「押印」と「捺印」の違い|「押捺」「調印」についても解説!

違いのギモン

「押印と捺印って何が違うの?」

そう思っていませんか?

そこで、今回は「押印」と「捺印」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:押印は法律上で、捺印は日常会話で使われることが多い

「押印」と「捺印」はどちらも「印鑑をおす」という意味です。日常生活ではほとんど使い分けられることはありません。

ですが、「押印」は法律用語として使われることが多いです。一方、「捺印」は日常会話で使われることが多いです。

「押印」と「捺印」の3つの違い

「押印」と「捺印」はどちらも「印鑑をおす」という意味で、ふだん使い分けられることはほとんどありません。

しかし、厳密には以下の3つのような違いがあります。

押印捺印
使用場面主に法律用語主に日常会話
氏名の書き方手段を問わず氏名を記す本人が手書きで氏名を書く
法的効力低い高い

それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

違い①:使用場面

「押印」と「捺印」では以下のように使用場面が異なります。

  • 押印:法律用語として用いられることが多い
  • 捺印:日常会話で用いられることが多い

ちなみに、日常会話ではよく用いられる「捺印」が法律用語として用いられないのは、「捺」が当用漢字(※)ではないからです。

法律の文章では、当用漢字でない漢字は用いることができないため、代わりに「押印」を用いているのです。

  • 当用漢字:1946年に制定された、日常的に使用される1850の漢字のこと

違い②:氏名の書き方

「押印」と「捺印」では氏名の書き方が異なります。

そもそも、「押印」と「捺印」は以下の言葉の略語です。

  • 押印:「記名押印」の略語
  • 捺印:「署名捺印」の略語

「押印」の時には一緒に記名を行いますし、「捺印」の時は一緒に署名を行うのです。

そして、記名と署名には以下のような違いがあります。

  • 記名:手段を問わず名前を記すこと
  • 署名:自分の手で本人が名前を書くこと

違い➂:法的効力

「押印」と「捺印」では法的効力が異なります。

これは、「押印」「捺印」と一緒に行われる「記名」「署名」の法的効力が異なるからです。

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「署名」では本人の筆跡が残るため、「記名」よりも法的効力が高くなります。

ちなみに、法的効力が弱い順に以下のようになります。

法的効力(番号が若い方が弱い)
  • 記名のみ
    法的効力はない
  • 押印(記名 + 印鑑)
    法的効力が弱く、領収書、請求書などで用いられることが多い
  • 署名のみ
    押印と同等の法的効力。特に欧米で広く用いられている
  • 捺印(署名 + 印鑑)
    法的効力が強い。印鑑証明書が必要な書類など、特に重要な書類で用いられる

「押印」の意味を詳しく

「押印(おういん)」は印鑑をおすという意味です。法律用語では必ず「押印」を使います

また、押印という言葉はもともと、「記名押印」を略してできた言葉です。記名とはパソコンなどで印刷して氏名を表示したり、代筆で氏名を書いたりすることです。

このことから、一般的には氏名を手書きせず、印鑑だけおす場合に押印という言葉が使われることが多いです。

ビジネス場面では、以下のような書類に「押印」を行うことが多いです。

「押印」が必要な書類
  • 稟議書(※)・決裁書
  • 休暇・有給の申請書類
  • 勤怠管理票
  • 請求書・見積書
  • 稟議書(りんぎしょ):自分の権限では決定できないことについて上層部に承認を得るための書類のこと

「捺印」の意味を詳しく

「捺印(なついん)」は印鑑をおすという意味です。「捺印」は日常会話でよく使われます

この言葉はおされた印章(印鑑の正式名称)のことも指します。

そして、「捺印」は「署名捺印」を略した表現です。署名とはサインのことで、自分の氏名を手書きすることです。そのため、一般的には署名と一緒に印鑑をおす場合に使われます。

ちなみに、署名+捺印は証拠能力が高く、より慎重に行う必要があります。

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「押印/捺印」を上手に行う7つのポイント

「押印/捺印」を上手に行うためのポイントは以下の7つです。

  1. 印鑑の持ち方を工夫する
  2. 印鑑の押し方を工夫する
  3. 朱肉の量を工夫する
  4. 印鑑を押す場所を工夫する
  5. 印鑑の向きを工夫する
  6. 印面を綺麗に保つ
  7. 印鑑を押す位置に気をつける

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

なお、印鑑の押し方によって証拠能力が変わることは基本的にありません。

ポイント①:印鑑の持ち方を工夫する

印鑑の持ち方を工夫すると、うまく印鑑を押せるようになります。

印鑑は以下のように持ちましょう。

印鑑の持ち方
  • 人差し指を印面の真上に当てる
  • 印鑑の側面を中指の横と親指の腹で支える
  • 印鑑の尻の部分を手の腹に当てて支える

この持ち方をすることにより、印鑑に正しく力を伝えやすくなります。

ポイント②:印鑑の押し方を工夫する

印鑑の押し方にもポイントがあります。

印鑑を押す時には、以下のようなポイントをおさえるようにしましょう。

印鑑を押すポイント
  • 印鑑の面がしっかり全部紙についている状態にする
  • 手のひらで圧をかけながら、印鑑の円周に順番に力が加わるようにする
  • 手で紙を押さえ、印鑑を真上に優しく離す

ポイントを押さえて印鑑を押すことで、きれいな印影を残せます。

ポイント➂:朱肉の量を工夫する

朱肉の量を工夫するのも大切なポイントです。

印鑑を正しい持ち方で正しく押しても、朱肉の量が多いと印影がにじんでしまい、少ないとかすんでしまいます。

印鑑に適切な量の朱肉がつくようにしたいなら、以下のようなポイントに気をつけましょう。

適切な量の朱肉をつけるポイント
  • 印鑑で朱肉を何度か軽く叩いて朱肉をつける
  • 品質が劣化していない大きな朱肉を使用する

ちなみに、古い朱肉、スタンプ台などは印鑑を押すのに適していません。

古い朱肉は色ムラの原因になりますし、スタンプ台を使って印鑑を押すと、時間が経つにつれて印影が薄くなるからです。

ポイント④:印鑑を押す場所を工夫する

きれいに「押印」するためには、印鑑を押す場所を工夫するのも大切です。

印鑑を押す場所には以下のような工夫が必要です。

印鑑を押すのに適した場所
  • 傾いておらず、表面にデコボコがない机
  • 足がぐらついていない机

場合によっては、近くにこの2つの条件を満たした場所がない場合もあるでしょう。

そのような時は「捺印マット」が便利です。

「捺印マット」がない場合はティッシュや紙を重ねると、印鑑を綺麗に押しやすくなります。

ポイント⑤:印鑑の向きを工夫する

印鑑は基本的に、まっすぐ押すようにしましょう。

印鑑を正しい持ち方で持てていれば、印鑑をまっすぐ押すのは難しいことではないはずです。

ただ、会社によっては次に「押印/捺印」する上司を敬って、印鑑を左に傾けて押す場合もあります。

特に指導があった場合のみ、印鑑を左に傾けて押すようにしましょう。

ポイント⑥:印面を綺麗に保つ

印鑑を綺麗に押すためには、普段から印面を綺麗に保つのも欠かせません。

印面の維持管理を怠ると、印影を判別できなくなってしまう場合もあります。

印鑑を綺麗に保つコツは以下のとおりです。

印鑑を綺麗に保つコツ
  • 印鑑を押した後はティッシュや布で朱肉を拭き取る
  • 汚れがひどい場合は歯ブラシで印面を優しく擦る
  • ケースに入れて保存する

ちなみに、ティッシュや布で朱肉を拭き取る時には、ティッシュなどの上で印鑑を回転させると綺麗に拭き取ることができます。

ポイント⑦:印鑑を押す位置に気をつける

書類の中で、印鑑を押す位置にも気をつけるようにしましょう。

「押印/捺印」の場所は、実は印鑑証明書が必要な書類かどうかで異なります。

それぞれの場合の印鑑を押す位置について詳しく見ていきましょう。

印鑑証明書が必要な書類の場合

印鑑証明書が必要な書類の場合、「押印/捺印」は名前や他の文字、枠などに重ならないようにしましょう。

なぜなら、印鑑証明書が必要な書類の場合は印鑑が本物かどうか確かめるため、印影がはっきり見えるようにする必要があるからです。

文字や枠と印影が重なってしまうと、印鑑証明ができなくなるので注意が必要です。

印鑑証明書が不要な書類の場合

印鑑証明書が不要な書類の場合、「押印/捺印」は名前に少し重なるように行いましょう。

「押印/捺印」を名前と重なるように行えば、重なっている部分の偽造が難しくなるからです。

ただ、「印」などと書かれている、印鑑を押すための場所が設けられている場合は、その場所に印鑑を押すと良いでしょう。

「調印」とは?

「調印」とは、条約の文章などの重要書類に、双方が合意した上で署名をしたり、印をおしたりすることを表します。

「押印」や「捺印」より重要な取り決めを行う時に用いられます。

具体的には、以下のような場面で「調印」が使われます。

「調印」が使われる場面
  • 国同士が条約を締結する時
  • 企業同士が合併する時
  • 企業間で秘密保持契約を行う時

「押捺」とは?

「押捺」は拇印(ぼいん)をおす時に用いられることが多い言葉です。

拇印とは、親指の先に朱肉などをつけて印としておすもののことです。

印鑑をおす時にはあまり用いられません。

▲「拇印」の例

まとめ

以上、この記事では、「押印」と「捺印」の違いについて解説しました。

押印捺印
使用場面主に法律用語主に日常会話
氏名の書き方手段を問わず氏名を記す本人が手書きで氏名を書く
法的効力低い高い

「押印」と「捺印」はほとんど使い分ける必要がない言葉です。

しかし、読み方が少し難しいので、その点は少し注意したほうがいいかもしれません。