「買いかぶり」とは「人を実際よりも高く評価すること」という意味です。
「それは買いかぶりすぎだよ」と言われたとき、あなたは相手が何を意図しているか理解できますか。
また、意味を理解できている人にも、「類義語は?」「英語訳は?」といった疑問があるのではないでしょうか。
この記事では、「買いかぶり」の意味や使い方、類義語、英語訳などについて詳しく解説します。
☆「買いかぶり」をざっくり言うと……
読み方 | 買いかぶり(かいかぶり) |
---|---|
意味 | 人を実際よりも高く評価すること 品物を実際よりも高い値段で買うこと |
語源 | 買いかぶる |
類義語 | 過大評価 |
対義語 | 侮る |
英語訳 | overestimate (〜を高く評価しすぎる) overvaluation (〜を高く評価しすぎること) など |
このページの目次
「買いかぶり」の意味
- 人を実際よりも高く評価すること
- 品物を実際よりも高い値段で買うこと
しかし、現代では「人を実際よりも高く評価すること」という意味で使われることがほとんどです。
「買いかぶり」は、「買い」と「かぶり」の二語から成り立っている言葉です。
「買いかぶり」の意味をさらに深く理解するために、ここからは、「買い」と「かぶり」について詳しく解説します。
「買い」の意味
「買い」は、「買う」が変形したかたちです。
- お金を払って自分のものにする
例:「リンゴを買う」 - よくないことを招く
例:「反感を買う」 - 進んで引き受ける
例:「喧嘩を買う」 - 価値を認める
例:「努力を買う」
上記のうち「価値を認める」という意味が、「買いかぶり」の「買い」に含まれています。
「かぶり」の意味
「かぶり」は、「かぶる」が変形したかたちです。
- 頭に覆うものを乗せる
例:「帽子をかぶる」 - 頭から体全体にかけて浴びる
例:「水をかぶる」 - 本来引き受けなくていいような、良くないことを引き受ける
例:「買いかぶる」 - フィルムや印画紙の画面がぼやける
例:「写真がかぶる」 - すでにある色や音に、さらに別のものが加わる
例:「音がかぶって聞き取れない」 - 誰かの発言と、他の人の発言が重なる
例:「私たちの返事がかぶった」 - 重複(ちょうふく)する
例:「キャラがかぶる」 - 芝居などが終わる
例:「芝居がかぶる」 - 芝居などで、観客が満員になる
例:「観客がかぶった」 - だまされる
例:「どこの牛の骨やらしらいで人のかぶる衣装つき」
[出典:世間胸算用 浮世・西鶴]
上記のうち「本来引き受けなくていいような、良くないことを引き受ける」という意味が、「買いかぶり」の「かぶり」に含まれています。
このように「買いかぶり」は、「価値を高く評価した結果、結局は失敗してしまう」という “損” を表す言葉なのです。
「買いかぶり」の表記
「買いかぶり」は、「買い被り」と表記する場合もあります。
ただし、「買いかぶり」という表記が一般的です。
なぜなら、「被る」は「こうむる」と読むことのほうが多いからです。
「かぶる」と読む方法は、常用漢字の規定にないのです。
「買被り」という表記は誤りですから、注意しましょう。
「買いかぶり」または「買い被り」が正しい表記です。
「買いかぶり」の使い方
「買いかぶり」には、「人を実際よりも高く評価すること」「品物を実際よりも高い値段で買うこと」という2つの意味があります。
ただし、現代ではほとんどの場合で、「人を実際よりも高く評価すること」という意味で使われます。
そのため、ここでは「人を実際よりも高く評価すること」という意味での使い方を紹介します。
「買いかぶり」は、おもに以下のような言い回しで使います。
- 買いかぶりだ
- 買いかぶり過ぎだ
- (人)を買いかぶっている
「買いかぶり」の例文
「買いかぶり」は、相手に対してだけでなく、自分に対しても使います。
ここからは、「相手に対して使う場面」と「自分に対して使う場面」に分けて、例文を紹介します。
例文①相手に対して使う
「買いかぶり」を相手に対して使う場合、以下のような例文があります。
- 英語が上手だからといって、「有能な人だ」と持ち上げるのは買いかぶりだ。
- 問題発言の多い彼が役職に就くなんて、買いかぶり過ぎだとしか思えない。
- 当時の私は、恋人のことを買いかぶっていたようだ。
例文②自分に対して使う
「買いかぶり」を自分に対して使う場面は、2つのパターンに分けることができます。
- 自分自身を高く評価しすぎる場面
- 相手が自分を高く評価しすぎる場面
以下、それぞれの場面での例文を紹介します。
自分自身を高く評価しすぎる場面
自分自身を高く評価しすぎる場面では、自分のへの戒めとして、以下のようなかたちで「買いかぶり」を使うことが多いです。
例文を見てみましょう。
- 自分を買いかぶってはいけない。常に謙虚な気持ちをもっていたい。
- 自分はA大学の試験に合格できると思っていたが、それは買いかぶりだったようだ。
相手が自分を高く評価しすぎる場面
相手が自分を高く評価しすぎる場面において、「買いかぶり」は、「私は、あなたが評価するほど優秀ではない」という謙遜を表すことができます。
例文を見てみましょう。
- コーチは私を買いかぶっています。私は、そこまで速く走ることができません。
- あなたは私を神様のように扱うけれど、それは買いかぶり過ぎだ。
「あなたは私を買いかぶっている」という謙遜が、相手に対して失礼になる場合がありますから、使う場面や相手には気をつけましょう。
「相手の評価を素直に受け取っていない」という印象になってしまうからです。
「買いかぶり」の語源
「買いかぶり」は、「買いかぶる」から生まれた言葉です。
- 人を実際よりも高く評価する
- 品物を実際よりも高い値段で買う
「買いかぶる」は、もともと「品物を実際よりも高い値段で買う」という意味しかありませんでした。
明治時代以降、「人を実際よりも高く評価する」という意味が加わったとされています。
「買いかぶり」の類義語
「買いかぶり」には以下のような類義語があります。
- 過大評価(かだいひょうか)
物事を実際よりも高く評価すること
「買いかぶり」と「過大評価」は、どちらも「実際に高く評価する」という意味があります。
厳密には、以下の点が異なります。
- 買いかぶり
人に対して使う - 過大評価
人だけでなく、物事に対しても使う
つまり、「過大評価」のほうが、使える範囲が広い言葉なのです。
「役不足」は、「買いかぶり」の類義語ではありません。
「役不足」とは、「与えられた役目が軽すぎて、不満を持つこと」という意味です。
「買いかぶり」は、「実際よりも高く評価すること」を表しますから、両者の意味は異なります。
「買いかぶり」の対義語
「買いかぶり」には以下のような対義語があります。
- 侮る(あなどる)
相手を軽く見て、ばかにすること - 下(した)に見る(みる)
相手を軽く見ること
「買いかぶり」の英語訳
「買いかぶり」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- overestimate
(〜を高く評価しすぎる) - overvaluation
(〜を高く評価しすぎること) - set too high a value on 〜
(〜を高く評価しすぎる)
それぞれの英語表現を用いた例文を見てみましょう。
- She overestimate him too much.
(彼女は彼のことを買いかぶりすぎている。) - It can be said an overvaluation.
(それは買いかぶりと言えるだろう。) - You should not set too high a value on yourself.
(自分のことを買いかぶってはいけません。)
「買いかぶり」のまとめ
以上、この記事では「買いかぶり」について解説しました。
読み方 | 買いかぶり(かいかぶり) |
---|---|
意味 | 人を実際よりも高く評価すること 品物を実際よりも高い値段で買うこと |
語源 | 買いかぶる |
類義語 | 過大評価 |
対義語 | 侮る |
英語訳 | overestimate (〜を高く評価しすぎる) overvaluation (〜を高く評価しすぎること) など |
日常生活やビジネスシーンで、「買いかぶり」を正しく使いこなしましょう。