「虚々実々」の意味とは?使い方から類語や英語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「虚々実々(きょきょじつじつ)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「虚々実々」をざっくり言うと……

読み方虚々実々(きょきょじつじつ)
意味お互いに戦略を尽くし、全力で戦うこと。嘘と真をちりばめて、お互いの腹の内を探りあうこと。
類義語権謀術数(けんぼうじゅっすう)、手練手管(てれんてくだ)、権謀術策(けんぼうじゅっさく)、譎詐百端(けっさひゃくたん)、反間苦肉(はんかんくにく)、詐謀偽計(さぼうぎけい)、偽詐術策(ぎさじゅっさく)、反間之計(はんかんのけい)、謨猷籌画(ぼゆうちゅうかく)など
英語訳full of wiles and tricks(たくさんの策略や罠), diamond cut diamond(しのぎを削る頭脳戦), match between equally shrewd people(やり手同士の戦い)

「虚々実々」の意味をスッキリ理解!

虚々実々(きょきょじつじつ):お互いに戦略を尽くし、全力で戦うこと。嘘と真をちりばめて、お互いの腹の内を探りあうこと。

「虚々実々」の意味を詳しく

「虚々実々」は、「虚」と「実」という2つの漢字から成り立っている四字熟語です。

「虚」は、くぼんで中が空いていて、中身がうつろな様子を表す漢字です。「実」は、反対に中身がいっぱいにつまって欠けたところがないことを意味する漢字です。

 

「虚実」は、戦において、「相手の弱い部分」と「相手の強い部分」を表しました。陣地が兵士で詰まっているところは戦において「強い」部分で、反対に兵士が少なく空いている陣地は戦において「弱い」部分です。

強い部分である「実」を避けて、弱い部分である「虚」を攻めるという戦略の王道が、「虚実」という言葉には込められています。さらに、「虚」と「実」をそれぞれ2回重ねて意味を強調したものが「虚々実々」になります。

したがって、「虚々実々」はお互いに戦略を尽くし、全力で戦うことを意味する四字熟語です。

 

また、「実」は「まこと」と読むことができ、「誠」や「真」と同じように「本当」「嘘偽りでないこと」を表す漢字です。反対に、「虚」は「嘘」や「偽り」を表す漢字です。このことから「虚実」は「嘘と真」という意味を表します。

したがって、「虚々実々」は嘘と真をちりばめて、お互いの腹の内を探りあうことも意味するようになりました。

「虚々実々」の使い方

  1. 秦軍と趙軍は虚々実々の戦いを繰り広げ続けてきた。
  2. 策略家とは、得てして虚々実々とした戦い方を好むものである。
  3. スポーツにおいても、戦略というのは非常に重要で、虚々実々とした試合がよく見受けられる。
  4. あの社長の辞任の原因となったスキャンダルは、虚々実々としたもので、真実かどうか怪しい。
  5. 冷蔵庫にあった最後の1個のプリンを食べたのは誰かという、虚々実々とした議論が繰り広げられている。

①~③では、「虚々実々」が「お互いに戦略を尽くし、全力で戦うこと」という意味で用いられています。④と⑤では、「虚々実々」が「嘘と真をちりばめて、お互いの腹の内を探りあうこと」という意味で用いられています。

「虚々実々」の類義語

虚々実々には以下のような類義語があります。

  • 権謀術数(けんぼうじゅっすう):他人を騙しておとしめるための策略のこと。
  • 手練手管(てれんてくだ):人を騙すための技術や方法のこと。
  • 権謀術策(けんぼうじゅっさく):他人を騙すための策略のこと。
  • 譎詐百端(けっさひゃくたん):嘘や裏切りの数が非常に多いこと。
  • 反間苦肉(はんかんくにく):敵同士を戦わせたり、自身の身を犠牲に敵をあざむいたりするような策略のこと。
  • 詐謀偽計(さぼうぎけい):相手を騙して罠にはめるための策略のこと。
  • 偽詐術策(ぎさじゅっさく):相手をおとしめて、勝つための策略のこと。
  • 反間之計(はんかんのけい):偽の情報を流して相手を混乱させたり、間者を利用して敵の情報を得たりする策略のこと。
  • 謨猷籌画(ぼゆうちゅうかく):勝つための計略のこと。

「虚々実々」の英語訳

虚々実々を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • full of wiles and tricks
    (たくさんの策略や罠)
  • diamond cut diamond
    (しのぎを削る頭脳戦)
  • match between equally shrewd people
    (やり手同士の戦い)

まとめ

以上、この記事では「虚々実々」について解説しました。

読み方虚々実々(きょきょじつじつ)
意味お互いに戦略を尽くし、全力で戦うこと。嘘と真をちりばめて、お互いの腹の内を探りあうこと。
類義語権謀術数(けんぼうじゅっすう)、手練手管(てれんてくだ)、権謀術策(けんぼうじゅっさく)、譎詐百端(けっさひゃくたん)、反間苦肉(はんかんくにく)、詐謀偽計(さぼうぎけい)、偽詐術策(ぎさじゅっさく)、反間之計(はんかんのけい)、謨猷籌画(ぼゆうちゅうかく)など
英語訳full of wiles and tricks(たくさんの策略や罠), diamond cut diamond(しのぎを削る頭脳戦), match between equally shrewd people(やり手同士の戦い)

「虚々実々」には、「お互いに戦略を尽くし、全力で戦うこと」と「嘘と真をちりばめて、お互いの腹の内を探りあうこと」という2つの意味があります。

戦略というものの基本は「相手と同じことを相手より上手にやる」方法か、「相手と全く違うことをして、裏をかく」方法のどちらかです。

どちらにせよ、戦略をたてるには相手の腹の内を知る必要があります。このように考えると「虚々実々」が2つの意味を持つ理由がわかります。