「全豹一斑」の意味とは?読み方は?使い方から類語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「全豹一斑(ぜんぴょういっぱん)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語についてわかりやすく解説します。

☆「全豹一斑」をざっくり言うと……

読み方全豹一斑(ぜんぴょういっぱん)
意味見識が非常に狭いこと
由来中国晋時代の歴史書『晋書』より
類義語管窺蠡測、坎井之蛙、区聞陬見

「全豹一斑」の意味をスッキリ理解!

全豹一斑(ぜんぴょういっぱん)見識がとても狭いこと

「全豹一斑」の意味を詳しく


「全豹一斑」とは、物事の一部だけを見て全体を判断し、批判することです。物の見方・見識が狭いことを表します。

調べ物をするときにインターネットを使う人も多いと思います。しかし、ネット上の情報には誤ったものも多く、1つのサイトの内容だけで判断することは「全豹一斑」であると言えるでしょう。

「全豹一斑」の使い方

「全豹一斑」は文中では以下のように使われます。

  1. 彼は早合点をし、全豹一斑してしまうことが多々ある。
  2. 全豹一斑を避けるには、複数の情報を集めて裏付けを取ることが重要だ。

「全豹一斑」は、見識が狭いことを指す、マイナスの意味の言葉です。「一を聞いて十を知る」ということわざのように、ほめ言葉として使うことはできないので、注意しましょう。

「全豹一斑」の由来

「全豹一斑」は、中国の晋時代に書かれた歴史書、『晋書(しんじょ)』が出典です。

以下は、元になった部分の原文と現代語訳です。

一斑を見て全豹を卜(ぼく)す

細い管から見えた豹(ひょう)のひとつの斑点から、その豹の全体像を想像する

豹の模様ひとつから、全体像を正しく把握するのは不可能なことです。ここから、見識が狭いことを表す四字熟語になりました。

「一斑を見て全豹を卜(ぼく)す」と原文そのままの形で、ことわざとして使われることもあります。

『晋書』とは
中国の晋の時代の歴史を主に記した歴史書です。晋以外にも、後漢時代や三国時代についての記述もあるため、歴史的に重要な資料だとされています。

それまでの歴史書は個人が作ったものを国家が認める形でしたが、この『晋書』は王によって制作を命じられたものです。また、これ以降の歴史書は『晋書』と同様、王が命令して編纂(へんさん)させるようになったため、歴史書における転換点となりました。

「全豹一斑」の類義語

「全豹一斑」には、以下のような類義語があります。

  • 管窺蠡測(かんきれいそく):見識が極めて狭いことの例え
  • 坎井之蛙(かんせいのあ):世間が広いことを知らず、狭い見識に囚われること
  • 区聞陬見(くぶんすうけん):学問・見識がとても狭く、偏っていること

「管窺」は細い管から天を覗くこと、「蠡測」は小さなホラ貝で海の水の量を図ることを表します。

「坎井之蛙」は、「井の中の蛙大海を知らず」を四字熟語にしたものです。

「全豹一斑」を含めたこれらの四つは同じ意味を指す四字熟語なので、どれを使っても構いません。

まとめ

以上、この記事では「全豹一斑」について解説しました。

読み方全豹一斑(ぜんぴょういっぱん)
意味見識が非常に狭いこと
由来中国晋時代の歴史書『晋書』より
類義語管窺蠡測、坎井之蛙、区聞陬見

現代は情報社会と呼ばれ、誰でも簡単に情報を入手することができます。ネット上でニュースを見る方も多いのではないでしょうか。しかし、その情報だけで物事を判断してしまうことは「全豹一斑」であり、危険です。

テレビや新聞などは、報道する際に情報に対して責任を負っています。これに対し、ネット上では誰でも発言することができるため、情報の正しさが保証されていません。また、情報自体が発信者の利益や考え方によって、曲解されていることも有り得ます。

情報が簡単に手に入る時代だからこそ、情報を鵜呑(うの)みにせず多角的に検討し、「全豹一斑」を避けることの重要性が高まっています。