心理学用語「ラポール」とは?形成のコツや整体院の意味も解説

言葉

ラポールとは「2人の人間がお互いを信頼できている状態・関係性」という意味です。

心理学用語であるため、意味を知らない人も多いでしょう。

しかし、ラポールの意味自体は単純で、日常生活にも応用できる概念なので、この記事でマスターしましょう。

☆「ラポール」をざっくり言うと……

読み方ラポール
意味2人の人間がお互いを信頼できている状態・関係性
提唱者オーストリアの精神科医フランツ・アントン・メスメル
英語訳rapport(ラポール)

「ラポール」の意味

ラポール

2人の人間がお互いを信頼できている状態・関係性

例:まずは異性とラポールを築くのが重要だ。

ラポールは、特に心理療法の分野におけるセラピストと患者、面接者と被面接者などの間に構築された信頼関係を表す言葉です。

患者からセラピストや医師に対する一方的な信頼ではなく、お互いの信頼感を表すのです。

相互を信頼し合い、お互いの前で自由に振る舞ったり、正直に話ができる状態を意味します。

カウンセリングや治療の内容がどんなものであろうとも、治療段階に入る前にラポールを構築することが前提条件だと考えられています。

ラポールの意味の広がり

現在では意味が広がり、セラピストと患者以外の関係性でも信頼関係を表すようになっています。

「ラポール」の具体例

ラポールはもともと、特に心理療法の分野におけるセラピストと患者、面接者と被面接者という関係性で使われる言葉です。

しかし、今回はイメージしやすいように日常生活のシチュエーションで具体例を挙げていきます。

ラポールは、日常生活の中でも以下のようなシチュエーションで活用することができます。

  • 恋愛
  • ビジネス
  • 福祉
  • 看護

恋愛における「ラポール」の具体例

恋愛において、ラポールを形成することはとても重要です。

例えば、お互いの信頼関係が築けていない相手には、好意を持ってもらうどころか気を許して話をしてもらうことすら難しいです。

まずは、自分の身分や情報を明らかにすることで、相手からの信頼を得ることが重要になります。

ビジネスにおける「ラポール」の具体例

ビジネスにおいても、ラポールの形成が大切になる場面があります。

例えば、契約をしてもらうためには、取引先とのラポールがないといけません。

「自分の利益しか考えていない」「騙されるかもしれない」などの印象がある相手とはだれも取引をしません。

まずは前提として、自分が誠実な人間で真摯な取引ができると信じてもらう必要があるのです。

福祉における「ラポール」の具体例

社会福祉においてもラポールが非常に重要になります。

援助者と被援助者の間に信頼関係が無ければ適切な援助を行うことは難しいです。

公的な機関の人間でも、自分の経済状況や困っているところを明かすのには不安があります。

そのため、まずは援助が必要な人とラポール形成を行ったうえで、その人の状況を適切に把握する必要があるのです。

医療・看護における「ラポール」の具体例

患者の治療や介護を行う際に、ラポール形成が非常に重要です。

患者の状態を把握するためには、健康状態や生活習慣などを正直に申告してもらう必要があります。

しかし、信頼関係が形成できていないと患者が自分の症状を隠したり、痛みなどを言いづらくなってしまうのです。

「ラポール」の提唱者


ラポールの提唱者は、オーストリアの精神科医フランツ・アントン・メスメルです。

ただし、メスメル医師が当初使っていたラポールの意味は、現在の意味とは異なります。

もともとラポールは、「セラピストと、動物磁気を感じた患者との間に生じた関係」を表現するため言葉でした。

 

「動物磁気」は、人間や動物、植物が持つ目に見えない自然の力のことです。

メスメル医師が研究していた「動物磁気」の分野に関する言葉でした。

ここから動物磁気の分野だけでなく、心理学全体で「セラピストと患者との間に生じた信頼関係」という意味で使うようになりました。

「ラポール」の英語訳


ラポールを英語に訳すと、次のような表現になります。

  • rapport
    (ラポール・人同士の信頼関係)

「ラポール」の関連語

ラポールには、以下のような関連語があります。

  • ラポール形成
    ラポールを形成すること
  • アイスブレイク
    初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法
  • 治療同盟
    治療者とクライエントとの間の作業関係

「ラポール形成」の意味

ラポール形成とは、その名の通り「ラポールを形成する」という意味です。

つまり、相手との信頼関係を築くことを表す言葉です。

ラポール形成のテクニック

ラポール形成には、さまざまなテクニックが応用できますが、その中でも心理学的に有効とされている方法を紹介します。

  • ペーシング
    対話の中で相手の言動や動作に自分の動作を合わせる方法
  • マッチング
    相手の話し方(声のスピード、音程、大小、リズム、呼吸等)に自分の話し方を合わせること
  • ミラーリング
    相手と動作・しぐさを合わせること
  • キャリブレーション
    相手の心理状態を言葉以外のサインで認識すること
  • バックトラッキング
    相手の言葉をオウム返しすること

ペーシングやミラーリングのように、相手の動作を真似ることで、自分に好意を持たせることができるのです。

ラポール形成のコツ

  • 相手の意見を否定しない
  • 相手をよく観察する

相手の意見を直接的に否定しないことは、コミュニケーションの基本です。

また、上記で挙げたラポール形成のためのテクニックを用いるためには、相手のようすを観察することが必須になります。

「アイスブレイク」の意味

アイスブレイクとは、初対面の人同士が出会う時にその緊張をときほぐすための手法です。

ゲームのようなものから簡単な自己紹介などさまざまな手法を含む言葉です。

「ラポール」と「アイスブレイク」の違い

ラポールとアイスブレイクの違いは以下のようなものです。

  • ラポール
    2者の間の信頼関係のこと
  • アイスブレイク
    ラポールを形成するためにもちいられる手法

つまり、アイスブレイクはラポールを形成するための手段であるという違いがあります。

「治療同盟」の意味

治療同盟とは、治療者と患者の間の作業関係を表す言葉です。

治療過程における協力関係や共同作業をあらわす概念です。

ある症状や病気の治療という目標を達成するために、治療者と患者が信頼感を抱きながら協力し合うことを意味します。

「ラポール」の対義語


ラポールには、以下のような対義語があります。

  • アンチラポール
    信頼関係が形成できていない状態

信頼関係が形成できていない状態を「アンチラポール」と表現します。

アンチには、後に続く言葉を否定する意味があります。

「ラポール」の語源


ラポールの語源は、「橋を架ける」を意味するフランス語 “rapport” です。

「人と人の間に信頼関係ができるようす」を「人の心と心に橋を架ける」と例えたことからこの言葉が生まれました。

「ラポール」のその他の意味


ラポールは、信頼を表す言葉です。

そのため、以下のように整体院やサロン、レストランなどの店名として使われることが多いです。

  • 大阪茨木市の美容室
  • 池袋の洋食・西洋料理
  • 関東に複数店舗ある整体院
  • 東京都江戸川橋の美容室

「ラポール」のまとめ

以上、この記事ではラポールについて解説しました。

読み方ラポール
意味2人の人間がお互いを信頼できている状態・関係性
提唱者オーストリアの精神科医フランツ・アントン・メスメル
英語訳rapport(ラポール)

ラポールが心理学の中だけでなく、日常生活にも活用できる考え方であることがわかりました。