「公序良俗」の意味とは?読み方は?使い方から英語や類語まで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「公序良俗」です。

言葉の意味・「公序良俗違反」の意味・「公序良俗違反」の例・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「公序良俗」をざっくり言うと……

読み方公序良俗(こうじょりょうぞく)
意味社会的に妥当だと思われる道徳観
「公序良俗違反」の意味社会的な道徳観念に反している法律行為
「公序良俗違反」の例妻との離婚を前提とする婚姻予約
愛人関係の継続を意図する金銭給付契約
ばくち場開設を知っての借家契約
類義語モラル
英語訳Public order and morals(公序良俗)

「公序良俗」の意味をスッキリ理解!

公序良俗(こうじょりょうぞく):社会的に妥当だと思われる道徳観

「公序良俗」の意味を詳しく

「公序良俗」の意味は、社会的に妥当だと思われる道徳観のことです。

「公序良俗」は、「公の秩序と善良の風俗」の略です。

  • 公の秩序:国家あるいは社会における秩序
  • 善良の風俗:社会における一般的な道徳観念

「秩序」とは、「物事の正しい順序・筋道、社会などが整った状態にあるための条理」のことです。

国としての秩序や、個人の道徳観念の両方を含みます。

「公序良俗違反」の意味

基本的に日本では、個人の行動は自由です。行動が制度的に制限されるのは、主に法律によってですが、法律さえ守っていればすべての行動が許されるわけではありません。

法律行為であっても、社会的な道徳観念に反している行為は認められず、その法律行為は無効となります。これを「公序良俗違反」や「公序良俗に反する行為」と言います。

この言葉は主に「契約」について使われます。「同意のうえでの契約でも、その契約内容が倫理的に間違っていたり、社会的な道徳観念に当てはまらなかったりする場合は、その契約行為が無効になる」ということです。

「公序良俗違反」の例

具体的には、以下のような法律行為は、「公序良俗違反」とされ、無効になります。

  1. 妻との離婚を前提とする婚姻予約
  2. 愛人関係の継続を意図する金銭給付契約
  3. ばくち場開設を知っての借家契約

➊は、妻のいる夫が不倫を行い、不倫相手と婚姻の事前予約を行う行為です。そのためには、男は妻と離婚をしなければならないため、この婚約は離婚を前提としたものになります。

この前提が「公序良俗違反」であるため、このような婚約は無効になります。不倫相手の側が「男が婚約をしたのになかなか離婚をしてくれない」と言っても、その婚約自体が無効になるので意味がありません。

また、給料のような形で定期的に金銭を支払う代わりに、愛人としての性的な関係などを求める契約も無効になります。

さらには、ばくち場として使うことを承知したうえで、家や建物を貸す賃貸契約も無効になります。「ばくち場に使う」という事実を知らなかった場合には無効になりません。

「公序良俗」の使い方

  1. 公序良俗の面から言っても許されない行為だと思う。
  2. あなたの行動は、公序良俗違反に当たる行為です。

どちらも、「明確な法律的違反ではないが、倫理的には許されない行為である」ということを表しています。

「公序良俗」の由来

以前の民法90条には「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」という文章がありました。

この文章は、民法の一部を改正する法律によって、「事項を目的とする」という部分が削られました。現在では「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。」となっています。

「公序良俗」の類義語

「公序良俗」には以下のような類義語があります。

「公序良俗」の英語訳

「公序良俗」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Public order and morals
    (公序良俗)

まとめ

以上、この記事では「公序良俗」について解説しました。

読み方公序良俗(こうじょりょうぞく)
意味社会的に妥当だと思われる道徳観
「公序良俗違反」の意味社会的な道徳観念に反している法律行為
「公序良俗違反」の例妻との離婚を前提とする婚姻予約
愛人関係の継続を意図する金銭給付契約
ばくち場開設を知っての借家契約
類義語モラル
英語訳Public order and morals(公序良俗)

難しい言葉ですが、現代では非常に重要なので、しっかりと覚えておきましょう。