今回ご紹介する言葉は、故事成語の「遼東の豕(りょうとうのいのこ)」です。
「遼東の豕」の意味、例文、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「遼東の豕」をざっくり言うと……
読み方 | 遼東の豕(りょうとうのいのこ) |
---|---|
意味 | 世の中で知られているようなことを自分だけが知っていると思い込んで得意がることのたとえ |
由来 | 『後漢書』にある、頭の毛が白い豚を珍しいと思った男が、実は珍しくなかったことに気づいて引き返したという故事から |
類義語 | 井の中の蛙大海を知らず、葦の髄から天井をのぞく、針の穴から天を覗く |
英語訳 | taking pride in something mundane (ありふれたことを自慢げに思う) |
「遼東の豕」の意味をスッキリ理解!
遼東の豕(りょうとうのいのこ):世の中で知られているようなことを自分だけが知っていると思い込んで得意がることのたとえ
「遼東の豕」の意味を詳しく
「遼東の豕」とは、世の中で知られているようなことを自分だけが知っていると思い込んで得意がることのたとえです。
ちなみに、「遼東」とは中国遼寧(りょうねい)省南部一帯の地域を指しています。
また、「豕」とは豚のことです。
「遼東の豕」の例文
- その故事成語を自分だけが知っていると思っていた彼は、遼東の豕のようだ。
- 遼東の豕のような事態を避けるためには、教養を深めて多くの知識を得ていくしかない。
- 遼東の豕のような事態を経験し、とても恥ずかしい思いでいっぱいである。
「遼東の豕」の由来
「遼東の豕」の出典は『後漢書(ごかんじょ)』の「朱浮伝(しゅふでん)」という章です。
昔、中国の遼東という場所で、頭の毛が白い豚が生まれました。
このことを珍しいことだと思った男は、頭の毛が白い豚を王に献上することにしました。
しかし、彼が河東(かとう)という地域を通ったとき、そこにいる豚はみんな頭の毛が白かったのです。
彼は頭の毛が白い豚を珍しいと思っていた自分の知識のなさを恥ずかしく思い、ひきかえしてしまいました。
『後漢書』
『後漢書』とは、中国の後漢という王朝について書かれた歴史書です。
南北朝時代の宋という国の范曄(はんよう)という人物によって書かれたと言われています。
「遼東の豕」の類義語
「遼東の豕」には以下のような類義語があります。
- 井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかいをしらず)
- 葦の髄から天井をのぞく(よしのずいからてんじょうをのぞく)
- 針の穴から天を覗く(はりのあなからてんをのぞく)
「遼東の豕」の英語訳
「遼東の豕」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- taking pride in something mundane
(ありふれたことを自慢げに思う) - He is a person who knows but little of the world.
(世界の狭い部分しか知らない人)
まとめ
以上、この記事では「遼東の豕」について解説しました。
読み方 | 遼東の豕(りょうとうのいのこ) |
---|---|
意味 | 世の中で知られているようなことを自分だけが知っていると思い込んで得意がることのたとえ |
由来 | 『後漢書』にある、頭の毛が白い豚を珍しいと思った男が、実は珍しくなかったことに気づいて引き返したという故事から |
類義語 | 井の中の蛙大海を知らず、葦の髄から天井をのぞく、針の穴から天を覗く |
英語訳 | taking pride in something mundane (ありふれたことを自慢げに思う) |
「遼東の豕」はとても勉強になる言葉ですよね。
自分では自慢だと思っていたことも、他の人にとっては大したことないのかもしれません。
謙虚に生きていきたいものです。