「れっきとした」とは「疑いや偽りがなく、明らかである」という意味です。
「れっきとした」はカジュアルな会話ではあまり使わない言葉です。
そのため、いざ使おうとすると、正しい意味がよくわからなくなってしまいますよね。
また、漢字で表記した場合、「歴とした」と「列記とした」のどちらが正しいのか迷ってしまうという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「れっきとした」の意味や使い方、語源、類義語、英語訳について詳しく解説します。
「れっきとした」の意味
疑いや偽りがなく、明らかである
例:このレポートは科学的な根拠があり、れっきとした研究結果といえる。
「れっきとした」は、「疑いようもなく明らかな」ということを表します。
「れっきとした論文」「れっきとした宝石」というように、「立場や物事が本物であり、きちんとしている」というポジティブな意味合いで使うことが多いです。
また、家柄に対して使う場合は、「身分が良く、立派である」というニュアンスになります。
ただし、「れっきとした」はネガティブな文脈で使うこともあります。
たとえば、「れっきとした犯罪」は、「疑いもなく、犯罪である」という意味になります。
「れっきとした」の漢字表記
「れっきとした」を漢字で表記すると、「歴とした」になります。
「歴とした」はそのまま読むと「れきとした」となりますが、言いやすくするために「れっきとした」と読まれています。
「れっきとした」を「列記とした」と書くのは誤りですから、注意しましょう。
「列記」とは、1つ1つの事柄を列挙して書き記すという意味であり、「れっきとした」の「疑いようもなく明らかだ」という意味とは関係していません。
「れっきとした」の使い方
「れっきとした」は「れっきとした〇〇」というかたちで使います。
例文を見てみましょう。
- このレポートは科学的な根拠があり、れっきとした研究結果といえる。
- A:Cさんは、なぜ会社を急にやめてしまったんだろう。
B:彼女としてはれっきとした理由があったそうだよ。 - 警察は、れっきとした証拠をまだ手に入れていないので、具体的な捜査を始めることができていない。
- 私にはれっきとしたアリバイがあるから、その事件には関わっていない。
- あなたは部長というれっきとした立場にいるのだから、責任感をもってほしい。
- Aくんはいつも色々な女性とデートしているが、実は彼にはれっきとした恋人がいる。
- 彼の結婚相手には、れっきとした家柄の出身者が選ばれた。
- 軽い気持ちであったとはいえ、万引きはれっきとした犯罪だ。
「れっきとした」の語源
「れっきとした」は、「歴(れき)とする」という言葉の意味が元となっています。
明らかな、正真正銘の
「歴とする」は、名詞にかかるときに「歴とした」となります。
「歴とした(れきとした)」はやや発音しづらいため、「れっきとした」と呼ばれるようになりました。
やがて、漢字の「歴とした」よりも、ひらがなの「れっきとした」という表記が一般的になったのです。
「れっきとした」の類義語
「れっきとした」の類義語はたくさんありますが、以下のように分類することができます。
- 「きちんとした本物である」という意味の類義語
- 「間違いや嘘がない」という意味の類義語
- 「立場や家柄などが立派である」という意味の類義語
1つずつ見ていきましょう。
①「きちんとした本物である」という意味の類義語
「きちんとした本物である」という意味の類義語には、以下のようなものがあります。
- ちゃんとした
きちんとしている様子
例:この人はちゃんとした研究者で、科学的根拠に基づいて発言している。 - 正真正銘の
偽りがなく本物である
正真:本物
正銘:嘘がない
例:正真正銘の芸術品を鑑賞した。 - 立派な
不足や欠点がない様子
例:彼は立派な音楽家だ。 - 真の
本当の
例:患者を第一に考える彼は、真の医者だ。 - 本物の
偽物ではないもの
例:本物の女優さんに初めて会った。 - 正式な
本来の正しい形式である
例:婚約相手の両親に正式な挨拶をした。 - 純正の
純粋で正しい
例:Appleストアで純正のイヤホンを購入した。
②「間違いや嘘がない」という意味の類義語
「間違いや嘘がない」という意味の類義語には、以下のようなものがあります。
- 間違いなく
間違いがなく本当に
例:彼女は、そのときの現場には間違いなくいなかった。 - 押しも押されもせぬ
疑う余地がなく実力がある
例:政界では、彼は押しも押されもせぬ大物だ。 - 紛れもなく
明らかに
例:これは、紛れもなく本物のブランドバッグです。 - これこそ
これこそがまさに
例:これこそが現実的な経済政策だ。 - これぞ
これこそがまさに
例:これぞ社長たる方のふるまいだ。 - まさしく
まちがいなく、まさに
例:祖母はまさしく人格者だ。 - まやかしではない
偽ではなく本物である
例:この報道はまやかしではなく、事実だ。 - 紛れもない
間違えようがなく、明白である
例:私がこの事件に関与していないのは、紛れもない事実だ。 - 嘘偽りない
嘘や間違いがない
例:嘘偽りない気持ちを聞かせてください。
③「立場や家柄などが立派である」という意味の類義語
「立場や家柄などが立派である」という意味の類義語には、以下のようなものがあります。
- 由緒正しい
正当な言われがある
例:彼の実家は、由緒正しい家柄だ。 - やんごとなき
身分や家柄が良い
例:彼女はやんごとなきお方だ。 - お歴々(れきれき)
身分や地位が高い人たち
※嫌味で使われることも多いが、本来はポジティブな意味合い
例:このパーティには毎回、名だたるお歴々が出席する。 - ノーブルな
身分が高い
例:Aさんはノーブルな人で、1つ1つの所作も美しい。 - 伝統ある
長い歴史がある
例:私の出身校は伝統ある学校だ。 - 歴史ある
長く続いている
例:歴史ある美術館を訪れた。
「れっきとした」の英語訳
「れっきとした」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- undoubted
(疑いようのない)
例:It is an undoubted fact that I had a relationship with him.
(私が彼と交流していたのは疑いようのない事実だ。) - obvious
(明らかな)
例:This is an obvious evidence.
(これは明らかな証拠だ。) - right
(正しい、立派な)
例:You should work at one of the right companies.
(あなたはちゃんとした会社に勤めるべきだ。)
「れっきとした」のまとめ
以上、この記事では「れっきとした」について解説しました。
読み方 | れっきとした |
---|---|
意味 | 疑いや偽りがなく、明らかである |
語源 | 歴とする |
類義語 | ちゃんとした 間違いなく 由緒正しい など |
英語訳 | undoubted (疑いようのない) obvious (明らかな) right (正しい、立派な) |
「れっきとした」はさまざまな文脈や場面で用いることができます。
「疑いもなく、どう見ても明らかだ」と思えるような場面で使ってみましょう。