今回ご紹介する言葉は、故事成語の「安に居て危を思う」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「安に居て危を思う」をざっくり言うと……
読み方 | 安に居て危を思う(あんにいてきをおもう) |
---|---|
意味 | 平穏な状況にあっても危機に対して備えることが大切であること |
由来 | 「春秋左氏伝」における魏縫の発言 |
類義語 | 居安思危、安きに危うきを忘れず、治に居て乱を忘れずなど |
英語訳 | in prosperity prepare for adversity, providing is preventing |
このページの目次
「安に居て危を思う」の意味をスッキリ理解!
「安に居て危を思う」の意味を詳しく
「安に居て危を思う」とは、平和な状況であっても危機が訪れた場合を想定して備えをしておくことが大切であるという意味です。
「安」が平和な状況を、「危」が不安定な状況を表しています。「安に居て危を思う」は、平穏な日常において緩んでしまいがちな心構えを戒める言葉であると言えます。
「安に居て危を思う」の使い方
- 安に居て危を思うための避難訓練だ。気を抜いてはならない。
- 彼は非常時に備えていつもお金を多めに持っている。まさに、安に居て危を思うだ。
「安に居て危を思う」の由来
「安に居て危を思う」の出典は『春秋左氏伝』という中国の書物です。『春秋左氏伝』は、古代中国の春秋王朝について記されている『春秋』という歴史書の注釈書です。
春秋時代、中国には鄭という国がありました。その国を、晋や晋など他の 12ヵ国が連合して攻めようとしたのです。
その時、鄭は大きな力を持っていた晋に攻撃の停止を求めます。晋や連合国は鄭の願い出を受け入れ、また晋は鄭から貢物を多くもらいました。
晋の王がその貢物を家臣と山分けにしようとした際、魏縫という人物がこう述べて反対します。
(晋国が好調な時だからこそ、危機の到来を意識すべきだ)
思えば則ち備え有り
(警戒することで危機に備えることが出来る)
備え有れば患い無し
(備えておけば危機を避けることが出来る)
どの言葉も、平穏無事な状況にいるからこそ危機が訪れる可能性を意識しておくべきだということを説いています。一つ目の「安きに居りて危うきを思う」から「安に居て危を思う」は来ています。
「安に居て危を思う」の類義語
安に居て危を思うには以下のような類義語があります。
- 居安思危:「安に居て危を思う」に同じ
- 安きに危うきを忘れず:「安に居て危を思う」に同じ
- 治に居て乱を忘れず:平和な世界にあっても戦乱への備えを忘れないこと
- 太平にも乱を忘るべからず:「治に居て乱を忘れず」に同じ
- 備えあれば憂いなし:日頃からの備えが万一の時に功を奏すること
「安に居て危を思う」の英語訳
「安に居て危を思う」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- in prosperity prepare for adversity
(良い時でも苦境への備えをしておく) - providing is preventing
(備えあれば憂い無し)
まとめ
以上、この記事では「安に居て危を思う」について解説しました。
読み方 | 安に居て危を思う(あんにいてきをおもう) |
---|---|
意味 | 平穏な状況にあっても危機に対して備えることが大切であること |
由来 | 「春秋左氏伝」における魏縫の発言 |
類義語 | 居安思危、安きに危うきを忘れず、治に居て乱を忘れずなど |
英語訳 | in prosperity prepare for adversity, providing is preventing |
上手くいっている時こそより一層気を引き締めることが重要な意味を持つ場合があります。皆さまも是非「安に居て危を思う」を使ってみてくださいね。