今回ご紹介する言葉は、ことわざの「血も涙もない(ちもなみだもない)」です。
言葉の意味や使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「血も涙もない」をざっくり言うと……
読み方 | 血も涙もない(ちもなみだもない) |
---|---|
意味 | 人間らしい思いやりがなく、冷酷であること。 |
由来 | 冷酷なことができる無生物は、人間が感情を持つ動物だと特徴づける血や涙を持たないことから。 |
類義語 | 切っても血の出ぬ人、没義道、悪の権化など |
対義語 | 温厚篤実 |
英語訳 | cold and heartless (冷淡で心無い。) |
このページの目次
「血も涙もない」の意味をスッキリ理解!
「血も涙もない」の意味を詳しく
「血も涙もない」とは、人間らしい思いやりがなく、冷酷であることを意味します。人間らしい思いやりや優しさのことを「人情味(にんじょうみ)」とも言います。
「血も涙もない」は、人間そのもの、もしくは人間の行動に対して使われることわざです。
この世界に人間として生まれた皆さんには、思いやりの心や優しさの心があると思います。悲しいニュースを耳にすれば心が痛くなったり、困っている人を見たら助けたくなったりするのは、思いやりの心があるからです。
このことわざにおいて人間と対比されるのは、人間以外の動物ではなく無生物です。
無生物とは、その名前の通り、生物以外のものを指します。無生物は生命を持たず、感情もありません。最近では人工知能(AI)が進化し、近い将来、人工知能が感情を持つとも言われていますが、ここではそれについて深くは触れません。
無生物は感情を持たないので、思いやりや優しさの心は抱きません。その分、冷酷なことも平気でできてしまいます。人間は感情を持ち合わせていることで、思いやりの心や優しさの心を抱くのです。
しかし、残念ながら、この世には、思いやりや優しさを本当に持ち合わせているのかと疑いたくなるような人間、または行動も少なからず存在します。
たとえば、いじめはどうでしょうか。いじめは相手を傷つけ、苦しませて、時には死に追い込む行動です。このいじめそのもの、もしくはいじめる人からは、思いやりや優しさは一切感じることができません。
「血も涙もない」は、このような、冷酷で、思いやりや優しさが無い人間や、行動に対して使うことわざです。
「血も涙もない」の使い方
- 彼のクラスメイトに対するいじめは、血も涙もないほどのものだ。
- 歴史上、血も涙もない事件は数えきれないほどある。
- 駅で倒れた人を見て見ぬふりをする血も涙もない人は意外と多い。
- 社員を捨て駒(すてごま)のように扱い、過重労働(かじゅうろうどう)させる経営者は血も涙もないと言えよう。
➀は、いじめが「血も涙もない」ほどのものだという例文です。
➁では、歴史上には人間が起こしたとは思えない事件が数多くあるということで、「血も涙もない」と表現しています。
➂では、駅で倒れた人を見ても心配せずに見て見ぬふりをする人に対して、思いやりが無いということで「血も涙もない」と表現しています。
➃では、会社で社員を駒として扱うような経営者を批判し、「血も涙もない」と表現しています。
「血も涙もない」の由来
「血も涙もない」の語源は、人間と無生物の違いから来ています。
人間は、感情を持ち合わせ、それにより、思いやりや優しさの心を持ちます。一方、無生物は感情を持ち合わせないので、思いやりや優しさの心はありません。
そして、感情以外にも、人間は持っていて、無生物が持たないものがあります。それは「血」と「涙」です。
「血」は人間を循環し、生命を支える大事な役割を果たすものです。また、「涙」は人間が感動したり悲しんだりする際に流すもので、人間が感情を持ち合わせているのを特徴づけるものです。
人間らしい思いやりや優しさを持たない冷酷な人は、「血も涙も」持たない無生物と同じような存在だということで、このようなことわざが生まれました。
「血も涙もない」の類義語
「血も涙もない」には以下のような類義語があります。
- 切っても血の出ぬ人:人間らしい思いやりや優しさに欠けている人。
- 没義道(もぎどう):人の道に外れていてむごいこと。非道なこと。
- 悪の権化(あくのごんげ):人間の形をした悪魔のようなもの。
- 鬼畜(きちく):人間らしい心を持ち合わせていないかのような非道な行為や、それを行う人間。
- 人でなし:人間らしい心を持っていない人間への蔑称(べっしょう、軽蔑して呼ぶ名前)。
「血も涙もない」の対義語
「血も涙もない」には以下のような対義語があります。
- 温厚篤実(おんこうとくじつ):穏やかで情に深く、人情味に溢れること。
「血も涙もない」の英語訳
「血も涙もない」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- cold and heartless
(冷酷で心無い。) - cold-blooded
(冷淡な) - unfeeling
(感情の無い)
“cold-blooded” と “unfeeling” はどちらも形容詞として、「血も涙もない」と表現したい時に使います。
まとめ
以上、この記事では「血も涙もない」について解説しました。
読み方 | 血も涙もない(ちもなみだもない) |
---|---|
意味 | 人間らしい思いやりがなく、冷酷であること。 |
由来 | 冷酷なことができる無生物は、人間が感情を持つ動物だと特徴づける血や涙を持たないことから。 |
類義語 | 切っても血の出ぬ人、没義道、悪の権化など |
対義語 | 温厚篤実 |
英語訳 | cold and heartless (冷淡で心無い。) |
「血も涙もない」ということわざは、思いやりに欠け、冷酷な人や行動に対して使うことわざです。
生活をしている中で、「血も涙もない」ということわざを当てたい人や行動に出くわすことはあると思います。しかし、思いやりややさしさは、人間がずっと持ち合わせるべきものであるはずです。
「血も涙もない」という言葉を当てられないような行動を心掛けていきたいですね。