イニシアティブとは「主導権」などという意味です。
ビジネスではカタカナ語が多く用いられますが、その中でもよく聞くのがイニシアティブです。
しかし、イニシアティブについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では実は3つも意味があるイニシアティブについて詳しく解説していきます。
「イニシアティブ」の意味
- 主導権
例:交渉のイニシアティブを握る。 - 構想
例:会社の新規事業イニシアティブが発表された。 - 国民発案
例:スイスではイニシアティブが認められている。
それぞれの意味について詳しく見ていきましょう。
意味①:主導権
イニシアティブのメインの意味は「主導権」です。
自分がリーダーとなり、物事を特定の方向へ導いていく様子を表します。
ビジネスシーンではよくこの意味で用いられます。
イニシアティブが取れる人は自ら積極的に動き、相手のことを考えながらチームを良い方向に導いていくというプラスのニュアンスで使われる場合が多いです。
ビジネスシーンでイニシアティブを使うのは避けたほうが無難です。
イニシアティブは「主導権」と簡単に日本語訳でき、主導権に言い換えたほうが伝わりやすいです。
ビシネスでは迅速なコミュニケーションが求められますから、わざわざ伝わりにくい言葉を使う必要はありません。
ただ、職場で頻繁に使われている場合には、自分でも使わざるを得ない場合があります。
意味②:構想
イニシアティブは「構想」という意味で用いられることもあります。
イニシアティブは通常、主導権という意味で用いられますが、「〇〇イニシアティブ」という形で出てきた時には「構想」という意味になります。
この意味はビジネスシーン以外で用いられることは少ないです。
意味➂:国民発案
イニシアティブは政治用語としては「国民発案」という意味になります。
国民発案とは、一定以上の有権者が法案を作って議会に提出できる制度で、スイスやアメリカの一部で採用されています。
日本では国会に国民発案をすることはできませんが、地方議会に対して条例を制定したり、撤廃したりする権利が認められています。
イニシアティブのほうが英語の発音に近いため、よく用いられます。
「イニシアティブ」の使い方
イニシアティブは意味によって使い方が異なります。
それぞれの意味での使い方について詳しく見ていきましょう。
「主導権」の意味の使い方
イニシアティブは「主導権」の意味で用いられることがほとんどです。
よく使われる表現と例文について見ていきましょう。
- イニシアティブを取る
例:部長がイニシアティブを取って改革を進める。 - イニシアティブを握る
例:サムライジャパンはホームランで先制点を取り、試合のイニシアティブを握った。 - イニシアティブを発揮する
例:今こそイニシアティブを発揮し、業務効率化を図るべきだ。 - イニシアティブが欠けている
例:あの夫婦は夫のイニシアティブが欠けているからか、夫は妻の尻に敷かれているようだ。 - 〇〇のイニシアティブ
例:アメリカのイニシアティブで戦後の交渉が進められた。
イニシアティブはビジネスシーンからスポーツや家庭まで、幅広い場面で「主導権」の意味で用いられることがわかります。
また、個人が主導権を得る場合にも、グループが主導権を得る場合にも用いられます。
どの使い方の場合にも、イニシアティブを「主導権」と読み替えれば問題ありません。
イニシアティブのよくある間違った使い方として、「~はイニシアティブだ」があります。
イニシアティブは名詞であり、このような使い方はしないので注意しましょう。
「構想」の意味の使い方
イニシアティブは「〇〇イニシアティブ」の形で使われる時には「構想」という意味になります。
具体的な使い方を例文で見ていきましょう。
- 社長が新規事業イニシアティブを発表した。
- 社員総会で戦略的イニシアティブについて説明があった。
※戦略的イニシアティブ:経営戦略とそれを実現するための構想
また、構想という意味のイニシアティブは団体名として用いられることもあります。
たとえば、「環境共創イニシアティブ」は環境・エネルギー分野で技術革新を促す一般社団法人です。
「国民発案」の意味の使い方
イニシアティブはまれに「国民発案」の意味で使われる場合があります。
その場合の例文を見てみましょう。
- スイスではイニシアティブが認められている。
- 日本ではイニシアティブが認められていない。
- イニシアティブにはメリットもあればデメリットもある。
「イニシアティブゲーム」とは?
イニシアティブは「イニシアティブゲーム」という形で登場することもあります。
イニシアティブゲームとは、1人では解決できない課題をみんなで解決する活動のことです。
参加者の社会性、問題解決能力、リーダーシップなどを育てるために用いられます。
イニシアティブゲームの例としては以下のようなものが挙げられます。
- 日本列島
小さなプレートの上に、全員が乗るゲーム - 人間知恵の輪
絡み合ってつないだ手を離すことなく、円になることを目指すゲーム - ラインナップ
丸太の上で指示されたように人の順番を並び替えるゲーム
「イニシアティブ」の語源
イニシアティブの語源は英語の “initiative” です。
“initiative” には以下のような意味があります。
- 主導権
- 構想
- やる気
- 計画
- 議案提出権
“initiative” はイニシアティブと比べて意味が多く、よりポジティブなニュアンスで用いられます。
「イニシアティブ」の類義語
イニシアティブには意味別に以下のような類義語があります。
- 主導権
物事を動かすことができる力 - リーダーシップ
組織を動かす能力 - 統率力
組織を引っ張る力 - 進取の気性(しんしゅのきしょう)
積極的に新しい物事へ取り組む姿勢 - 開拓
新分野を切り開くこと - 指揮
集団や団体を統率して指図をすること - 率先(そっせん)
先頭に立って物事を行うこと - 首唱(しゅしょう)
先頭に立って言い出すこと - 牽引(けんいん)
引き寄せること
- 計画
なにか物事を行う方法や手順を考えて企てること - 策略(さくりゃく)
相手を自分が思う通りに動かすためのはかりごと - 画策(かくさく)
はかりごとを計画すること - 計略(けいりゃく)
目的が達成されるように考えておく手段
- レファレンダム
国民投票
「イニシアティブ」と「リーダーシップ」の違い
リーダーシップはチームを統率し、指揮する能力を表します。
そんなリーダーシップとイニシアティブには以下のような違いがあります。
- イニシアティブ
自分から動いて、他の人を導くこと - リーダーシップ
チームを率いる能力
イニシアティブがチームを率いる行動自体を指すのに対して、リーダーシップはチームを率いるための能力を表すのです。
「イニシアティブ」の対義語
イニシアティブには以下のような対義語があります。
- 追従(ついじゅう)
他人の言うことに付き従うこと - 追随(ついずい)
前を行く者についていくこと
「イニシアティブ」のまとめ
以上、この記事ではイニシアティブについて解説しました。
英語表記 | イニシアティブ(initiative) |
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意味 | 主導権 構想 国民発案 |
語源 | 英語の “initiative” |
類義語 | 主導権 リーダーシップ 統率力 など |
対義語 | 追従 追随 |
イニシアティブはビジネス場面でもよく用いられます。
意味を把握しておくと良いですね。