四字熟語「換骨奪胎(かんこつだったい)」の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「換骨奪胎(かんこつだったい)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についわかりやすく解説します。

「換骨奪胎」の意味をスッキリ理解!

換骨奪胎(かんこつだったい):先人のアイデアや形式を踏襲して作品を作ること

「換骨奪胎」の意味を詳しく

換骨奪胎はもともと、中国の詩文において先人の着想・形式を真似することを指す四字熟語です。

誤用ではあるものの、現在では「既存のものに手を加える」という意味でも広く使われます。

「換骨奪胎」は、「換骨」と「奪胎」に分解することができます。

  • 換骨:骨を取り替えてしまうこと
  • 奪胎:胎盤(たいばん)から子を奪うこと

この2語が重ね合わせられることで、作品の骨子を使うという言葉になっています。

なお、「換骨奪胎」は、以下の表記に言い換えることもできます。

  • 奪胎換骨(だったいかんこつ)
  • 換骨脱胎(かんこつだったい)

「換骨奪胎」の誤用について

「換骨奪胎」は、「既存のものに手を加え、新しい作品かのように見せること」「先人のものを単純に模倣すること」といった、ごまかしを表すような意味で使われることがありますが、これは誤用です。

本来、「換骨奪胎」には、「先人の考えをふまえたうえで、新しく独自なものをものを作り上げる」というポジティブなニュアンスがあるからです。

つまり、「換骨奪胎」は、もともと存在する物に手を加えるときに使う言葉ではなく、先人の考え方に敬意を払ったうえで、自分で新たなものを作るときに使う言葉なのです。

現代では誤用での意味も一般的になりつつあるものの、まずは本来の意味合いを理解しておきましょう。

「換骨奪胎」の使い方

  1. 彼は師匠の作品を換骨奪胎して名作を生み出した。
  2. 自覚はなかったが、どうやら私はあの古典を換骨奪胎していたようだ。

①と②の例文にあるように、換骨奪胎は本来ポジティブなイメージでは使われる言葉です。

使いどころは難しいですが、うまく使用するとひとつの文章から、その人の先人に学ぶ姿勢までもが読み取れます。

「換骨奪胎」の由来

「換骨奪胎」の由来は、僧侶の慧洪(えこう)の見聞が記された書物である『冷斎夜話』(れいさいやわ)にあります。由来に該当する記述は以下の通りです。

その意を易(かえ)ずして、その語を造る、これを換骨法と謂ひ、その意を規模して、これを形容する、これを奪胎法と謂ふ。

つまり、もとの文章の意味を変えずに言葉を変えることが換骨法であり、言葉を参考に内容を作り変えることが奪胎法であるということです。

もともと詩文を作るコツとして説かれた言葉ですが、現在では詩文に限らず小説や映画など創作物全般に対して使用することができます。

「換骨奪胎」の類義語

換骨奪胎には以下のような類義語があります。

  • 温故知新(おんこちしん):昔の学びや歴史を見つめ直し、新たな発見を見出して生かすこと
  • 点鉄成金(てんてつせいきん):他人の作った平凡な作品に手を加えて立派なものに変えること
  • 活剥生呑(かっぱくせいどん):人の文章や意見を自分のものとしてそのまま使うこと
  • リメイク:内容は変えずに言葉などを書き換えて作り直すこと
  • オマージュ:特定の作品に意図的に内容を寄せること
  • インスパイア:ある物事・人物から、強い影響や刺激を受けること

どの言葉も、「既存のものを作り変える」という広い意味では「換骨奪胎」と同じ意味になります。

ただし、「温故知新」以外の言葉は、必ずしも「先人」からの学びがきっかけになっているとは限りません。

さらに、上記の言葉にはそれぞれ独特なニュアンスがあります。

意味合いを取り違えると解釈が大きく変わってしまう場合があるため、気をつけましょう。

「点鉄成金」の意味

「点鉄成金」は、もともとの作品よりも手を加えた後の方が価値のあるものに変わったときに使用されます。

他人の作品に手を加えるというとネガティブなイメージがありますが、この場合はむしろポジティブな意味で使われます。

「活剥生呑」の意味

「活剥生呑」は、ネガティブのイメージのある言葉です。

他人が作ったものや考えを盗み、あたかも自分の作品や思考であるかのように使ってしまうことを意味します。

論文で言うところの「剽窃」に近い意味となります。

「リメイク」の意味

「リメイク」は、もともとの内容は変えず、言葉だけを変えて作り直すことを指します。

時代背景や言語の壁などを理由にリメイクされる作品は数多く存在しており、身近な言葉と言えるでしょう。

「オマージュ」の意味

「オマージュ」は、盗作とは違い、作品へのリスペクトを前提として内容を似せることを指します。

多くの場合は、オマージュであることが明言されていたり、タイトルなどから明らかにわかるようになっていたりします。

「インスパイア」の意味

「インスパイア」は、ある物事・人物から、強い影響や刺激を受けることを指します。

「インスパイア」という言葉自体には、「何かを作る/作り変える」という意味はないため、気をつけましょう。

あくまでも、「あることに触発される」ことのみを表す言葉なのです。

このため、「刺激を受けて、何かを生み出した」という結果まで表したいときは、「〇〇にインスパイアされて、〜を作り直した」などと言葉を補いましょう。

「換骨奪胎」の対義語

換骨奪胎には以下のような対義語があります。

  • 独創性(どくそうせい):独自の考えをもとに何かを作り出す能力
  • 創意(そうい):新たなものを自ら作り出そうとする心

「換骨奪胎」は、「先人の考えをもとに、何かを作り出すこと」を指します。

一方で、「独創性」と「創意」は、「自分の考えをもとに、新しいものを作り出すこと」を指します。このため、これらの言葉は「換骨奪胎」の対義語となります。

「換骨奪胎」の英語訳

換骨奪胎を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • adaptation
    (適合)
  • modification
    (改変)
  • recast
    (作り直す)
  • make a new work of art by adapting the ideas and expressions in old literary works
    (古い文学作品のアイデアと表現から新しい作品を作る)

“adaptation” は名詞で「適合」という意味があります。

一見「換骨奪胎」としては違和感があるかもしれませんが、もとの作品の形式などに沿うという意味ではもっとも自然な言い回しになります。

基本的には “adaptation” で伝わりますが、もっとはっきり作り変えたのだと伝えたい場合は “modification” を使いましょう。

まとめ

以上、この記事では「換骨奪胎」について解説しました。

読み方換骨奪胎(かんこつだったい)
意味先人のアイデアや形式を踏襲して作品を作ること
由来『冷斎夜話』
類義語点鉄成金、活剥生呑、リメイクなど
対義語独創性、創意
英語訳adaptation(適合)など

盗作などの悪い意味にとらえられがちな言葉ですが、実際には換骨奪胎は詩文創作のコツとして推奨された方法です。

これを機に正しい意味で「換骨奪胎」を使えるといいですね。