今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「ロット」です。
「ロット」の意味、メリット、注意点、使い方、使われる言葉、語源、類義語、似ているようで違う言葉について分かりやすく解説します。
このページの目次
「ロット」とは?
「ロット」の意味を詳しく
「ロット」とは、量産する製品の生産・出荷の最小単位です。
同じ種類の製品をたくさん作って売る会社では製品を「1個、2個……」と数えるのではなく、「1ロット、2ロット……」と数えます。
1ロットが何個かは場所によって異なります。
そして、ロットは使われる分野によって微妙に意味が異なります。以下の3つの分野の「ロット」の意味をそれぞれ見ていきましょう。
物流・製造業で使われる「ロット」
物流・製造業では「ロット」は量産する製品の生産・出荷の最小単位です。
建築で使われる「ロット」
建築では「ロット」は作業をいくつかにわけて行う時の分割した部分のことです。
たとえば、一軒家を建てる時には以下のような部分がロットにあたります。
- 基礎
- 外装
- 内装
金融で使われる「ロット」
金融では、「ロット」は取引する通貨や有価証券の単位量という意味です。1ロットがどのくらいの通貨量かについて明確な決まりはありません。
ただ、だいたいの決まりはあります。株の場合は1ロットが100株で、これを下回る数量では取引できないことが多いです。
「ロット」のメリット
「ロット」を使うと以下のようなメリットがあります。
それぞれ見ていきましょう。
メリット①:工程を管理しやすい
ロットには工程を管理しやすいというメリットがあります。ロットに番号をつけることで、どのロットがどこで出荷されてどこに陳列されたのかまで調べることができます。
ロットごとにどのくらい売れたかなどを調べることで出荷量を調整できます。また、どのロットが今どこにあるのかわかるようになるので、工程を管理しやすくなるのです。
メリット②:不良品を特定しやすい
ロットには不良品を特定しやすいというメリットもあります。
商品を購入した人からクレームが来た場合、その商品のロット番号がわかれば、その商品と同じ時期、もしくは同じ方法で製造された製品が特定できます。
そのため、異物が混入したときなどに商品の回収がしやすくなりますし、クレームの原因の特定や生産方法の改善なども行いやすくなります。
「ロット」の注意点
「ロット」を使う時には以下のようなことに注意する必要があります。
それぞれ見ていきましょう。
注意点①:注文数量を間違えやすい
ロットを使うときには、注文数量を間違えやすいという注意点に気をつける必要があります。
ロットは商品の個数と同じではありません。たとえば、1ロットが10個であれば、10ロットは10個ではなく100個です。
そのため、ロット数と個数を取り違えて注文してしまうと大変なことになります。たとえば、1ロットが10個の場合、100個を間違えて100ロットと注文してしまうと、100個ではなく1,000個が届いてしまうのです。
注意点②:場所によって単位が違う
ロットをつかう時には場所によって単位が違うことにも注意が必要です。
たとえば、製品を製造する工場では1ロットを10個で管理していたのに、店舗では1ロットを20個で管理している場合があります。
これが分かってないまま店舗の人と工場の人がやり取りをしてしまうと個数の取り違えが発生してしまうのです。
「10ロットを発注したい」と店舗の人が言った時に、本当は200個注文したいのに、届くのは100個だけになってしまう場合もあるのです。
「ロット」の使い方
- ロットで管理していたので、不良品をすぐに回収できた。
- 株を1ロット購入することにした。
- 今どきロットで管理してないなんて時代遅れだよ。
「ロット」が使われる言葉
「ロット」が使われる言葉には以下のようなものがあります。
それぞれ見ていきましょう。
ロット数:ロットの数のこと
ロット数とは、ロットの数のことです。たとえば、10ロットの時には「ロット数は10」と言いかえられます。
発注ロット:発注量のこと
発注ロットとは、発注量のことです。
たとえば、10ロット発注する時には、「発注ロットは10です」と言います。
製造ロット:製造量のこと
製造ロットとは、製造する時のロット数のことです。
たとえば、1日に10ロット製造する時には「1日の製造ロットは10です」と言います。
製造ロットを設定することで余計に製造して在庫が多くなりすぎるのを防げます。
購入ロット:購入量のこと
購入ロットとは購入量のことです。
たとえば、部品を10ロット購入てほしい時には、「購入ロットは10にしといてくれ」と言います。
最小ロット:もっとも少ない製造量
最小ロットとは、もっとも少ない製造量のことです。通常は製造する側が決定します。
「最小ロットは10ロットだ」と言った場合には、「最低10ロットは製造する」という意味になります。
ロット管理:ロットごとに製品を管理すること
ロット管理とは、ロットごとに製品を管理することです。
ロット管理を行うことで不良品を特定しやすくなったり、製造や発注などの改善を行いやすくなったりします。
ロット番号:ロットごとにつけられている番号のこと
ロット番号とは、ロットごとにつけられている番号のことです。
ロットに番号をつけて管理することで、そのロットの製品がどの工場のどの生産ラインで生産されたのか管理しやすくなります。
ロット不良:まとめて不良品として扱われるロットのこと
ロット不良とはまとめて不良品として扱われるロットのことです。
あるロットの中に不良品が生じたとします。すると、そのロットはすべて同じ方法で製造されているため、ロットに属するすべての製品が不良品として扱われてしまいます。
この不良品として扱われるロットのことをロット不良と呼びます。
ロット生産:ロット単位で生産すること
ロット生産とはロット単位で生産を行うことです。
カタログロット:製品のサンプルになるロットのこと
カタログロットとは製品を大量に生産する前にサンプルとして作られるロットのことです。
新しい製品を作る時には、まず製造が正しく行われ、想定通りの製品になるか確かめるために多くの工程で確認が行われます。
この確認のために製造されるのがカタログロットです。カタログロットはサンプル品として提供されたり、マスメディアでの宣伝に使われたりします。
ロットアウト:不良品の可能性があるロットをすべて取り除くこと
ロットアウトとは不良品の可能性があるロットをすべて取り除くことです。
ロット生産している場合、すべての製品を検査しているわけではなく、ロットごとに一定数を抜き取って検査しています。
その結果、一定以上の数が不良品になった場合、「ロットのすべての製品が不良品である」と判断してロットをすべて取り除きます。
このことを「ロットアウト」と呼ぶのです。
ロットアップ:その製品の製造が終わっている状態のこと
ロットアップとは、その製品の製造が終わっている状態を指します。
ロットアップになっていると、店頭に並んでいるものがなくなると、新品を手に入れるのは困難になります。
ちなみに、ロットアップの「アップ」は「終了」という意味です。
「ロット」の語源
ロットの語源は英語の lot です。
英語の lot が日本でカタカナ語の「ロット」になりました。ちなみに、英語の lot の意味は以下のとおりです。
- くじ
- 抽選
- 分け前
- 運
- 運命
- 地区
- 敷地
カタカナ語の「ロット」とは意味が異なるので注意が必要です。
「ロット」の類義語
ロットには以下のような類義語があります。
- バッチ(batch):食品の加工・調理で1回分のこと
- ダース(dozen):12個をひとまとまりにした単位のこと
- ピース(piece):全体の一部分のこと
- グループ(group):集団のこと
- ユニット(unit):単位や集団のこと
- シリアルナンバー(serial number):製品ひとつひとつを識別するための番号
「ロット」と似ているようで違う言葉
「ロット」と似ているようで違う言葉には以下のふたつがあります。
- 「ロッド(rod)」:棒・釣りざおのこと
- 「ロト(loto)」:くじのこと
「ロット」とは意味がまったく異なるので注意が必要です。
まとめ
以上、この記事では「ロット」について解説しました。
英語表記 | ロット(lot) |
---|---|
意味 | 量産する製品の生産・出荷の最小単位 |
メリット | ・コストを削減するため ・工程を管理しやすくなる ・不良品を特定しやすい |
注意点 | ・注文数量を間違えやすい ・場所によって単位が違う |
語源 | 英語のlot |
類義語 | バッチ ダース ピース グループ ユニット シリアルナンバー |
ロットは工場などでは必ず使われる言葉です。意味を抑えておきましょう。