「今生の別れ」とは「この世ではもう二度と会えなくなること」という意味です。
「読み方に自信がない」「英語ではどのように表せるのだろう」など、様々な疑問をもっている方が多いのではないでしょうか。
この記事では、「今生の別れ」の意味や使い方、英語訳について詳しく解説します。
☆「今生の別れ」をざっくり言うと……
読み方 | 今生(こんじょう)の別れ(わかれ) |
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意味 | この世ではもう二度と会えなくなること |
類義語 | 永遠の別れ、永別、愛別離苦など |
英語訳 | final good-bye(永遠の別れ)、last meeting in this world(この世での最後の面会)など |
このページの目次
「今生の別れ」の意味
この世ではもう二度と会えなくなること
「今生の別れ」とは、この世ではもう二度と会えなくなることです。
今生は、「この世」を表す言葉です。
そのため、「今生の別れ」は、この世での永遠の別れを指すのです。
「大切な人との別れ」を指すことが多い
「今生の別れ」は、「大切な人との、やむをえない別れ」に対して使うことが多いです。
主に、「本当は別れたくないけれども、何らかの理由で別れざるをえない」という場面で用いられるのです。
「今生の別れ」の具体例を見てみましょう。
- 親しい人との死別(しべつ)
- 家族と二度と会えなくなること
- 恋人・友人と二度と会えなくなること
来世への期待を指す場合もある
「今生の別れ」は、ネガティブな意味合いをもつ言葉です。
しかし、「この世では以後会えなくても、次の世では会えるかもしれない」というような、来世に希望をもたせる意味合いで使われることもあります。
「今生の別れ」の誤用
「今生の別れ」の正しい読み方は、「こんじょうのわかれ」です。
「こんせいのわかれ」と誤って読まないようにしましょう。
また、「根性の別れ」という表記も誤りです。
「今生の別れ」の使い方・例文
「今生の別れ」の使い方と例文を、それぞれ紹介します。
「今生の別れ」の使い方
「今生の別れ」は、主に以下のような言い回しで使います。
- 今生の別れになる
- 今生の別れとなる
- 今生の別れである
- 今生の別れでもあるまいし
「今生の別れでもあるまいし」は、永遠の別れではないのにも関わらず、相手が大げさに別れを悲しんでいるとき、相手に投げかける言葉として使います。
「今生の別れ」の例文
使い方をふまえて、具体的な例文を見てみましょう。
- 今生の別れになるけれど、どうかお元気で。
- 当時の私は、その日が彼女との今生の別れとなるとは思いもしていなかった。
- 私たちは、これが今生の別れであるということを互いにわかっていた。
- 今生の別れでもあるまいし、そんなに泣かないでください。
- 今生の別れでありんす。
(今生の別れであります。)
※ありんす:江戸時代の遊女の口調
「今生の別れ」の恋愛における使い方
「今生の別れ」を恋愛で使うことができるのは、「お互いを愛しているのにも関わらず、何らかの事情で別れざるを得ないとき」のみです。
つまり、やむを得ず恋愛関係を終わらせ、永遠の別れを選ばなくてはならない際に使うのです。
別れの原因の例としては、以下のような深刻なものが挙げられます。
- 親から交際を強く反対された
- 戦争で男性が徴兵され、会えなくなった
- どちらかが亡くなってしまった など
恋人が別れの場面で、「これで、私たちは今生の別れとなるね」などと言う際は、「今は別れざるを得ないけれど、来世では一緒になりましょう」というニュアンスも含まれます。
「今生の別れ」とはいえない場合
恋愛での別れであったとしても、次のような場面は「今生の別れ」とはいいません。
- 交際を阻む原因がなかったとき
例:お互いが納得したうえでの別れ - お互いを嫌いになって別れたとき
例:喧嘩別れ
「今生の別れ」の類義語
「今生の別れ」には以下のような類義語があります。
- 永遠の別れ
二度と会えないこと - 永別(えいべつ)
永遠のこと - 愛別離苦(あいべつりく)
愛する人と別れることの苦しさ - 今際(いまわ)の別れ
死別のこと - 終(つい)の別れ
死別のこと - 永の別れ
永遠の別れ、または死別
「今生の別れ」の英語訳
「今生の別れ」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- final good-bye
(最後の別れ) - last meeting in this world
(この世での最後の対面) - last meeting with 〜 in one’s lifetime.
(〜との最後の対面) - see 〜 for the last time
(〜と最後に会う)
補足:「今生の別れ」を表す和歌
百人一首には、「今生の別れ」を表す和歌があります。
この和歌には、「今生の別れ」という言葉は登場しません。
しかし、以下の意味のように、今生の別れを嘆く歌なのです。
空を行く月を、父の形見として見上げるばかりです。
この歌は、第84代天皇である順徳(じゅんとく)天皇が、父との別れについて詠んだものです。
順徳天皇は、父の後鳥羽(ごとば)天皇とともに鎌倉幕府を倒そうとしましたが、失敗してしまいます。
結果的に、順徳天皇は佐渡へ、後鳥羽天皇が隠岐(おき)に島流しとなります。
つまり、二人は「今生の別れ」となってしまったのです。
補足:「今生の別れ」の儀式
「今生の別れ」の儀式に、水杯(みずさかずき)というものがあります。
もう二度と会えないことが決まっているとき、グラスやコップに水を注いで、相手と乾杯するのです。
通常、相手と親交を深める場面では、お酒で乾杯します。
お酒ではなく水で乾杯するという点で、水杯は「永遠の別れ」を表しているのです。
普段の生活で、水で乾杯をすることは縁起が悪いとされる場合があります。
「今生の別れ」を連想させるからです。
水杯の起源
水杯は、「死別の際、亡くなった人の口元を水で濡らす」という儀式から派生したものだと言われています。
あの世で喉が乾くことがないように、亡くなった人の口に水を含ませるのです。
補足:「別れ」を表す花言葉
花言葉には、「別れ」を表すものがたくさんあります。
参考までに、花の名称とともに代表例を覚えておきましょう。
白いチューリップ | 別れ・失われた愛 |
スイートピー | 別離・旅立ち |
ハナニラ | 悲しい別れ |
ミヤコスワレ | 別れ・慰め(なぐさめ) |
キンセンカ | 別れの悲しみ |
「今生の別れ」のまとめ
以上、この記事では「今生の別れ」について解説しました。
読み方 | 今生(こんじょう)の別れ(わかれ) |
---|---|
意味 | この世ではもう二度と会えなくなること |
類義語 | 永遠の別れ、永別、愛別離苦など |
英語訳 | final good-bye(永遠の別れ)、last meeting in this world(この世での最後の面会)など |
「今生の別れ」は、「この世ではもう会えない別れ」という悲しみを的確に表すことができる言葉です。
類義語や英語訳などもふまえ、正しく使いこなせるようになりましょう。