今回ご紹介する言葉は、斎戒沐浴の「斎戒沐浴(さいかいもくよく)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「斎戒沐浴」をざっくり言うと……
読み方 | 斎戒沐浴(さいかいもくよく) |
---|---|
意味 | 食事や行動を慎み、また体を洗うことで心身の穢れを取ること |
類義語 | 精進潔斎、沐浴抒溷、六根清浄 |
英語訳 | perform one’s ablution(禊をする),have a ceremonial wash(斎戒沐浴する) |
「斎戒沐浴」の意味をスッキリ理解!
「斎戒沐浴」の意味を詳しく
「斎戒沐浴」とは、飲食や行動を慎んだり、身体を洗ったりすることで、心身を清めることを指します。主に宗教に関連する言葉として用いられることの多い四字熟語です。
「斎戒沐浴」は、それぞれいくつかの言葉に分けることができます。「斎」は、「神を祀(まつ)る前に、食事や行動を慎むことで、心を清らかにする」ことを意味します。「戒」は、「悪いことを防ぐために考えられた、仏教的な規則」のことを指します。
また、「沐浴」とは、水やお湯によって体や髪を綺麗に洗うことを指します。
「斎戒沐浴」をする方法の具体例の1つに「写経(しゃきょう)」があります。
写経とは、仏教の経典を書き写すことです。この写経では、書き写しの前に作法として、身の回りの整理をすることを求められます。たとえば、身の回りの整理整頓や、口や手を洗うことが挙げられます。
身の回りを落ち着かせ、心を鎮めることができる環境を作り上げてから、経典を書写し、仏と向き合います。
このように、「斎戒沐浴」はいわば「仏や神と向き合うための環境づくりをすること」です。仏や神と向き合うには、清らかな体や心を整える必要があります。そのために、水で体を清め、飲食や行動を慎むことで心を鎮めるのです。
また、「沐浴斎戒」という言葉もありますが、意味は同じです。
「斎戒沐浴」の使い方
- 彼は斎戒沐浴し、体を清めてから遠くへ旅立った。
- 神や仏に仕える仕事なら、斎戒沐浴をしなくてはならない。
このように、斎戒沐浴は動詞としても、また名詞としても用いられる言葉です。
「斎戒沐浴」の類義語
斎戒沐浴には以下のような類義語があります。
- 精進潔斎(しょうじんけっさい):肉類を食べず、酒も飲まないことで心と体を清めること
- 沐浴抒溷(もくよくじょこん):神仏への祈りや神聖な儀式の前には、行動や飲食を慎み心を清めること
- 六根清浄(ろっこんしょうじょう):六根が、修行することで功徳(くどく)により清らかになること
沐浴抒溷の「抒溷」とは、「穢れを取り除くこと」という意味の熟語です。
また、六根清浄の「六根」とは、人間が持つ 6つの部分のことを意味します。具体的には、眼・耳・鼻・舌・身・意の 6部分です。六根清浄とはすなわち、修行によって「体を清める」ということを、具体的に体の部分を示して表現した四字熟語であると言えます。
「斎戒沐浴」の英語訳
斎戒沐浴を英語に訳すと、次のような表現になります。
- perform one’s ablution
(禊(みそぎ)をする) - have a ceremonial wash
(斎戒沐浴をする)
perform one’s ablution の重要語句は ablution です。
ablutionは、「宗教的な沐浴」を意味します。 perform は本来「演じる」「実行する」などの意味を持ちます。そのため、この場合は「沐浴を実行する」、転じて「禊をする」という意味になります。禊とは、罪や汚れを落とすために、水につかって身を清める行為のことです。
また、ceremonial は「儀礼上の」という意味の形容詞です。そして、wash は「手洗い」のことを意味します。そこから派生し、have a ceremonial wash は「斎戒沐浴する」と訳されることが多いです。
まとめ
以上、この記事では「斎戒沐浴」について解説しました。
読み方 | 斎戒沐浴(さいかいもくよく) |
---|---|
意味 | 食事や行動を慎み、また体を洗うことで心身の穢れを取ること |
類義語 | 精進潔斎、沐浴抒溷、六根清浄 |
英語訳 | perform one’s ablution(禊をする),have a ceremonial wash(斎戒沐浴する) |
神や仏など、現世を超越した存在と向き合うには、非常に研ぎ澄まされた集中力が必要です。
たとえば、イスラム教の預言者ムハンマドは、ヒラー山という山の頂上で瞑想をしている際に、唯一神アッラーの啓示にあったと言われています。
神社やお寺で参拝する際は、ぜひいつもより気持ちを整えて、少し集中してみるとよいかもしれませんね。