今回ご紹介する言葉は、熟語の「時下(じか)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「時下」をざっくり言うと……
読み方 | 時下(じか) |
---|---|
意味 | この頃、現在 |
語源 | 「今」という意味の漢語から |
類義語 | 最近、目下、現在など |
英語訳 | now, these days, nowadays |
「時下」の意味をスッキリ理解!
「時下」の意味を詳しく
「時下」は、この頃、現在という意味です。
「時下」の意味自体はとても単純なのですが、使う場面に特徴があります。
「時下」は、季節関係なく使うことのできる万能な時候の挨拶です。
時候の挨拶とは、かしこまった手紙の冒頭に、季節や気候に応じた季語を用いて心情を表す言葉です。「立春の候」「残暑の候」などが代表例です。
わざわざ季節に応じた時候の挨拶を考えるのが面倒なとき、文章を手短に済ませたいとき、何度もメールのやりとりをしたことがある人に送るときなどは、「時下」を用いると大変便利です。
実際には「時下」のみで用いることは少なく、なお一層という意味の「ますます」と組み合わせた「時下ますます」が多く使われています。
「時下」の使い方
- 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
- 拝啓 時下ますますご清栄の段、大慶(たいけい)に存じます。
まずは「時下」を使う場所について説明します。
手紙は「前文→主文→末文→後付け」の順で構成されます。「時下」は時候の挨拶であるので、前文に書きます。ただし、「時下」の前に「拝啓(はいけい)」や「謹啓(きんけい)」などの頭語を添えることを忘れないようにしましょう。
続いて「時下」を使う際の代表的な定型文の形を説明します。
①の例文のように、「時下ますます〇〇のこととお慶び申し上げます」の形が最も多く用いられます。
〇〇に入る言葉とその意味を以下でご紹介します。
- ご清栄:会社や組織といった団体の無事・健康・繁栄を喜ぶ挨拶
- ご清祥(せいしょう):相手方(個人)の健康・幸せを喜ぶ挨拶
- ご健勝:相手方(個人)の健康・元気であることを喜ぶ挨拶
- ご隆盛:会社や組織といった団体が勢い盛んに栄えることを喜ぶ挨拶
「ご清栄」と「ご隆盛」は団体に向けて、「ご清祥」と「ご健勝」は個人に向けて使用する場合が多いですが、これは決まりではありません。場面によって使い分けることが可能です。
また、「お喜び」と「お慶び」の違いですが、「お喜び」は日常の喜びを表すのに対し、「お慶び」は結婚式などの慶事で使います。
②の例文は、「時下ますます〇〇の段、大慶に存じます」の形です。
「段」は「こと」「次第」という意味です。
「大慶に存じます」は「非常にめでたいと思うこと」を意味します。
より喜びを強調して伝えたい場合には②の形を用いると良いでしょう。
「時下」の語源
「時下」のもともと漢語であり、そのまま日本に入ってきたことが語源であるとされています。
現在の中国語でも「今」を表す言葉として使われているそうです。
「時下」の類義語
「時下」には以下のような類義語があります。
- 最近:少し前から現在までの時期
- 目下:目の前の時
- 現在:過去と未来の間
「時下」の英語訳
「時下」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- now
- these days
- nowadays
「時下」を英訳すると、意味的には上記の言葉が当てはまります。
ただし、「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」などの表現は英語には存在しません。これを英訳する場合は、基本的に訳さないことが多いです。
まとめ
以上、この記事では「時下」について解説しました。
読み方 | 時下(じか) |
---|---|
意味 | この頃、現在 |
語源 | 「今」という意味の漢語から |
類義語 | 最近、目下、現在など |
英語訳 | now, these days, nowadays |
「時下」はかしこまった手紙やメールなど、ビジネスシーンで用いられます。失礼な使い方をしてしまうことがないよう、正しい意味を理解しましょう。