今回ご紹介する言葉は、熟語の「横着(おうちゃく)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「横着」をざっくり言うと……
読み方 | 横着(おうちゃく) |
---|---|
意味 | 意図的に怠けて、楽をしようとすること |
語源 | 怠けることを言う仏教の言葉 |
類義語 | 怠慢、怠惰、無精など |
対義語 | 勤勉、積極 |
英語訳 | lazy(けだるい) |
「横着」の意味をスッキリ理解!
「横着」の意味を詳しく
「横着」とは、「やるべきことをわかった上で、やらずに済まそうとする怠けたさま」を表します。
自分のやるべきことを面倒がり、怠けて他人に押し付けるような人物は、「横着な人」と言えます。
自分の仕事を怠けてやらない様子は、「できるだけ楽をして済まそうとする行為やそのさま」ということを示します。転じて、「図々しいさま」や「ずるいこと」という意味に繋がります。
そのため、自分が楽をしてその場をやり切ろうとすることから、「図々しい」や「ずるい」という意味も「横着」には含まれます。
したがって、「横着」には「怠ける」と「ずるい」という意味もあります。
「横着」の使い方
- 嫌な仕事でも横着せずに、最後まで責任を持ってやり切るべきだ。
- 彼は横着者で、自分の部屋の掃除すらやらない。
- 休日はなにもやる気にならず、ついつい横着してしまう。
- いつまでも横着な態度をとっていると、そのうち周りの人に見放されてしまうだろう。
「横着」の使い方には、主に3つあります。
怠けている人のことを注意するとき
他人が怠けている様子を表すときに、「横着」を使います。
たとえば、誰かがやるべき仕事をやらないさまを見たとき、上記にある例文の①や④のような言い回しで使われます。
この場合の「横着」は、他人を注意する意味合いが込められます。そのため、親から子供、上司から部下など、目上の人物が目下の人物へと使うことが多いです。よって、目下の人物から目上の人物に「横着」を使うと、失礼に当たることがあります。
性格を批判するとき
日頃から怠けることの多い人や、面倒くさがりな人のことを言い表すときにも、「横着」を使うことができます。
たとえば、友達に怠け癖のある人物を紹介するとき、上記にある例文の②のような言い回しで使われます。
①や④の用途では、自分が他人に向かって使うことしかできません。ですが、②の用途は、自分が怠け者だと他人に言いたい時にも用いることができます。
自分の怠けた行動やそのさまを客観的に表すとき
「横着」は、自分の怠けた行為に対しても使うことができます。
使い方は、上記にある例文の③のようになります。このように、手抜きをして楽をしようとした自らの行為を告白する時に、「横着」が用いられることがあります。
以上のように、「横着」にはさまざまな使われ方があります。使う場面や用途によっても言い回しが変化するので、上記3つの使い方をきちんと理解しておくことが大切です。
「横着」の語源
「横着」はもともと仏教の言葉です。勤行や修行を真面目に行わず、怠ってやらないさまを述べるときに使われました。
「横」には、「枠をはみ出るさま」や「勝手で異常なさま」という意味があります。この意味で「横」が使われている言葉には「横領」や「横暴」などがあります。
つまり、「横着」には「道理に従わず、自分勝手で異常なさま」という意味が含まれます。
「着」には、「おさまる、きまりがつく」という意味があります。つまり、「落ち着く」という意味です。ただし、この場合は「静かに息を整える」というニュアンスではなく、「その状態におさまる」というニュアンスが正しいです。
「自分勝手で異常なさま」という意味の「横」と、「おさまる」という意味の「着」を合わせて、「横着」という言葉が成り立ちます。したがって、「横着」は、「自分勝手な状態に落ち着いてしまう」という意味になります。
「自分勝手な状態」とは、「やるべきことを怠けてやらない状態」についても言えることです。すべきことをしないような状態にはまってしまい、これは結果として怠けることに繋がります。
そのため、「横着」には「面倒くさがり怠ける」という意味が含まれます。
「横着」の類義語
横着には以下のような類義語があります。
- 怠慢(たいまん):しなければならない、当然のことをしないさま。おろそかにするさま
- 怠惰(たいだ):怠けてだらしないことや、そのさま
- 無精(ぶしょう):身体を動かすことすら面倒くさがること
- 不誠実(ふせいじつ):真面目でないさま
ちなみに「無精」には、「身だしなみを気にしないさま」という意味もあります。その例として、整えられていない髭のことを「無精髭(ひげ)」と言います。
「横着」の対義語
横着には以下のような対義語があります。
- 勤勉(きんべん):仕事や勉強などに、一生懸命励むさま
- 積極(せっきょく):物事に自らすすんで働きかけること。
「怠けること」の反対は、「すすんで働くこと」です。「怠ける」という意味を持つ「横着」の対義語は、上記のような、真面目に取り組むことを表す言葉が当てはまります。
「横着」の英語訳
横着を英語に訳すと、次のような表現になります。
- lazy
(けだるい) - neglect
(怠る) - cheeky
(図々しい) - brazen
(厚かましい) - impudent
(生意気な)
- lazy
すでに解説したように、「横着」には 2つの意味があります。しかし、両方の意味を兼ねそろえる英語訳はありません。
そのため、「横着」のどの意味を使うかによって、英語訳も使い分けなくてはなりません。
上記 5つの英語を 2つの意味に分けると、下記のようになります。
- lazy
- neglect
- cheeky
- brazen
- impudent
英語訳もより多く覚えて、英会話や英作文に役立てましょう。
まとめ
以上、この記事では「横着」について解説しました。
読み方 | 横着(おうちゃく) |
---|---|
意味 | 意図的に怠けて、楽をしようとすること |
語源 | 怠けることを言う仏教の言葉 |
類義語 | 怠慢、怠惰、無精など |
対義語 | 勤勉、積極 |
英語訳 | lazy(けだるい) |
「横着」にはさまざまな意味が含まれます。また、使い方によっては、相手の失礼に当たってしまうこともあります。
正しい知識がないと、使い方に困ってしまう言葉です。だからこそ、解説をよく読み、きちんと理解してから日常生活で用いましょう。
仕事も勉強も、時には面倒になってしまいます。しかし、そんな時こそ「横着」せずに、根気強くやるべきことと向き合うことが大切です。