「猛威を振るう」とは「すさまじい威力が、強い勢いで広がる」という意味です。
最近、様々なニュースで「新型コロナウイルスが猛威を振るう」という見出しが登場しています。
「猛威を振るう」の正確な意味を理解していない状態で、なんとなく記事を読んでしまっていませんか?
この記事では、「猛威を振るう」の意味や使い方、類義語、英語訳などについて詳しく解説します。
☆「猛威を振るう」をざっくり言うと……
読み方 | 猛威(もうい)を振るう(ふるう) |
---|---|
意味 | すさまじい威力が、強い勢いで広がる |
類義語 | 暴威を振るう 猖獗を極める など |
対義語 | 沈静化する 勢いがなくなる |
英語訳 | go on a rampage (暴れ回る) have an overwhelming influence (強い影響力をもつ) など |
このページの目次
「猛威を振るう」の意味
すさまじい威力が、強い勢いで広がる
「猛威を振るう」には、「すさまじい威力が、強い勢いで広がる」という意味があります。
ほとんどの場合において、ネガティブな意味合いで使われます。
病気や流行した際や、大きな自然災害が起きた際に使われることが多いです。
「猛威を奮う」と表記するのは誤りです。
正しい表記は「猛威を振るう」ですから、間違えないようにしましょう。
「猛威を振るう」の成り立ち
「猛威を振るう」は、以下の二語から成り立っています。
- 猛威
すさまじい威力 - 振るう
勢いが強くなる
「猛威」と「振るう」の意味を組み合わせると、「すさまじい威力が強くなる」となります。
そのため、「猛威を振るう」は、「すさまじい威力が、強い勢いで広がる」という意味をもっているのです。
「猛威を振るう」の使い方
「猛威を振るう」は、以下のような場面で使うことがほとんどです。
- 病気が流行している場面
- 自然災害の影響が広がる場面
「猛威を振るう」を用いた例文を見てみましょう。
- 新型コロナウイルスが猛威を振るっているから、手洗いを徹底しよう。
- 当時、その町では、インフルエンザが猛威を振るっていた。
- 火災が猛威を振るう。
- 台風が猛威を振るう映像を見て、恐ろしい気持ちになった。
ポジティブな出来事が流行した際に「猛威を振るう」は使いませんから、慣例として覚えておきましょう。
「猛威を振るう」の類義語
「猛威を振るう」の類義語は、3つのパターンに分けることができます。
- 「猛威を振るう」と同じ意味のもの
- 「激しくなる」という意味のもの
- 「広がる」という意味のもの
以下、それぞれのパターンに分けて、類義語を紹介します。
類義語①「猛威を振るう」と同じ意味のもの
下記の類義語は、「猛威を振るう」と同じく、「すさまじい威力が、強い勢いで広がる」という意味をもちます。
- 暴威(ぼうい)を振るう
- 猖獗(しょうけつ)を極める
どちらも、ネガティブな意味で使うことができますから、「猛威を振るう」の言い換え表現として使うことができます。
類義語②「激しくなる」という意味のもの
下記の類義語は、「激しくなる」という意味を表します。
- 威力(いりょく)を振るう
すさまじい威力が広まる - 獰猛(どうもう)になる
たちが悪くなり、荒々しくなる - 大暴れ(おおあばれ)する
激しく暴れる - 暴れ回る(あばれまわる)
激しく暴れる - 激烈(げきれつ)になる
非常に激しくなる - 凶暴(きょうぼう)になる
荒々しくなる - 強(つよ)まる
勢いなどの程度が激しくなる
これらの言葉は、「勢いが広い範囲に伝わる」という意味までは含みません。
類義語③「広がる」という意味のもの
下記の類義語は、「広がる」という意味を表します。
- 大流行(だいりゅうこう)する
病気などが、非常に速い勢いで広まる - 蔓延(まんえん)する
悪いものが世間に広まる - 横行(おうこう)する
悪いことがしきりに行われる - 流布(るふ)する
世間に広がる - 広がる
- 拡大(かくだい)する
これらの言葉は、「勢いが強くなり、激しさが増す」という意味までは含みません。
「猛威を振るう」の対義語
「猛威を振るう」には以下のような対義語があります。
- 沈静化(ちんせいか)する
落ち着き、静かになること - 勢いがなくなる
「猛威を振るう」の英語訳
「猛威を振るう」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- go on a rampage
(暴れ回る) - have an overwhelming influence
(強い影響力をもつ) - spread like wildfire
(急速に広まる) - fury
(すさまじい威力・勢い) - violence
(すさまじい威力・勢い、暴力) - ferocity
(荒々しく乱暴な様子)
補足:「猛威」をさらに詳しく
「猛威を振るう」の「猛威」について、さらに深く掘り下げてみましょう。
「猛威」を用いた表現
「猛威を振るう」以外に、「猛威」を用いた表現には以下のようなものがあります。
- 猛威にさらされる
すさまじい威力が、非常に速い勢いで広まる様子 - 猛威を感じる
すさまじい威力が、非常に速い勢いで広まることを感じる
ちなみに、「猛」の「猛」を用いた単語には、以下のようなものがあります。
- 猛然(もうぜん)
攻撃や対立の勢いが強いこと - 猛烈(もうれつ)
激しい勢いであること - 猛省(もうせい)
深く反省すること - 猛獣(もうじゅう)
大型で危険な動物
「猛威」の類義語
「猛威」には、以下のような類義語があります。
- 激烈(げきれつ)
非常に激しいこと - 獰猛(どうもう)
たちが悪く、乱暴であること - 荒々しい(あらあらしい)
乱暴である様子
「猛威」と「脅威」の違い
「猛威」と「脅威」は、似ているように見えても意味が異なるため、注意が必要です。
両者の違いは以下の通りです。
- 猛威
すさまじい威力そのものや、威力の強さを表す - 脅威
すさまじい威力によって生まれるリスクを表す
つまり、「猛威」が威力の強さそのものを指すのに対して、「脅威」は、威力の強さよって生まれる危険性を指すのです。
ちなみに、「脅威」は以下のように使うことができます。
- 温暖化は、地球上の全ての動物にとって脅威である。
- 洪水で水浸しになった床を見て、「自然の脅威を甘く見てはいけないのだ」と思った。
補足:「振るう」をさらに詳しく
「猛威を振るう」の「振るう」について、さらに深く掘り下げてみましょう。
「振るう」を用いた表現
「猛威を振るう」のほかにも、「振るう」を用いた言葉には以下のようなものがあります。
- 刀を振るう
思う存分に力を働かせる - 腕を振るう
自分の能力を存分に見せる - 暴力を振るう
相手に暴力をする - 成績が振るわない
成績が良くならない
「振るう」と「奮う」の違い
「振るう」と「奮う」は、どちらも「ふるう」と読みます。
混同しやすい二語ですが、意味は全く異なります。
- 振るう
勢いよく振り動かす
または、勢いが強くなる - 奮う
やる気がみなぎる
「振るう」は、単に勢いが強くなることを指すため、ポジティブな意味でもネガティブな意味でも使われます。
一方で「奮う」は、「やる気が体中にみなぎる」というポジティブな意味のみを表すのです。
ちなみに、「奮う」を用いた表現には、以下のようなものがあります。
- 気力を奮う
元気を出す - 勇気を奮う
勇気を出す - 奮い立つ
勇気を出す - 奮ってご参加ください
積極的に参加してください
「猛威を振るう」のまとめ
以上、この記事では「猛威を振るう」について解説しました。
読み方 | 猛威(もうい)を振るう(ふるう) |
---|---|
意味 | すさまじい威力が、強い勢いで広がる |
類義語 | 暴威を振るう 猖獗を極める など |
対義語 | 沈静化する 勢いがなくなる |
英語訳 | go on a rampage (暴れ回る) have an overwhelming influence (強い影響力をもつ) など |
「猛威を振るう」は、ネガティブな文脈で用います。
日常のなかで、「猛威を振るう」という言葉を使う機会が減るといいですね。
「猛威を振るう」を使うときには、漢字の表記に気をつけながら、正しく使いこなしましょう。