故事成語「完膚無し」の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、「故事成語」の「完膚無し(かんぷなし) 」です。

言葉の意味、使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「完膚無し」をざっくり言うと……

読み方完膚無し(かんぷなし)
意味(傷のない肌がなくなるくらい)徹底的にやること。
由来『新唐書・劉酒伝』
類義語徹底的に、容赦無く
対義語情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)
英語訳“relentlessly” 、 “unrelentingly” 、 “inexorably”

「完膚無し」の意味をスッキリ理解!

完膚無し(かんぷなし) :(傷のない肌がなくなるくらい)徹底的にやること。

「完膚無し」の意味を詳しく

「完膚無し」とは、「徹底的に相手をやっつけること、または相手にやられること」を意味する「故事成語」です。

 

「完膚」とは、傷が見当たらないきれいな肌のことを指します。

それゆえに、「完膚無し」とは「無傷な場所が一切見当たらないぐらい、徹底的に叩きのめす」ことを意味する言葉として使われます。

 

現在では、スポーツで相手チームと戦うときに「手加減しないで戦え」という意味合いで、「完膚なきまでに叩きのめせ」などと言われますね。

「完膚無し」の使い方

「完膚無し」は、「(無傷なところが見当たらないぐらい)容赦無く叩きのめす」ことを表すための言葉です。具体的には、以下のように使います。

 

  1. 明日戦うチームは強くない。しかし、コーチは「完膚なきまでに叩きのめせ」と言った。
  2. ライオンはどんな小動物相手でも、完膚なきまでに叩きのめすことを忘れない。
  3. 昨日のディベートで、私は彼に完膚なきまでに論破された。

注意点として、結果的に誰も痛手を負わない場合には「完膚無し」という言葉は使ってはいけません。

誤用例 「医者に完膚なきまでに治療してもらったので、火傷のあとは全く残りませんでした」

たしかに、「完膚」は「傷のない肌」という意味です。

しかし、「完膚無し」というかたちで使われる際には、誰かが「傷のない肌がなくなるぐらい」の痛手を負うことになりますので注意しましょう。

「完膚無し」の由来

「完膚無し」という故事成語の由来は、『新唐書・劉酒伝』にあります。

由来となったエピソードの概要

あるとき、蒋鎮という者が唐の王朝に反乱を起こしました。

蒋鎮は同僚である劉廼を寝返らせようとしましたが、劉廼は王への忠義ゆえに回答を拒否しました。

それに腹を立てた蒋鎮が、傷のない肌がなくなるぐらいの苛烈な拷問を劉廼にあたえたのです。

つまり、拷問によって傷のない肌がなくなってしまったことから、「完膚なし」は徹底的に叩きのめすことを意味する言葉として広まったということですね。

「完膚無し」の類義語

「完膚無し」には以下のような類義語があります。

  • 徹底的に
  • 容赦無く

「完膚無し」の対義語

「完膚無し」には以下のような対義語があります。

「情状」とは現実に起こった事実や事情を意味し、「酌量」は事情をきちんとくみとることを意味します。

つまり、「情状酌量」とは個別違った事情をきちんと推し量って、同情のある扱いを行うことを指します。

一切容赦のない扱いを行う「完膚無し」と、同情があって、ある種甘い対応を行う「情状酌量」とでは意味合いが全く違いますね。

「完膚無し」の英語訳

「完膚無し」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • relentlessly
    (情け容赦なく)
  • unrelentingly
    (容赦なく)
  • inexorably
    (無情にも)

まとめ

以上、この記事では「完膚無し(かんぷなし) 」について解説しました。

読み方完膚無し(かんぷなし)
意味(傷のない肌がなくなるくらい)徹底的にやること。
由来『新唐書・劉酒伝』
類義語徹底的に、容赦無く
対義語情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)
英語訳“relentlessly” 、 “unrelentingly” 、 “inexorably”

一流のスポーツ選手は、相手がどんなに弱くても手加減はしないと聞きます。

勝つためには、手加減をしないで「完膚なきまでに叩きのめす」ことが必要になるということですね。