今回ご紹介する言葉は、熟語の「梗概(こうがい)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳・「あらすじ」との違いについてわかりやすく解説します。
☆「梗概」をざっくり言うと……
読み方 | 梗概(こうがい) |
---|---|
意味 | 小説や論文の概要のこと |
語源 | 「梗」(骨組み) + 「概」(おおむね) |
類義語 | あらまし、梗概集、大略など |
英語訳 | outline(概要) |
このページの目次
「梗概(こうがい)」の意味をスッキリ理解!
出版関係者や研究者の方には馴染み深い言葉ですが、日常生活ではあまり使いませんね。
「梗概(こうがい)」の意味を詳しく
「梗概」とは、小説や論文の概要を簡潔かつ明瞭にまとめたものです。
小説や論文は人が読むものですが、出版社の方などはそのすべてに目を通す暇はありません。そのため、内容が簡潔に書かれた梗概が必要になるのです。
また、梗概は媒体により書き方が異なるものです。その違いについて見ていきましょう。
- 論文の梗概:論文の序論から結論までの内容を凝縮したもの
- 小説の梗概:物語の起承転結を事実の描写だけでまとめたもの
一般的な学術論文は序論、本論、結論という構成をしています。論文の梗概は、序論から結論までの内容を凝縮しているので、論文全体に目を通さずとも、大まかな論旨を理解できます。
小説の梗概は、比喩や情景描写などは省いて、物語の起承転結を事実の描写だけでまとめられています。出版社の方は小説の梗概を読むことで、作品をすばやく理解できるのです。
「梗概(こうがい)」の使い方
- 論文の梗概を書く
- 戯曲の梗概を話す
- 発表内容の梗概を示す
①の例文は、論文の梗概について書かれたものです。卒業論文など長めの論文には、理解を助けるため梗概が必須です。
②の例文は、戯曲の梗概について書かれたものです。ストーリーの複雑な戯曲は、あらかじめ内容を頭に入れてから鑑賞することが多々あります。
③の例文は、人前で何かを発表する際の使い方です。全体の内容を頭に入れてから発表を聞くと、理解のしやすさが格段に上がりますね。
「梗概(こうがい)」の語源
「梗概」の語源を理解するためには、熟語の構成を分解する必要があります。「梗」と「概」の意味を解説します。
- 梗:ぴんと張ったかたい枝。心棒。骨組み
- 概:大体のところ。おおむね
以上のことから、「梗概」とは、骨組みとなる重要で、全体を網羅した情報を指しているのだとわかります。
「梗概(こうがい)」の類義語
「梗概(こうがい)」には以下のような類義語があります。
- あらまし:大体のこと
- 梗概集:学会などで発表された研究内容の要約一覧
- 大略:大部分
- 概要:物事の大すじ
- 要旨:主な内容
「梗概(こうがい)」の英語訳
「梗概(こうがい)」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- outline
(概略) - summary
(要約) - synopsis
(概要)
「あらすじ」との違い
「梗概」と似て非なる言葉として「あらすじ」があります。物語の大筋をまとめている、という点では一見同じなように思えますが、この二つの単語はどのように異なっているのでしょうか。ここでは小説の「梗概」と「あらすじ」を比較します。
- 梗概:物語の起承転結を事実のみで要約したもの(ネタバレあり)
- あらすじ:物語の世界観や登場人物をかんたんに紹介するもの(ネタバレなし)
以上が、梗概とあらすじの違いです。つまり、梗概は製作側の人々が読むもので、あらすじは読者が読むためのものである、ということですね。
まとめ
以上、この記事では「梗概(こうがい)」について解説しました。
読み方 | 梗概(こうがい) |
---|---|
意味 | 小説や論文の概要のこと |
語源 | 「梗」(骨組み) + 「概」(おおむね) |
類義語 | あらまし、梗概集、大略など |
英語訳 | outline(概要) |
今回は「梗概」を解説しました。日常生活ではあまり使わない単語ですが、長めの論文などを読むと、梗概が書いてあることがあります。梗概を読めば、論文の内容を瞬時に理解できるので、今後の学習にぜひ役立ててください。