今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「イデオロギー」です。
「イデオロギー」の言葉の意味・使い方・語源・類義語についてわかりやすく解説します。
☆「イデオロギー」をざっくり言うと……
英語表記 | イデオロギー(ideology) |
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意味 | ある立場から見た、政治や道徳などに対する考え方 |
語源 | ドイツ語の “ideologie” から |
類義語 | 主義、思想、ドグマなど |
「イデオロギー」とは?
「イデオロギー」の意味を詳しく
「イデオロギー」とは、政治や道徳に対する体系的な思想のことです。
政治や道徳の他に、宗教や芸術への考え方も「イデオロギー」と表現されることがあります。
たとえば、政治的な「イデオロギー」には「民主主義」があります。
これは「政治」が「市民によって決定されるべき」とする考え方のことです。対照的な例は「独裁主義」です。
「独裁主義」は、「政治」が「1人または少数の人によって決定されるべき」という考え方のことです。
このように「イデオロギー」は、「ある問題に対する、まとまった考え」のことを指しているのです。
また、比喩的に「実際からかけ離れている役に立たない考えや理論」を表すこともあります。
「イデオロギー」がつく言葉
この見出しでは「イデオロギー」がつく、以下のような言葉について解説していきたいと思います。
- イデオロギー分析
- イデオロギー闘争
- イデオロギー的国家装置
それぞれの意味について詳しく見ていきましょう。
イデオロギー分析
「イデオロギー分析」とは特定の「イデオロギー」を分析することを指します。
また、さまざまな事柄を「イデオロギー」の観点から分析することも指します。
イデオロギー闘争
「イデオロギー闘争」とは、「イデオロギー」をめぐる対立や闘争のことです。
たとえば、政治的な考え方の違いによって対立することは「イデオロギー闘争」と言えます。
「イデオロギー対立」も同じ意味です。
イデオロギー的国家装置
「イデオロギー的国家装置」とは、マスメディアなどの、権力を間接的に行使する機関のことです。
フランスのマルクス主義哲学者、L=アルチュセールが唱えた概念です。
「イデオロギー」の使い方
- メディアの報道は、特定のイデオロギーに偏るべきではない。
- 政治に関する彼の発言は、イデオロギー色が強い。
- 冷戦は、資本主義と共産主義のイデオロギー対立でもあった。
上記の例文のように、一般的に「イデオロギー」は政治に関連して用いられることが多い言葉です。
「イデオロギー」という言葉自体に、善悪のニュアンスはありません。
しかし、実際にはネガティブな意味で使われることが多くなっています。
これは、政治的な「イデオロギー」を持っている人が、特定の考え方を押し付けるような態度を示すことが理由だとされています。
①と②の例文では、「政治に対する考え方」という意味で「イデオロギー」が用いられています。
②の「イデオロギー色」とは、「ある物事が特定の考え方に偏っていること」という意味です。
この他にも、「イデオロギーに染まる」という「色」に関連した言い回しがあります。
個人的な発想を「イデオロギー」と言うのは間違い
「イデオロギー」はある程度の人に受け入れられている、まとまった考えのことを指します。
そのため、ある人の個人的な発想を「イデオロギー」と表現するのは間違いです。
「イデオロギー」の語源
日本語の「イデオロギー」の語源はドイツ語の “ideologie” です。
ちなみに、英語では “ideology” と書き、「アイデオロジー」と発音します。
最初に「イデオロギー」という概念が生まれたのは、フランス革命時のフランスでした。
哲学者のトラシーが、「イデオロギー」という言葉を使って、当時政権を握っていたナポレオンを批判したのが始まりです。
その後、マルクスとエンゲルスは階級社会の「イデオロギー」を分析した『ドイツ・イデオロギー』という本を執筆しました。
これが、日本に渡ってきた際に「イデオロギー」という言葉も日本に入ってきました。
日本語には適切な訳語がなかったので、「イデオロギー」というカタカナ語として使われるようになりました。
「イデオロギー」の類義語
「イデオロギー」には以下のような類義語があります。
- 主義:持ちつづけている考えや方針、態度など
- 思想:人生や社会についての一つのまとまった考え。特に、政治的、社会的な見解のこと
- ドグマ:ある宗教が独自に持つ教え
- 教理:ある宗教・宗派が真理とする教えの体系
- 信条:堅く信じて守っている事柄
- 理論体系:考え方の体系
まとめ
以上、この記事では「イデオロギー」について解説しました。
英語表記 | イデオロギー(ideology) |
---|---|
意味 | ある立場から見た、政治や道徳などに対する考え方 |
語源 | ドイツ語の “ideologie” から |
類義語 | 主義、思想、ドグマなど |
何事に対しても自分の意見を持つのは、素晴らしいことです。
しかし、自信を持つあまり、他人に自分の「イデオロギー」を押し付けてしまっては迷惑がられてしまいます。
自分の意見を持った上で、多様な「イデオロギー」があることを認められるといいですね。
いざ「イデオロギー」という言葉を使う場面が来た時のために、しっかりと意味と使い方を理解しておきましょう。