無味乾燥とは「面白みや味わいがないこと」という意味です。
無味も乾燥も、「面白みがないこと」という意味をもちます。
無味乾燥な人と使いたくなるかもしれませんが、人に対しては使わないほうが良い言葉です。
注意点がある言葉ですので、気をつけて使いたいですよね。
この記事では、無味乾燥の意味や使い方を詳しく解説します。
☆「無味乾燥」をざっくり言うと……
読み方 | 無味乾燥(むみかんそう) |
---|---|
意味 | 面白みや味わいがないこと |
語源 | 老子の思想 |
類義語 | 乾燥無味 無味単調 興味索然 など |
対義語 | 興味津々 |
英語訳 | dry(乾いた) dull(つまらない) boring(退屈な) など |
「無味乾燥」の意味
面白みや味わいがないこと
無味乾燥は、「物事に何の面白みも味わいも趣(おもむき)もなく、つまらないこと」という意味です。
具体的には、以下のようなことです。
- 事実だけが述べられている文章
例:取扱説明書、教科書 - 感情が込められていない言葉
例:抑揚のない台詞
上記のように、「特に面白みもなく、心を動かされないこと」を表します。
ここからは、無味と乾燥に分けて意味を解説します。
「無味」の意味
- 味がないこと
- 面白みがないこと
無味は、「味がないこと」という意味が転じて、「面白みがないこと」という意味ももつようになりました。
無味乾燥では、②の「面白みがないこと」の意味で使われています。
「乾燥」の意味
- 水分や湿気がなくなること
- 面白みや味わいがないこと
乾燥は、「水分や湿気がなくなること」という意味が転じて、「面白みや味わいがないこと」という意味ももつようになりました。
無味乾燥では、②の「面白みや味わいがないこと」の意味で使われています。
つまり、無味乾燥は、「面白みがないこと」という意味の無味と乾燥を組み合わせることで、意味を強調しているのです。
「無味乾燥」の使い方
無味乾燥は、一般的には物事に対して使います。
例文を見てみましょう。
- 毎日同じことの繰り返しで、無味乾燥な日々を送っている。
- 無味乾燥な人生が、君に出会って輝き始めた。
- 最優秀賞を受賞した作品を見ても、無味乾燥な感想しか抱かなかった。
- 志望動機が無味乾燥だと、面接官の心に響かない。
- 数学の授業は、無味乾燥な数字の羅列を見ているだけで眠くなってしまう。
- 国語の授業で無味乾燥な文章を読んでいると、関係ないことを考えてしまう。
- 東京の空気は彼女には常に無味乾燥でざらざらしていた。
[出典:高村光太郎『智恵子の半生』]
無味乾燥は、基本的には物事に対して使います。
人に対して「あなたは無味乾燥な性格だね」などと使うと、「あなたは面白くない人だね」という意味になってしまいます。
失礼にあたりますので、注意しましょう。
「無味乾燥」の語源
無味乾燥の語源は、中国春秋戦国時代の思想家である老子(ろうし)の思想だとされています。
老子は、同じ時代を生きた思想家・孔子(こうし)の思想である儒教を、激しく非難していました。
老子と孔子の思想は、以下のようなものです。
思想 | |
---|---|
老子 | 世界の全てのものは人に対して興味を持っていない。 だから、徳の高い人物であっても、他人や国には関心がない。 |
孔子 | 学問をして徳を重ねることで、他人や国を救うための政治を行う |
老子は「徳の高い人物でも他人や国には関心がない」という考えのため、孔子の「学問をして徳を重ねること」は不要だと非難しました。
つまり、老子の思想には、興味や関心が全く含まれていないことから、「無味乾燥」というようになったのです。
そこから、無味乾燥は「面白みや味わいがないこと」という意味になったとされています。
「無味乾燥」の類義語
無味乾燥には以下のような類義語があります。
- 乾燥無味(かんそうむみ)
面白みや味わいがないこと - 無味単調(むみたんちょう)
面白みがなく、変化もなくて単純であること - 興味索然(きょうみさくぜん)
①興味がなくなり、面白くなくなること
②面白みがないこと - 無味無臭(むみむしゅう)
①味も匂いもしないこと
②面白みがないこと - 味も素っ気(そっけ)もない
潤いや面白みが全くないこと - 味気(あじけ)ない
魅力や面白みがないこと - 素気(そっけ)ない
思いやりがなく冷たいこと
「味気ない」の意味:魅力や面白みがないこと
「味気ない」は、「魅力や面白みがないこと」という意味です。
以下のように、発音と意味が変化して成り立ちました。
時代 | 意味 | |
---|---|---|
あづきなし | 平安以前 | ①苦々しい ②不条理である |
あぢきなし | 平安時代 | ①思うようにならない ②つまらない ③苦々しい ④世が無常だ |
あじきない | 不明 | ①魅力や面白みがないこと ②乱暴である ③努力する甲斐がない ④耐え難い |
あじけない | 明治以降 | 魅力や面白みがないこと |
「素っ気ない」の意味:思いやりがなく冷たいこと
「素っ気ない」は、「思いやりがなく冷たいこと」という意味です。
「素っ気ない」は、「素気無い」の読み方が変化してできた語です。
愛想や思いやりがない
「無味乾燥」の対義語
無味乾燥には以下のような対義語があります。
- 興味津々(きょうみしんしん)
興味が後から後から湧いてくること
興味津々を以下のように表記するのは誤りですので、注意しましょう。
- 興味 “深” 々
- 興味 “森” 々
「無味乾燥」の英語訳
無味乾燥を英語に訳すと、次のような表現になります。
- dry
(乾いた) - dull
(つまらない) - boring
(退屈な) - uninteresting
(面白くない) - dry-as-dust
(ホコリのように乾いている) - juiceless
(汁気のない)
「無味乾燥」のまとめ
以上、この記事では無味乾燥について解説しました。
読み方 | 無味乾燥(むみかんそう) |
---|---|
意味 | 面白みや味わいがないこと |
語源 | 老子の思想 |
類義語 | 乾燥無味 無味単調 興味索然 など |
対義語 | 興味津々 |
英語訳 | dry(乾いた) dull(つまらない) boring(退屈な) など |
無味乾燥は、「面白みがない」というネガティブな意味の言葉ですので、使う時には気をつけましょう。
生活に潤いを取り入れ、面白い日々を過ごせると良いですね。