今回ご紹介する言葉は、熟語の「御中(おんちゅう)」です。
言葉の意味・使い方・注意点・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「御中」をざっくり言うと……
読み方 | 御中(おんちゅう) |
---|---|
意味 | 郵便物の宛名が個人でない時に、宛名につける敬称 |
類義語 | 様・殿・各位など |
英語訳 | Dear(親愛なる) |
「御中」の意味をスッキリ理解!
「御中」の意味を詳しく
「御中」は、郵便物の宛名が個人名でない時、その下に添える言葉です。ビジネスシーンでもよく使わます。
宛名が官庁・会社・部署・施設など、団体である場合に敬称として添えます。
そのほか、団体や部署はわかっているが、誰に当てたら良いのかわからない場合にも使えます。
それぞれ漢字の意味を見てみましょう。
- 御:敬語を作る接頭辞であり、敬意を表す言葉
- 中:ある範囲の内側
「御中」の使い方
「御中」は、郵便物の宛名に添える敬称と述べましたが、使う時のポイントがいくつかあるので、説明していきます。
使用例は次のようになります。
- ○○株式会社 営業部 御中
- ○○県立 ○○高等学校 御中
- ○○大学 事務局 学生支援係 御中
- 株式会社○○ 営業部 お得意様キャンペーン係 御中
- 縦書き、横書きに関わらず使える
- 会社名や部署名の後に半角程度の余白をあけてから使う
- ビジネスメールでも使える
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
ポイント①:縦書き、横書きに関わらず使える
「御中」は、宛先の縦書き、横書きに関係なく使うことができます。
縦書きの場合も、横書きの場合も、特に使い方で異なる点はありません。
ポイント②:会社名や部署名の後に半角程度の余白をあけてから使う
「御中」は宛名の後ろに軽く余白を空けてから書きます。
ピッタリつけて書かないように注意が必要です。
ポイント③:ビジネスメールでも使える
「御中」はビジネスメールの宛名にも使えます。
営業メールなど、新規の取引先への連絡で担当の名前がわからない時などに使います。
相手の名前がわかっている時には、「〇〇 様」としましょう。
「御中」の注意点
「御中」を使う際には、気をつけたい注意点が5つあります。
- 返信用封筒に「行」と書かれている場合は、「御中」に訂正する
- 「様」と「御中」は併用できない
- 「おんちゅう」「オンチュウ」とは書かない
- 個人宛の場合には使えない
- 担当者名がわかっている場合に使うと失礼にあたる
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
注意点①:返信用封筒に「行」と書かれている場合は、「御中」に訂正する
企業や団体が発行した返信用封筒や往復葉書には、「○○会社 行」というように、へりくだった「行」が使われている場合があります。
この「行」と書かれた宛名をそのまま送り返すのは失礼にあたります。宛名が個人名でない場合は「行」に二重線を引き、「御中」と書き換えましょう。
この時、修正液を使用するのはマナー違反です。
送り主に対して「あなたの書いた『行』は誤りなので訂正しました」という印象を与えかねません。非常に失礼な行為となるため、注意しましょう。
- 縦書きの場合:「行」の下、または向かって左横に「御中」と書き入れます。
- 横書きの場合:「行」の下または向かって右横に「御中」と書きます。
注意点②:「様」と「御中」は併用できない
下記のように、「様」と「御中」を一緒に使うことはできません。
「御中」は、宛名となる組織や団体の全体に対して宛てていることを表します。
そのため、特定の人物に宛てた郵便物には使えません。
また、担当者の名前がわからない時に「ご担当者様」と書く場合があります。
この場合も、「様」を使っているので「御中」は不要です。
ビジネス上やり取りや懸賞応募などでは、担当の「係」に宛てて郵便物を出すことがあります。
「係」は、組織や団体と考えることができるため、この場合は「係」と「御中」を併用します。
【正:○○株式会社 □□編集部 △△プレゼント係 御中】
ただし、その係の特定の人物に宛てる場合は「個人名+様」を使用します。
注意点③:「おんちゅう」「オンチュウ」とは書かない
「御中」は、相手に対しての敬意を表す言葉です。
そのため、ひらがなやカタカナで書くのは失礼にあたります。
必ず漢字で書きましょう。
注意点④:個人宛の場合には使えない
「様」との併用についての項目でも触れましたが、個人に宛ての場合には「御中」は使えません。
特定の人物に宛てた郵便物には、「様」を使いましょう。
注意点⑤:宛先の個人名がわかっている場合に使うと失礼にあたる
宛先となる担当者の個人名を把握している上で「御中」を使用するのは、大変な失礼にあたります。
担当者と面識があるにも関わらず、会社や部署宛に郵便物を送ってしまうと、「担当を覚えていません」または「担当が頼りないと感じています」などという印象を相手に与えかねません。
ビジネスシーンでは、相手との信頼づくりの上でマナーは非常に大切なポイントなります。正しい宛先の書き方を覚えておきましょう。
「御中」の類義語
御中には以下のような類義語があります。
- 様:手紙や葉書など、郵便物の宛名が個人名の時に宛名の後ろに添える敬称
- 殿:目上から目下への敬称
- 宛:返信用の宛先(個人宛)として使われる言葉
- 行:返信用の宛先(組織・団体宛)として使われる言葉
- 各位:特定の複数人にむけた内容に使う言葉
「様」の意味
「様」は、プライベート・ビジネスシーンのいずれにおいても最もよく使用される敬称です。
相手が目上か目下かを問わず使うことができます。
「殿」の意味
「殿」は目上の人が目下の人に使う敬称です。
目上の人に使うと失礼にあたってしまうため、注意しましょう。
「宛」「行」の意味
「宛」「行」は、送り主が返信用封筒や往復葉書を送る際に自分の宛名につける言葉です。
「御中」と「各位」の違い
「各位」は、ビジネス文書において「皆さま」という意味合いで使われます。
「御中」と「各位」は使う場面が異なり、それぞれ以下のように使われます。
- 御中:郵便物の宛先に使う言葉
- 各位:文書本文に使う言葉
「御中」の英語訳
御中を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Dear
(親愛なる)
英語圏では手紙や葉書で宛名に敬称をつける概念がないので、気持ちを表す言葉を使います。
まとめ
以上、この記事では「御中」について解説しました。
読み方 | 御中(おんちゅう) |
---|---|
意味 | 郵便物の宛名が個人でない時に、宛名につける敬称 |
類義語 | 様・殿・各位など |
英語訳 | Dear(親愛なる) |
「御中」は、よく目にする言葉ですが、使う時は少し不安になることもあるでしょう。
その際は、誰に向けた郵便物かを意識しましょう。団体に向けた郵便物の時に「御中」を使います。