「憐憫」の意味とは?使い方から類語や英語や対義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「憐憫(れんびん)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「憐憫」をざっくり言うと……

読み方憐憫(れんびん)
意味かわいそうに思うこと、あわれむこと
類義語哀憐、哀憫、不憫など
対義語薄情、非情、冷淡など
英語訳compassion(同情(心)、哀れみ)など

「憐憫」の意味をスッキリ理解!

憐憫(れんびん):かわいそうに思うこと、あわれむこと

「憐憫」の意味を詳しく


「憐憫」は、「かわいそうに思うこと、あわれむこと」を表す言葉です。また、「情けをかけること」も意味します。

「憐憫」では目上の人が下の立場の人に同情してあわれむことを表します。

目上の人に用いることはできないので注意しましょう。

そんな「憐憫」を構成する漢字には以下のような意味があります。

「憐憫」の漢字
  • :気の毒に思い、あわれむ
  • :かわいそうに思い、あわれむ

「憐憫」は「あわれむ」という意味の漢字を組み合わせた熟語なのです。

「憐憫」の読み方

「憐憫」は以下のように読みます。

正しい読み方れんびん
別の読み方れんみん
誤った読み方りんびん

「憐憫」の表記

「憐憫」には以下のような表記があります。

正しい表記憐憫
別の表記憐愍
誤った表記隣憫
燐憫

「自己憐憫」の意味

憐憫を含む言葉として、「自己憐憫(じこれんびん)」があります。

これは心理学用語で、自分に対して憐憫の情を抱くことを意味します。

憐憫は「他人の不幸や悲しみや力の弱い者などに同情し、あわれに思うこと」を言います。

つまり、「憐憫」は、基本的に他人に対して湧き上がる感情なのです。

 

ですが、「自己憐憫」という言葉では、「自分で自分をかわいそうだと思い、あわれむこと」を表しています。

「なんで私ばかり嫌な思いをするのだろう」「なんて私はかわいそうなのだろう」などという感情が、その例です。

「憐憫」の使い方

「憐憫」は、すでに説明したように名詞として使われる言葉です。

「憐憫」には以下のような言い回しがあります。

「憐憫」のよくある言い回し
  • 憐憫の目/眼差し
  • 憐憫の情/念
  • 憐憫を垂れる

それぞれの言い回しについて詳しく見ていきましょう。

「憐憫の目/眼差し」の使い方

「憐憫の目」「憐憫の眼差し」は「哀れむような視線」のことです。

誰かが悲しんでいる時に、同情するように向ける視線のことを表します。

憐憫
  • あまりの惨劇に、憐憫の眼差しを向ける。
  • 全てを失った彼女に、全員が憐憫の目を向けた。

「憐憫の情/念」の使い方

「憐憫の情」「憐憫の念」とは、「哀れんだり情けをかけたりする気持ち」のことです。

他人に「可哀想だ」と感じた時の感情のことを表します。

以下のような形でよく用いられます。

  • 憐憫の情を抱く
  • 憐憫の情を誘う
  • 憐憫の情を覚える
  • 憐憫の情が起こる
  • 憐憫の情を向ける
  • 憐憫の情を禁じ得ない
例文
  • 彼女の苦境を知り、憐憫の情を禁じ得なかった。
  • 雨の中置き去りにされた捨て猫に憐憫の情を覚え、つい拾ってしまった。
  • 大舞台で失敗した彼女に、誰もが憐憫の念を抱いた。
  • 彼のみじめな姿に憐憫の情が起こった。
  • 繁華街で起きた無差別事件に被害者に憐憫の情を向ける。

「憐憫を垂れる」の使い方

「憐憫を垂れる」は主に目上の人が目下の人を哀れに思い、情けをかけることです。

「憐憫」はそもそも目上の人に使うのは失礼にあたる表現ですが、「憐憫を垂れる」を目上の人に使うと特に失礼なので注意しましょう。

例文
幼くして父を亡くした私に、近所の方が憐憫を垂れてよく話しかけてくれた。

「憐憫」の類義語

憐憫には以下のような類義語があります。

  • 哀憐(あいれん):悲しみ哀れむこと
  • 哀憫(あいびん/あいみん):悲しみ哀れむこと
  • 不憫(ふびん):かわいそうなこと
  • 同情(どうじょう):他人の気持ちや苦悩を自分のことのように親身になって感じること
  • 惻隠(そくいん):あわれんで同情する
  • 憐情(れんじょう):あわれみの心
  • 思いやり:他人の心情や身の上などを心配すること
  • 可哀想(かわいそう):同情の気持ちが起こること
  • 慈悲(じひ):情けのこと
  • 哀愍(あいびん):かなしんで哀れむこと
  • 御情(おなさけ):哀れみや思いやりのこと

「憐憫」と「不憫」の違い

「不憫」とは、「かわいそうなこと」という意味です。

「憐憫」と「不憫」には以下のような違いがあります。

  • 憐憫:名詞として用いる
  • 不憫:名詞・形容動詞として用いる

「憐憫」と「不憫」は形容詞として使えるかどうかが異なるのです。

たとえば、「不憫な子供」という表現はありますが、「憐憫な子供」という表現はありません。

また、「憐憫」が他人を可哀想だと思う気持ちのことを表しているのに対し、「不憫」は可哀想だという状態のことを指す、という違いもあります。

「不憫」と「憐憫」の違いとは?意味から使い方までわかりやすく解説

「憐憫」の対義語

「憐憫」には以下のような対義語があります。

  • 薄情(はくじょう):冷たい性格で愛情が薄いこと
  • 非情(ひじょう):人間らしい感情を持たないこと
  • 冷淡(れいたん):同情や熱意を持たないこと
  • 冷血(れいけつ):人間らしい温情がないこと
  • 無慈悲(むじひ):あわれみが欠けてむごいこと
  • 残酷(ざんこく):無慈悲で残酷なこと
  • 澆薄(ぎょうはく):道徳が衰えて人情がきわめて薄いこと

「憐憫」の英語訳

憐憫を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • compassion
    (同情(心)、哀れみ)
  • pity
    (哀れみ、同情、気の毒なこと)
  • have mercy on~
    (〜に哀れみをかける)
  • sympathy
    (同情)
  • feel sorry
    (かわいそう)

まとめ

以上、この記事では「憐憫」について解説しました。

読み方憐憫(れんびん)
意味かわいそうに思うこと、あわれむこと
類義語哀憐、哀憫、不憫など
対義語薄情、非情、冷淡など
英語訳compassion(同情(心)、哀れみ)など

「憐憫」は、普段の会話で使われることはあまり多くないでしょう。

しかし、きちんと意味を抑え、いざという時に正しく使えるようにしておきましょう。

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香菜
「読者を不快にさせない記事」をモットーに執筆・編集しています。有名美容ライターの元でアシスタントを経験し、その後出版社に就職。現在は著名人への取材やエンタメ記事の執筆も行っています。