今回ご紹介する言葉は、ことわざの「なめくじに塩」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「なめくじに塩」をざっくり言うと……
読み方 | なめくじに塩(なめくじに塩) |
---|---|
意味 | 苦手な相手を前にして、委縮してしまうこと |
由来 | なめくじに塩をかけると、浸透圧により縮むことから |
類義語 | 青菜に塩、蛭に塩、青菜をお湯につけたようなど |
英語訳 | be crestfallen.(意気消沈している) |
このページの目次
「なめくじに塩」の意味をスッキリ理解!
「なめくじに塩」の意味を詳しく
「なめくじに塩」には、2つの意味があります。
1つは、苦手な相手を前にして、委縮してしまうことです。
もう1つは、元気がなくなり、気持ちが沈んでしまうことです。
どちらも、塩をかけたなめくじの様に、普段の動きができなくなってしまった人に対して使用します。
臆病な性格の人や、普段からテンションが低い人には使用しません。
「なめくじに塩」の使い方
- 「パワハラ上司」とあだ名がついている係長に、部下の女の子が呼び出された。まだ話してすらいないのに歩き方がぎこちない。まるでなめくじに塩だ。
- 僕は好きだった女の子にふられ、自分の机で3時間うなだれていた。周囲から見れば、僕はまさになめくじに塩の状態だっただろう。
➀の例文では、「苦手な相手を前にして、委縮してしまう」という意味で「なめくじに塩」を使用しています。
一方、➁の例文では、「元気がなくなり、気持ちが沈んでしまう」という意味で「なめくじに塩」を使用しています。
「なめくじに塩」の由来
なめくじに塩をかけると、物理的に小さくなります。また、大量に塩をかけて放置すると、やがて死んでしまいます。これが、「なめくじに塩」の由来です。
「なめくじに塩」は、人間が精神的に圧迫されて縮こまる様子や元気がない様子を、縮んだなめくじにたとえたことわざです。
なめくじに塩をかけると溶けるのか?
塩がかかったなめくじが小さくなることを、「溶ける」と表現することがあります。これは本当に正しいのでしょうか。
「なめくじに塩」現象には、「半透膜」と「浸透圧」という概念が深く関係します。
まず、水だけを通し、水に溶けた物質は通さない膜のことを、「半透膜」といいます。
また、「半透膜」を境にして、濃度の異なる液体が接するときに、濃度の薄い方から濃い方へ水が流出する現象のことを、浸透といいます。
また、水を流出させようとする力のことを、「浸透圧」といいます。浸透圧は、2つの液体の濃度が同じになると、なくなります。
なめくじの体表は、まさに半透膜に当たります。
そのため、なめくじの体表に塩を振りかけたときに浸透圧が発生し、体内の水分が塩へ流出します。これにより、なめくじの体内にあった水分の大部分がなくなり、体が縮みます。
そのため、なめくじが塩で「溶けた」という表現は適切ではありません。正確には「水が抜けた」と言い表すことができます。
そのため、少しの食塩をかけたなめくじに、水を与えると、再び元の大きさに戻ります。この現象は、なめくじに似た姿を持つカタツムリにも共通します。
また、砂糖でも同様になめくじの水を抜くことができます。しかし、塩に比べると浸透圧が弱いため、縮ませるためには、より大量に、長時間かけて振りかける必要があります。
「なめくじに塩」の類義語
「なめくじに塩」には以下のような類義語があります。
- 青菜に塩:人の元気がなくなり、しおれてしまう様子
- 蛭に塩:恐ろしいものに出会い、委縮すること
- 青菜をお湯につけたよう:人の元気がなくなり、しおれてしまう様子
「なめくじに塩」の英語訳
「なめくじに塩」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- be crestfallen.
(意気消沈している) - be utterly dejected
(ひどく落胆する) - be in a dejected state
(落胆した状態である)
まとめ
以上、この記事では「なめくじに塩」について解説しました。
読み方 | なめくじに塩(なめくじに塩) |
---|---|
意味 | 苦手な相手を前にして、委縮してしまうこと |
由来 | なめくじに塩をかけると、浸透圧により縮むことから |
類義語 | 青菜に塩、蛭に塩、青菜をお湯につけたようなど |
英語訳 | be crestfallen.(意気消沈している) |
人間の肌は「半透膜」ではありません。そのため、塩を振りかけても、身体が急劇に縮むことはありません。
しかし、「なめくじに塩」のことわざのように、精神的に委縮してしまうことはあります。
水を与えれば復活するなめくじのように、ストレスを受けても強い心を持ち続けられるといいですね。