今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「確固不抜(かっこふばつ)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「確固不抜」をざっくり言うと……
読み方 | 確固不抜(かっこふばつ) |
---|---|
意味 | 意志が強く、動揺しないさま |
由来 | 中国の古書『易経』 |
類義語 | 意志堅固、鉄心石腸、気骨稜稜など |
英語訳 | firm(確固とした)など |
「確固不抜」の意味をスッキリ理解!
「確固不抜」の意味を詳しく
「確固不抜」とは、「意志や考えがしっかりと固まっていて、何事にも動じないさま」を表す四字熟語です。「確乎不抜」とも表記されます。しかし、「乎」という漢字は表外漢字で、あまり使われません。ですから、日常的には、常用漢字である「固」を使った「確固不抜」が使われます。
「確固」は、ものや気持ちがしっかりと固まっている様子を指します。
「不抜」は、「どれだけ引っ張られても抜けない」という様子を表します。言い換えると、「安定していて動かせない」という意味になります。したがって、「不抜」も「確固」と同じく、「しっかりしている」という意味があります。
このように、「確固」と「不抜」はどちらも、揺るぎないことを表すのです。つまり、「確乎不抜」では、似ている2つの熟語から成り立つことで、「意志が固く、心がどっしりとしていて動じない」という意味が強調されているのです。
「確固不抜」の使い方
- どんなにくじけそうでも、確固不抜の精神で目標を達成する。
- 大勢の人に反対されても、意志を貫いた彼の決意は確固不抜であった。
- 大会で初優勝をするというチーム全員の意志は、確固不抜である。
- 確固不抜の精神を貫いたからこそ、見ることができる景色がある。
「確固不抜」は名詞として文章に用いることができます。また、形容詞としても使うことができます。主な使われ方としては、「確固不抜の精神」や「決心が確固不抜である」などがあります。
固い決意や、断じて物怖じ(ものおじ)しない様子などを述べるときに使いましょう。
「確固不抜」の由来
「確固不抜」の由来は、『易経(えききょう)』の一節にあります。
『易経』は、中国の古書です。中国の周の時代に経典として大成されました。
その歴史は長く、東洋最古の古書とされています。伏犠(ふっき)という人物が、この文書の礎を作り、のちに孔子が集大成させたと言われています。しかし、著者に関してはさまざまな説が出ているため、真相は明らかとなっていません。
『易経』の中に、「確乎としてそれを抜くべからざるは、潜龍(せんりゅう)なり」という文があります。「それ」とは、「志」のことを指します。「潜龍」とは、世にまだ出ていない英雄のことを表した言葉です。つまり、世間に頭角の出ていない、下積みの時代のことを意味します。
これを訳すと、「しっかりとした志をもち、どんなに苦しくても、その志を動かさない人物こそ英雄だ」となります。この一文が、「確固不抜」のもととなったとされています。
下積みの時代は、努力がなかなか報われず、もがき苦しむ時期です。そのようなときには、どうしても目標や夢を諦めたくなります。しかし、この漢文は、「辛さを乗り越えて志を強く持ち続けた者が成功する」ということ示しています。
したがって、「確固不抜」は「強い意志を持ち続けなさい」という教訓を表すためにうまれた四字熟語なのです。
「確固不抜」の類義語
確固不抜には以下のような類義語があります。
- 意志堅固(いしけんご):物事を遂げるにあたっての意志が、しっかりとしていること
- 鉄心石腸(てっしんせきちょう):石や鉄のように、どんなことにも動じない強い意志のたとえ
- 確固不動(かっこふどう):意志や精神がしっかりとしていて、ものに動じないこと
- 不昧不落(ふまいふらく):意志が強く、物欲に惑わされたり、堕落したりしないこと
- 気骨稜稜(きこつりょうりょう):自らの信念を曲げることなく、厳正に貫こうとする態度のこと
- 志操堅固(しそうけんご):自分の理念や精神、流儀などを固く守り、決して変えることがないさま
「気骨稜稜」の「気骨」は、「自分の信念を貫こうとする性格」を意味します。「稜稜」は、「威勢があって厳格である」という意味です。このことから、上記の意味を成します。
「鉄心石腸」の「心」と「腸」は、心臓や腸などの内臓を表します。これらは、心や意志のたとえです。
「心」や「腸」に「固い」という表現を加えることで、「決して信念を曲げない」という気持ちの強さが強調されているのです。
「確固不抜」の英語訳
確固不抜を英語に訳すと、次のような表現になります。
- firm
(確固とした) - steadfast
(ぐらつかない) - unswerving
(それない、外れない) - unshakeble
(揺るぎない) - determined
(決然とした)
まとめ
以上、この記事では「確固不抜」について解説しました。
読み方 | 確固不抜(かっこふばつ) |
---|---|
意味 | 意志が強く、動揺しないさま |
由来 | 中国の古書『易経』 |
類義語 | 意志堅固、鉄心石腸、気骨稜稜など |
英語訳 | firm(確固とした)など |
目標に向かって努力をすることは、簡単なことではありません。どこかで壁にぶつかり、諦めてしまいそうになることがあります。
しかし、困難に堪えて目標を達成すると、自分を大きく成長させることに繋がります。信念を貫くことは、とても大切なことです。
一度やると決めたことには、「確固不抜」の精神で、どのようなことにも動じることなく、最後まで信念を持ち続けましょう。