「応酬」の意味とは?使い方から英語や類義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「応酬(おうしゅう)」です。

言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「応酬」をざっくり言うと……

読み方応酬(おうしゅう)
意味やり取りをする
語源「応」「酬」の漢字の組み合わせから
類義語交換、反駁、反論など
英語訳reply(反応する、答える)、debate(議論において発言する)

「応酬」の意味をスッキリ理解!

応酬(おうしゅう):やり取りをすること

「応酬」の意味を詳しく


「応酬」には以下のような意味があります。

「応酬」の意味
  1. 誰かとやり取りをすること
  2. 贈られた書状や詩歌などに返事をすること
  3. 議論や言い合いをする
  4. 相手の行為に対してやり返す
  5. 暴力を振るう
①がメインの意味です。「応酬」は「先方からしてきたことに対して、こちらからもやり返すこと」を表す言葉であるため、使い方によってネガティブな意味にもなります。使用する際には状況に気を配るようにしましょう。

また、②は「贈られた書状や詩歌などに返事をすること、応答すること、それらの返し」という意味です。一般的に、「手紙の応酬をする」などのように使われます。

 

また、「応酬」を用いた言葉に「応酬話法」というものがあります。「応酬話法」とは、お客様の質問や反応に応答するための基本的なセールストークのことを言います。

「応酬話法」には、それぞれ以下のようなものがあります。

「応酬話法」の種類
  1. ブーメラン法
  2. 例話法
  3. 肯定法
  4. 質問法

①ブーメラン法

「ブーメラン法」とは、相手の発言のマイナスの部分をプラスに変えて返答することにより、相手が断る理由をなくす話法のことを言います。具体的には、「だからこそ~なんです」のような返しのことを指します。

例文
Aさん:「遺産相続なんて、まだ先のことだし当分考えなくていいや」
Bさん:「まだ先だからこそ、時間のある間に色々考えておきましょう!」

②例話法

「例話法」とは、例え話を使用して説明する話法のことです。例え話を使用することにより、実際に商品やサービスを利用している状況を具体的に考えてもらう効果があります。

例文
Aさん:「5G対応のスマートフォンって高いし、なにが良いのか分からないな」
Bさん:「例えば、動画をダウンロードするのに1分かかっていたものが、5Gなら約6秒で完了しますよ」

③肯定法

「肯定法」とは、「そうですよね」「おっしゃる通りです」のように、相手の意見をいったん肯定してから話をする話法のことをいいます。これにより、相手の警戒心を解き、安心させるという効果があります。

例文
Aさん:「いくらブランドもののコートだからといって、10万円は高すぎないか!」
Bさん:「その通りでございます。やはり少々高いお値段ではございますが、使い捨てのものではございません。末永くご利用いただけるので、長い目でみていただければ必ず納得いただけるはずです。」

④質問法

「質問法」とは、相手が拒否する理由について質問をすることによって聞き出すという話法です。直接「~の件について、理由をお聞かせいただけないでしょうか」という場合もあれば、少し遠回しに「そうでしたか。では~というのはいかがでしょうか?」のように質問する場合もあります。

例文
Aさん:「この車のフォルムは気に入ったけど、色があまり好きじゃないな」
Bさん:「そうでしたか。では、こちらのデザインはいかがでしょうか?」

「応酬」の使い方

  1. 恋人とのメールの応酬が続いている。
  2. 今回のミーティングは、お互いに非難の応酬が激しかった。
  3. 彼らは、口論の末に殴り合いの応酬に至った。
すべての例文で、「やり取りをすること」という意味が共通しています。

 

①の例文は、「手紙などに返事をする」という意味で使われています。この場合の「応酬」は、「やり取りをする」という意味に加えて、「終わりがない」「やり取りが長期間続いている」というニュアンスを含んでいます。

②の例文は、「議論や言い合いをする」という意味で使われています。こうした表現は、「議論」が白熱している際に使用されます。そのため、議論が滞りなくスムーズに進行している場合は、「応酬」と表現しません。

③の例文は「相手の行為に対してやり返す」「暴力を振るう」という意味で使われています。「応酬」は「やり取りをすること」を表しているため、前後に続く言葉によって、「暴力」「言い争い」などを表す場合もあります。

また、「応酬」には以下のような言い回しがあります。

  • 応酬を繰り広げる
  • 言葉の応酬
  • 杯の応酬

「応酬を繰り広げる」の使い方

「応酬を繰り広げる」とは、やりとりを展開することです。「繰り広げる」の「場面などが次々に展開すること」から、このような意味になりました。

例文
国会では、国会議員が罵倒の応酬を繰り広げた

「言葉の応酬」の使い方

「言葉の応酬」とは「激しい議論など言葉のやりとりのこと」を表します。

例文
入社試験のケーススタディにおいて、参加者の間で激しい言葉の応酬が続いた。

「杯の応酬」の使い方

「杯の応酬」とは、お酒などをコップや杯に入れやりとりをすることを表します。

例文
入社した会社の激励会で、上司と杯の応酬をする。

「応酬」の語源

「応酬」は、以下の漢字の意味が組み合わさることで、「やり取りをする」という意味になりました。

  • :こたえる、当たる
  • :報いる、返礼する、こたえる
「応」は「こたえる」ことを意味する漢字です。もともと「應」という漢字であり、「䧹」の部分が「鷹」を表していました。鷹狩りに使う鷹を胸に抱くことから、「心を相手にぴったりと当たること」という意味を持ち、「こたえる」「当たる」という意味を表すようになりました。

 

「酬」は「報いること」を表す漢字です。「酬」の元の意味は、「主人が客に酌をして客が返杯すること」「酒を主人や客に行き渡らせること」を表し、その様子から「報いる」などの意味に転じました。

このように「応」「酬」の意味が組み合わさることによって、「応酬」は「やり取りをする」という意味を持つようになりました。

「応酬」の類義語

「応酬」には以下のような類義語があります。

  • 交換:互いにそれぞれの物を取り換えること
  • 受け答え:相手の言うことや、問いかけに応じて答えること
  • 返事:呼びかけ・挨拶などに答えること
  • 反駁(はんばく):他人の意見や批判に反対して論じ返すこと
  • 反論:相手の意見・批判などに対して反対意見を述べること
「交換」「受け答え」「返事」は、「やり取りをする」という意味が共通しています。

一方で、「反駁」「反論」は、「議論で言い合う」「相手の行為に対してやり返す」という意味合いを持っています。

「応酬」の英語訳

「応酬」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • reply
    (反応する、答える)
  • respond
    (反応する、答える)
  • debate
    (議論において発言をする)
  • retaliate
    (報復する)

 

「応酬」を英訳する場合には、それぞれ以下のように使い分けます。

日本語訳英語訳
「やり取りをする」「反応する」reply , respond
「言い合う」「やり返す」debate , retaliate

 

まとめ

以上、この記事では「応酬」について解説しました。

読み方応酬(おうしゅう)
意味やり取りをする
語源「応」「酬」の漢字の組み合わせから
類義語交換、反駁、反論など
英語訳reply(反応する、答える)、debate(議論において発言する)

「応酬」は日常会話でもよく使用する言葉です。意味や類義語をしっかり確認しておきましょう。