをつけるための話し合いを指す場合に用いられます。

「折衝」を構成する漢字には以下のような意味があります。

「折衝」の漢字の意味
  • :くじく、おる
  • :尖ったものを勢いよく当てて相手を攻撃する

「折衝」は、「衝いてくる相手の矛先をくじくこと」つまり「交渉において相手の意見などをくじくこと」を表します。

これを言い換えて、駆け引きをすることを意味するのです。

「折衝」がつく言葉

「折衝」がつく言葉には以下のようなものが挙げられます。

  • 折衝力
  • 折衝業務
  • 顧客折衝
  • 銀行折衝
  • 予備折衝
  • 事務折衝
  • 折衝役
  • 対人折衝

それぞれの言葉の意味について詳しく見ていきましょう。

折衝力

「折衝力」とは、交渉や駆け引きをうまく進める能力のことです。

こちら側の要求をうまく提示したり、双方の妥協点を見つけたりする能力のことを指します。

折衝業務

「折衝業務」とは、利害の一致しない相手と駆け引きを行う業務のことです。

特にお客様と行う「折衝」の業務のことは「顧客折衝業務」と呼びます。

顧客折衝

「顧客折衝」とは、お客様と行う「折衝」のことです。

銀行折衝

「銀行折衝」とは、銀行と行う「折衝」のことを表します。

具体的には、銀行と融資してもらう金額などについて話し合うことなどを指します。

予備折衝

「予備折衝」とは、正式な「折衝」を行うために互いの要望について整理したり、問題がないか確認したりする行為を指します。

事務折衝

「事務折衝」とは、「折衝」の中でも、実務的な部分について話し合うものを指します。

折衝役

「折衝役」とは外部とやり取りする担当のことです。

外部の人と話し合うことが多いため、「折衝役」と呼ばれています。

対人折衝

「対人折衝」とは、物事が有利に働くように人間関係を調整することです。

「対人折衝」を行う能力はビジネスで重要なのはもちろんのこと、プライベートでも重要です。

プライベートでは家族や友人などと良好な関係を気づいていくために「対人折衝」をする必要があるからです。

「折衝」の使い方

「折衝」は、以下のように使われます。

  1. 折衝力の高い彼は、社内で重宝されている。
  2. 国家間の話し合いは難航し、かなりの折衝が行われた。
  3. こちらに有利な条件で契約するために、折衝を重ねた。
  4. 折衝した結果、会社は買収されることとなった。

上記の例文のように、「折衝」は国家間、会社間などの公の事柄に用いられることが多いです。

個人間や個人と団体の間の話し合いで用いられることはありません。

なお、例文からも分かる通り、「折衝」は「折衝を行う」「折衝する」「折衝を重ねる」などの表現で用いられることが多いです。

 

①の「折衝力」とは、交渉や駆引きをうまく進める能力のことです。自分たちにとって優位に話し合いを進められる人材は、どんな組織においても重宝されます。

②の例文は、国家間の決めごとについて、何度も話し合いが行われたという場面です。

③の例文は、有利な条件での交渉成立を達成するために何度も話し合いを重ねたというケースを表しています。

「折衝」の語源

「折衝」の語源は中国の古典『晏子春秋(あんししゅんじゅう)』です。

この古典の中で、晏子が取った対応を評価した孔子の言葉が「折衝」の由来になっています。

 

古代の中国にあった斉(せい)に攻め入りたいと考えていた大国の普(しん)は斉に高官を派遣しました。

そして、普の高官は宴会の席で斉の君主にわざと無礼な態度を取りました。

すると、同席していた晏子(あんし)らは普の権威を恐れることなく、高官の行いや要求を拒否しました。

この対応により、普は斉に攻め入ることを諦めました。

 

この話を聞いて、孔子(こうし)は晏子を以下のように評価しました。

夫不出於尊俎之間 而知千里之外 其晏子之謂也 可謂折衝

日本語訳:
宴会の席に身を置きながら、千里のかなたにいる敵兵の勢いをきずくとは、まさに晏嬰(あんえい/晏子のこと)の手腕だ。

ここから「折衝」という言葉が生まれました。

「折衝」の類義語

「折衝」には以下のような類義語があります。

  • 交渉(こうしょう):ある問題について相手と話し合うこと
  • 談判(だんぱん):事件や揉め事を決着させるために相手と話し合うこと
  • 渉外(しょうがい):外部と連絡や交渉をすること
  • 取引(とりひき):契約・合意をもとに金品などのやり取りを行うこと
  • 会商(かいしょう):集まって相談すること
  • 駆け引き:会議などの席で自分が有利になるように話を進めること
  • 掛け合い:お互いに要求などについて話し合うこと

「折衝」と「交渉」の違い

「交渉」とは、ある問題について相手と話し合うことを指します。

「折衝」と「交渉」には以下のような違いがあります。

  • 折衝
    • ある問題について話し合って相手と折り合いをつけること
    • 利害の一致しない相手と妥協点を探ること
    • フォーマルで堅い会議を指すことが多い
  • 交渉
    • ある問題について相手と話し合うこと
    • 利害が一致する相手と話し合うこと
    • プライベートな場面でもフォーマルな場面でも用いられる

「折衝」と「交渉」では「折り合いをつけるかどうか」「利害が一致しているか」「用いられる場面」の3点が異なるのです。

「談判」の意味

「談判」は、前提として揉め事などが起こっている場合の話し合いを指すため、利害や意見が反しているようなピリついた雰囲気の話し合いであることが一般的です。

「直談判」という言葉で聞き馴染みがあるのではないでしょうか。

「渉外」の意味

「渉外」は外部と連絡や交渉をすることを指します。

単純に「外」と「交渉する」という意味が合わさった言葉と覚えておきましょう。

「折衝」の対義語

「折衝」には以下のような対義語があります。

  • 実力行使:目的のために武力などで行動に出ること

「折衝」の英語訳

「折衝」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • negotiation
    (折衝、交渉)
    例:“He is improving in the skill in negotiations.” (彼は折衝の腕前が向上している。)
  • negotiate
    (折衝する、協議して取り決める)
    例: “I negotiate the price.” (価格について折衝する。)

「折衝力」が高い人の特徴

「折衝力」が高い人の特徴は以下のようなものです。

  1. 観察力が高い
  2. 相手の話をしっかり聞く
  3. 相手の利益を優先する

それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

特徴①:観察力が高い

「折衝力」が高い人は観察力が高く、相手の気持ちや考えていることを推測する能力が高いです。

そのため、「折衝」において押すべき場面や引くべき場面を見極めることができます。

特徴②:相手の話をしっかり聞く

「折衝力」が高い人は相手の話をよく聞きます。

「折衝」では自分の要求を通したいために相手の話を聞くことを軽視する人も多いですが、これは逆効果です。

自分の要求を通したいと意固地になると、相手も心を閉じてしまい、「折衝」が決裂してしまうからです。

相手の話をよく聞くと相手が心を開いてくれるため、かえって「折衝」を有利に進めることができます。

特徴③:相手の利益を優先する

逆説的ですが、「折衝力」が高い人は相手の利益を優先します。

具体的には、最初に相手にとってメリットがあることをします。

すると、人は返報性の原理により「自分も相手に譲歩しなきゃ」と思うようになります。

これにより、「折衝」が有利に進むのです。

「折衝力」を上げるポイント

「折衝力」を上げるポイントは以下のとおりです。

  1. 事前準備を徹底する
  2. 傾聴スキルを向上させる
  3. 相手の目を見て話す

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

ポイント①:事前準備を徹底する

「折衝力」を上げる一番のポイントは事前準備を徹底することです。

もともと「折衝力」が高い人でない限り、本番でなんとかしようと思っても、なかなかうまく行かないものです。

譲れない点を整理したり、想定される反論への対処を考えたり、事前準備を徹底して「折衝」の場に臨むようにしましょう。

ポイント②:傾聴スキルを向上させる

「折衝力」を上げるためには傾聴スキルを向上させることも重要です。

普段から人の話をよく聞く練習を行えば、「折衝」の本番でも相手の話をよく聞けるようになるでしょう。

ポイント③:相手の目を見て話す

シンプルですが、相手の目を見て話すのも重要です。

実は、人は話す時にほとんど相手のことを見ていません。

これでは相手が何を考えているかわからなくて当たり前です。

相手の考えを読み取るためにも意識して相手の目を見て話すようにしましょう。

まとめ

以上、この記事では「折衝」について解説しました。

読み方折衝(せっしょう)
意味利害関係が一致しない相手との問題を有利に解決するために、かけひきをすること
語源『晏子春秋』「内編・雑上」
類義語交渉、談判、渉外など
対義語実力行使
英語訳negotiation(折衝、交渉)など

「折衝」は日常的に使われる言葉ではありませんが、ワンランク上の表現として覚えておくと良いでしょう。

「折衝」の意味を正しくおさえ、正しく使いこなせるようにしましょう。