今回ご紹介する言葉は、熟語の「固執(こしゅう)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「固執」をざっくり言うと……
読み方 | 固執(こしゅう) |
---|---|
意味 | 自分の意見にこだわって譲らないこと |
類義語 | 執着、頓着 |
対義語 | 譲歩、諦観 |
英語訳 | cling(執着する) |
「固執」の意味をスッキリ理解!
「固執」の意味を詳しく
「固執」とは、自分の意見にこだわって、譲ろうとしないことです。
「こしつ」という慣用読みもありますが、本来は「こしゅう」が正しい読み方です。
時代の流れとともに「こしつ」が一般化し、「こしゅう」読みに取って代わるようになったのです。
「固執」の「固」には、「かたくなな」という意味があります。「頑固」などと同じニュアンスです。
「執」という字には、「執念」などと同じく、「こだわる」「とりつく」という意味があります。
これらの意味が組み合わさり、「かたくなにこだわる」という意味の「固執」になります。
「固執」の使い方
- いつまでも古い考え方に固執していると、時代に取り残されるよ。
- 彼はいつもひとつの考えに固執していて、困ったものだ。
上記の例文のように、「固執」は「固執する」と動詞化して使われます。
①の例文では、「古い考え方」にこだわって、新しい考えを持とうとしない態度について指摘しています。
②の例文では、ひとつの考えにとらわれている「彼」の頑固さに、「困った」という感想を言葉にしています。
「固執」という言葉は、基本的にはネガティブな意味で使われます。そのため、①②の例文のように、批判したり呆れたりといった文脈になることが多くなります。
「固執」の類義語
固執には以下のような類義語があります。
- 執着(しゅうちゃく):ひとつのことにとらわれ、こだわること
- 頓着(とんちゃく、とんじゃく):気にかけ、こだわること
「執着」とは、ひとつのことにとらわれ、こだわるという意味の言葉です。
「固執」は、主にひとつの考えにこだわることを表します。一方、「執着」はひとつの対象にこだわるという意味です。
「執着」の対象は、考え方やアイデアに限らず、特定の人物や思い出、形のあるものなど広範囲に及びます。
「頓着」は、対義語の「無頓着」の形でよく使われる、馴染み深い言葉です。
「無頓着」とは、まったく気にかけないという意味です。「彼は自分の服に無頓着だ」といった場合には、「彼」がファッションに大した興味を持っていない、という意味になります。
一方で、「頓着」はその反対の意味で、特定のものを気にかけることを指します。
「無頓着」「頓着しない」など、「頓着」は否定形で使われることが多く、その点で他の言葉と差別化されます。
「固執」の対義語
固執には以下のような対義語があります。
「譲歩」とは、自分の意見ばかりを押し通すのではなく、相手の意見を採り入れることです。
「譲歩」には、部分的に相手の意見を受け入れるという場合も含まれます。
必ずしも「相手の主張に全面的に従う」という意味になるわけではないので注意しましょう。
一方の「諦観」は、「あきらめ悟りを開く」という意味です。
「物事の本質を見極める」という意味もあります。しかし、「固執」の対義語となるのは「あきらめる」という意味の部分のみになります。
「譲歩」とは違い、全面的にあきらめる場合に使われます。気をつけて使い分けましょう。
「固執」の英語訳
固執を英語に訳すと、次のような表現になります。
- cling
(執着する) - insist
(主張する)
clingには、「くっつく」「しがみつく」という意味があります。そこから、「執着する」「固執する」という意味になります。
「ひとつの考えが、自分にぴったりくっついて離れない」というイメージです。
insistは、「主張する」「言い張る」という意味の英単語です。「ひとつの考えにこだわる」というニュアンスに加え、「その考えを周りに主張する」という意味合いも加わります。
ただ執着している場合はcling、考えを他者に対して主張している場合にはinsistを使うとよいでしょう。
まとめ
以上、この記事では「固執」について解説しました。
読み方 | 固執(こしゅう) |
---|---|
意味 | 自分の意見にこだわって譲らないこと |
類義語 | 執着、頓着 |
対義語 | 譲歩、諦観 |
英語訳 | cling(執着する) |
自分の意志を曲げないのも、自分の考えに固執しすぎないのも、それぞれ違ったよさがあります。「固執」しすぎるのは考えものですが、うまく折り合いをつけながら意見を深めていきましょう。