今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「金城湯池(きんじょうとうち)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・代表的な城についてわかりやすく解説します。
☆「金城湯池」をざっくり言うと……
読み方 | 金城湯池(きんじょうとうち) |
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意味 | 非常に守りがかたい城、ある勢力が強く、他の勢力が簡単に入り込めない地域 |
由来 | 中国の歴史書である「漢書」の「蒯通伝」 |
類義語 | 金城鉄壁、南山不落、堅塞固塁 |
代表的な城 | 熊本城、大阪城、上田城 |
このページの目次
「金城湯池」の意味をスッキリ理解!
「金城湯池」の意味を詳しく
「金城湯池」は「非常に守りがかたい城」「ある勢力が強く、他の勢力が簡単に入り込めない地域」を指します。
「金城」は「金で作られた城」を意味します。金は高価な金属で、かたいというイメージがあります。つまり、「金城」はかたく守りやすい城を指します。
「湯池」は「熱湯を張った堀」を意味します。堀とは、城の守りを固める目的で城の周りを掘り下げて水を通したものです。そこに熱湯を張り、さらに敵の侵入を難しくしたという意味で「湯池」が使われています。
つまり、「守りがかたい」という意味を持つ「金城」と「湯池」が合わさって「金城湯池」が成り立っています。実際には「金城」も「湯池」も存在せず、比喩的に使われる四字熟語です。
「金城湯池」は城などの場所だけでなく、勢力に対しても使われます。ある勢力が非常に強く、他の勢力が簡単には入り込めない地域や領域を意味します。
たとえば、ある地域に地元に根付いた有力な政治家がいて、他の政治家の当選を困難としているとき、その地域は有力な政治家の「金城湯池」と言えます。
「金城湯池」の使い方
- 高さ20メートルの石垣を持つ熊本城は、金城湯池と呼ぶに相応しい城だ。
- B組のダンス部のあの子は、クラスの男子の心をわしづかみにして金城湯池を築いている。
- 日本の半導体産業は、世界でも金城湯池のシェアを誇っている。
①の「金城湯池」は「非常に守りがかたい城」という意味です。「金城湯池」と呼ばれる城は以降の項目でまとめています。
②は「ある勢力が強く、他の勢力が簡単に入り込めない地域」という意味で「金城湯池」が使われています。この場合の地域はクラスです。
③の「金城湯池」は「ある勢力が強く、他の勢力が簡単に入り込めない地域」を指します。世界のシェアを譲らない様子が表現されています。
「金城湯池」の語源
「金城湯池」は、中国の歴史書である「漢書」の「蒯通(かいとう)伝」が初出です。
そこでは、「非常に守りがかたい城」という意味で使われています。
その後、「ある勢力が強く、他の勢力が簡単に入り込めない地域」という広い意味で使われるようになりました。
「金城湯池」の類義語
「金城湯池」には以下のような類義語があります。
- 金城鉄壁:非常に守りのかたいことのたとえ
- 南山不落:永遠に崩れ落ちないこと、城や要塞(ようさい)などが非常に堅固で守りがかたいこと
- 堅塞固塁(けんさいこるい):守りのかたいとりでのたとえ
- 難攻不落(なんこうふらく):守りが極めてかたいこと
「金城湯池」と呼ばれる代表的な城
日本に現存する、「金城湯池」と呼ばれる代表的な城を3つご紹介します。
熊本城
熊本城は高い石垣が城を取り囲んでおり、堅城で有名な城です。加藤清正が秀吉の下で学んだ築城技術を活かして作ったと言われています。
明治10年の西南戦争で薩摩軍に攻め込まれましたが、城内へは一兵の侵入も許しませんでした。
大阪城
大阪城は幅50メートル、深さ5メートルの外堀と内堀を持つ日本最大級の城です。天守閣の高さは32メートルもあり、攻め込みにくい構造になっています。
1614(慶長19)年の大坂冬の陣では、徳川の20万の軍勢に攻め込まれながらも開城することなく耐えしのぎました。
上田城
上田城は山と川に囲まれており、天然の要塞を活かした城です。南側には千曲川(ちくまがわ)、北と西には山、東には蛭沢川(ひるさわがわ)が位置しています。
さらに、百間堀(ひゃくけんぼり)という堀によって強固な城となっています。
まとめ
以上、この記事では「金城湯池」について解説しました。
読み方 | 金城湯池(きんじょうとうち) |
---|---|
意味 | 非常に守りがかたい城、ある勢力が強く、他の勢力が簡単に入り込めない地域 |
由来 | 中国の歴史書である「漢書」の「蒯通伝」 |
類義語 | 金城鉄壁、南山不落、堅塞固塁 |
代表的な城 | 熊本城、大阪城、上田城 |
城を見学する機会があれば、守りのかたさを意識してみるとより楽しめるかもしれません。