今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「千里同風(せんりどうふう)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「千里同風」をざっくり言うと……
読み方 | 千里同風(せんりどうふう) |
---|---|
意味 | 世の中すべての場所が同じ状態であり、平和であること |
由来 | 『論衡』の「雷虚篇」 |
類義語 | 万里同風、安穏無事、天下泰平など |
英語訳 | a country in a state of universal place(同じ状態が広く行きわたった国) |
「千里同風」の意味をスッキリ理解!
「千里同風」の意味を詳しく
「千里」は、はるか遠くの離れた土地を意味します。
また、「同風」は、同じ風が行き渡ることで風俗が同じものになるということから、同じ国になることのたとえであることがわかります。
つまり、「千里同風」は「たとえ千里離れた土地であっても、人々が同じ思いを持つことで世の中には同じ風が吹く」という意味です。
ここから、「世の中が統一された状態で、平和である」という意味が生まれました。
しかし、「千里同風」は、反対に「世の中全体が乱れた状態」を表すこともあるので注意しましょう。
「千里同風」の使い方
- 日本は、オリンピック開催に向けて国民が一丸となっていて、まさに千里同風といった状態だ。
- 私のクラスは喧嘩やいじめもなく、千里同風である。
- 駅前で爆発事故が発生して、騒ぎはおさまらず、千里同風となった。
一つ目と二つ目は、全体が平和な状態である意味で使用した例文です。
三つ目は、混乱した状態を表す意味で使用した例文です。
「千里同風」の由来
「千里同風」は、『論衡(ろんこう)』という書物に由来してできた四字熟語です。
『論衡』とは、中国の後漢時代に王充(おうじゅう)という人物が著したとされる思想書です。
この書物の「雷虚(らいきょ)篇」に、「千里不同風、百里不共雷」という文があります。この文から、四字熟語の「千里同風」が生まれました。
「千里同風」の類義語
「千里同風」には以下のような類義語があります。
- 万里同風(ばんりどうふう):天下が統一されて、平和に治まり、はるか遠くまで風俗や文化が同じになること。
- 刑鞭蒲朽(けいべんほきゅう):世の中が平和なことのたとえ。
- 安穏無事(あんのんぶじ):何事もなく穏やかであること。
- 天下泰平(てんかたいへい):世の中がよく治まり、平穏である様子。
- 平穏無事(へいおんぶじ):特に変わったことがなく平和であること。
「万里同風」は、「千里同風」とほとんど同じ意味ですが、平和な状態のみを表す点で異なっています。
数が違うだけで同じ意味を表す四字熟語は、合わせて覚えましょう。
「千里同風」の英語訳
「千里同風」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- a country in a state of universal place
(同じ状態が広く行きわたっている国)
まとめ
以上、この記事では「千里同風」について解説しました。
読み方 | 千里同風(せんりどうふう) |
---|---|
意味 | 世の中すべての場所が同じ状態であり、平和であること |
由来 | 『論衡』の「雷虚篇」 |
類義語 | 万里同風、安穏無事、天下泰平など |
英語訳 | a country in a state of universal place(同じ状態が広く行きわたった国) |
「千里同風」には、良い意味と悪い意味の両方の意味があります。
どちらの意味で使われているのかを判断する際には、前後の文脈に注意しましょう。